宿で自転車を借りた。
「鍵のかけ方わかる?」
当然わかる。これは日本の自転車だからだ。
いったいどういう経路なのか分からないが、東南アジアで借りる自転車というものはほぼ確実に日本の自転車だ。撤去されて引き取りに来なかったものなのか、盗られたものなのか分からないが、おなじみのママチャリを始め、割と良いブリジストンの自転車まである。
僕は中学生以来ぶりに銀色のブリジストンに乗り、マンダレーの街を散策した。
正直なことを言うとどこも似たり寄ったりの寺院だったが、よく散策してみるとそれぞれ個性がある。
・激ヤセした仏像ばかりある寺院
・菩提樹の幹からブッダ型の枝が生えた寺院
・千を超える石板にブッダの教えを掘った寺院
・金箔の寄付が過剰で仏像が変形している寺院
・占い師が集まる寺院
この最後の占い師が集まる寺院で手相を見てもらった。やたらハイテンションなおじさんが、いかに自分の占いが正確か自慢した後、ポータブル黒板に僕の生年月日と手相から未来を占い書いていく。
【内容】
・今後彼女が4人できる
・カンボジアを旅している時に日本人の彼女ができる
・30歳のときにその32歳の彼女と結婚
・結婚は1回だけ
・29歳で車買う
・31歳で家買う
・ラッキーナンバーは3
・将来は旅行会社の仕事をする
・39歳で大金持ちになる
・90歳まで生きる
・今日から肩コリと腰痛がなくなる
驚いたのが、将来旅行会社で働くということと、大金持ちになるということだ。
僕の計画では、旅行関係の仕事で企んでいることがあり、それで大金持ちになって島を買う予定なのだ。
その他のことも割と当たりそうな気がする。カンボジアとか旅の最後の方に行く予定だし。というか全く旅の話なんてしてないのに、よく色々と絞れたなぁ。
ラッキーナンバーは5だと思っていたので3に変えてみようかと思う。あと、90歳まで生きれるなら多少無理しても大丈夫そうだ。
占いの後は旧王宮に行ったが、高い入場料を払った割に見所はなかったのでマンダレーに行く際には注意してほしい。
王宮の後はマンダレーヒルという丘の上にある寺院に行った。丘といっても、これは山だ。
道端のおじさんから、頂上まで1時間かかると脅されながらも登り始めたが、全身から汗が吹き出る。
犬が汗まみれの僕の身体を狙って寄ってくる。僕は敵じゃないアピールをしながら必死に登った。
約30分で頂上に着いた。延々と続く階段に気が狂いそうになったが、富士山の100倍は楽だった。逆に言えば富士山は気が狂いそうになる100倍やばいのだ。富士山は頂上こそ気持ちが良いが、登頂するまでは家でYouTube見とけば良かったという後悔で押しつぶされそうになるので注意が必要だ。
話を戻すと、気が狂いそうになる寸前のところで頂上に着き、これまたゴールドで覆われたパゴダ(仏塔)が陽の光を燦々と浴びて眩しく輝いていた。
全方向から見てやろうと周囲を回っていたときに僕は気づいてしまった。
そう、この頂上までは7割方車で来れて、最後の3割はエレベーターで登れるのだ。
ミャンマーチックに装飾されたエレベーターが憎い。自分の足で登った方がご利益があることを信じるしかない。足で登ったし、なんなら裸足だ。ミャンマーでは仏教施設に入るときは裸足が絶対だ。
硬い大理石やコンクリートの上を往復1時間近く歩いたし、他の寺院も入れれば4時間近く裸足で歩いていた。
普段ニューバランスで覆われている繊細な僕の足は今にも燃えだしそうなほどじんわりヒリヒリしていた。
丘を下りているとき、道に迷った。一部地震の影響でルートが封鎖されているのだが、間違えてそのルート直前まで行ってしまった。
あぶねーあぶねーと思いながらふと左を見ると漢字が彫られた石碑があった。よく見ると戦没者供養っぽい。
もしかして、と思い近づいて石碑を見てみると、第二次世界大戦の戦没者を祀った石碑だった。
かつてミャンマーがビルマだったころ、なんならイギリス植民地だったころ、日本軍がここまでやって来ていたことは知っていたが、いざ自分もここへ来てみると、こんな所にまで来ていたのかと驚いた。
僕が文句言っていたようなさくら観光払い下げバスもなければ、路線バス払い下げの足元が狭いバスもない。
どうやってここまで来て、ここでどんな過酷な戦いをしていたんだろう。ビルマにおいて、日本軍の戦没者は18万人に達した。18万人が亡くなったなんて、正直実感が湧かない。18万人すらピンとこない。自分の地元は人口約1万人の小さな町だが、その18倍の人が亡くなったと考えてもまだまだ多すぎてよく分からない。ただ、かつてここで酷く大変なことが起きていたという事実だけで身震いした。僕は近くで線香を買い、手だけ合わせて帰った。
そうだ、フットマッサージに行こう。今日から肩コリと腰痛はなくなるし。45分で約500円の店が宿の近くにあったので、先に自転車を宿に返してスパに駆け込んだ。
安旅とはいえ、少しくらい贅沢したっていいじゃない。500円ならすき家の高菜明太マヨ牛丼とほぼ同じ金額だもの。僕は所詮へなちょこ現代人だ。
I rented a bicycle to go to some temples in Mandalay. I watched a lot of buddha figures. I met a fortune teller in a temple. He said you will get new job that is travel agency and you will be rich man in 39 years old. I think so too.
せんまさお
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