ラウンジで目が覚めると、同じようにソファーに横になって寝ている人がチラホラいる。僕と同じ乗り換え組だろう。
眠たすぎる中、カイセリ行きの飛行機へ搭乗。カイセリはカッパドキアに近い空港である。
搭乗と同時に再び寝てしまった。激しいエンジンの音で目が覚める。到着かなと思っていたらこれから飛び立つところだった。
時計を見ると、出発予定時刻から1時間が過ぎていた。理由は分からないが、離陸が遅延していたようだ。再び寝た。
起きると今度こそはカイセリへ到着。空港バスで街のバスターミナルへ。そのままバスターミナルからカッパドキアの中心となる街、ギョレメ行きのバスを探したが、今の時間は隣町までしか行かないらしい。
やむなくギョレメの隣町、アヴァノスへ向かう。アヴァノスで乗ってきたバス会社の人にギョレメ行きのバスはどこで乗れるのか聞いてみた。
英語は分からないと拒否されてしまう。拒否というか拒絶だ。耳を塞ぎ、目を閉じて丸くなってしまった。こんなの初めてだ。
トルコ語に翻訳して見せるが、ノーノーの一点張りだ。なんだこの対応。その辺の人ならまあ別にいいけど、この人は乗ってきたバス会社の人だ。そのバス会社の人に、アヴァノスでギョレメ行きのバスに乗り換えられるから、と言われたからチケットを買ったのにこれは酷い。
しつこくトルコ語、トルコ語、トルコ語、と言いながら肩を叩いていたらようやく目を開けて読んでくれた。そしてバスが来る場所を指差して、タバコを一本くれと言われた。
このバス会社、かつてはトルコで最も有名な会社だったらしいが、会社の不祥事があったらしく、社員がほとんど辞めてしまったらしい。変わりに大量に採用したから質がグッと下がったとは聞いていたが、こんなに酷いもんとは思わなかった。まあいいや。
指差していた場所で待機。普通の道端で看板なんてない。こんなところ自力で知るのは不可能だ。
待つこと15分。ミニバスがやってきた。乗り込んでギョレメへ向かう。約15分でギョレメへ到着。
既にすごい。街が奇怪な形をした岩の山々の中にある。ニョキニョキと不自然に大地から突き出した岩山の間を縫って、道路や建物が建っている。いや、建物はなんなら岩山をくり抜いて建てているものまである。
宿はまだ朝早いのでチェックインできなかったので、荷物を置いて街を歩く。
フラフラしていると、どう見ても日本人の方が歩いていた。声をかけてみる。
腹が減っていたので昼飯でもどうですかと誘って一緒に行くことになった。
Tミサワさんは仕事の休みで来ているらしい。シリア進攻のニュースは見ていたけど、航空券を取っていたし、今のところギョレメに危険な情報は出ていないのを見てやってきたそうだ。情報に自信がなかったので、少し安心した。
Tミサワさんはイスタンブールに着いた日の夜行バスでギョレメへやってきたらしい。タフすぎる。
昼飯にケバブを食べ、ギョレメ野外博物館へ向かう。カッパドキアといえば奇怪な岩山とそこに穴を空けて作った住居や神殿の遺跡。
人が手を加えた自然が現代で価値を生み、また美しさを作り出している珍しいパターンだ。
ジョージアのヴァルジアで見たようなのと同じような洞窟内だ。やっぱり外から見た方がなんかいい。要は中はただの岩穴だ。
しかしヴァルジアと違い、どこまでもこの穴は広がっている。博物館の敷地外にもあちこちに奇岩と穴ぼこが見える。壮観だ。
街に帰り夕飯へ。
「満足しなかったらお金は僕が払うよ」
うまい客引きにひっかかることにした。奇岩をくり抜いてレストランにしているようだ。
ギョレメの街中にある奇岩は割と自由に切ったりくり抜いたりしてレストランや宿が作られている。まあ元々過去にそんなかんじで生活のためにくり抜いたからこそ、現代でもこうして魅力あふれる場所になっているんだろうから、きっとこのレストランの穴も数百年後にはファンタスティックな穴として崇められるんだろう。ひょっとしたら博物館になっているかもしれない。
僕は土の器で鶏肉を焼いてチーズを乗せたやつを注文した。その通りの料理が運ばれてきた。うまそう。
夜になるにつれて冷えてきたもんだから、スープでも頼もうかと思ったけど、ギョレメの物価はヨーロピアンに合わせた設定になっているため非常に高い。ローカルレストランもあるんだろうけど、きっと隣町まで行かないとなさそう。ギョレメは非常に小さい街だ。
もし僕がレストラン経営をしていたとしても絶対にヨーロピアンに向けてヨーロピアン価格で店を開く。そりゃそうだ。
中国人観光客も多いようで、中華料理屋もいくつか見かけた。蘭州ラーメン屋さんを見つけたときは入ろうかとも思ったが、中は中国人しかおらず、店員さんも中国人で、なんか懐かしかったけどアウェーすぎて入れなかった。
ともかく、土の器で鶏肉を焼いてチーズを乗せたやつは美味しかった。
「どうだった?」
例の客引きがテーブルまでやってきた。
君はお金を払わなくていいよ、と伝えると彼は陽気に去っていった。
話し込んでいたらもう夜も遅すぎる時間になっていた。しまったな、明日は日の出を見るのに。
せんまさお
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