Hヤシ君と朝飯を食べていると、バクーでお別れしたIクさんが突然現れた。カザフスタンのアクタウ、アゼルバイジャンのバクーに続き3回目の再会だ。宿の嗜好が似てるんだろう。
宿を出ると通りすがりのサラリーマン風の男にウェルカムトゥーイランと言われた。ありがとう。
Iクさんと一緒に両替に行くが、やはり今日もリアルがないと店舗での両替を断られる。
やむなく道端の両替商と交渉。店舗と遜色ないレートになったので両替を決めると、100,000リアル(100円程度)少ない金額で渡してくる。少ないと言うと、手数料だ、みたいなことを言っている。
そんなこと聞いてないので100,000リアル渡せと言うと、50,000リアル渡してくる。あと50,000リアルだ、と要求するが渋られる。
急に、中国から来たのか、と聞くので、日本だ、と答えると、ようやく残りの50,000リアルも渡してくれた。国籍で手数料って変わるんだ。変なの。
一旦宿に戻り、僕だけ街の北側へ地下鉄で向かう。料金のルールが分からないが、35分ほど乗っても20,000リアル(20円程度)だった。
車内では盛んに物売りがやってくる。ペン、おもちゃ、ガム。長距離列車ならよく見かけるが、地下鉄で売っているのは珍しい。
北の終点駅で降り、バザールを通り抜ける。すでに腹が減っていたので美味しそうなサンンドイッチを売っていた店に並ぶ。

「前の人と同じやつください」
無事に通じたようで待つ。そこに英語が話せるおじさんやってきた。
「君は前の人と同じやつを食べたがってるんだね?」
と聞かれ、そうですと答えると、通訳してくれた。優しい。これで完全に伝わった。
「このオリジナルソースをかければ旨さアップだ」
おじさんオススメの薄茶色のソースをかける。サンドイッチの中には唐揚げみたいなのが入っているけど、ホロホロしているので唐揚げではなさそう。ソースは控えめなスパイシーソースでうまい。

道端で他の客に紛れて食べていると、紛れきれていないのでチラチラと見られる。こればっかりはしょうがない。僕だって日本で外国人を見かけると無意識にチラッと見ちゃうし。
イランの嬉しいところは、見るだけじゃなくてたまに声をかけてくれるところ。やっぱ見られるだけじゃいい気はしないからね。
サーダバード宮殿へ向かう。恐らくサンダーバードとは関係がないと推測しているが、もしかしたら関係しているのかもしれない。
イラン最後の王様が住んでいた家の敷地が丸々博物館になっている。当時の家具や内装が保護されており、やたら煌びやかで羨ましい。





敷地内は車での移動が前提になるほど広大で、植物も美しく手入れされている。木がおっきい。

王になるとこういう生活をするのか、とちょっと夢が膨らむ。王になりたい。いや、それはキツイからやっぱ勘弁してほしい。
歩いていると、中学生くらいの少年が目をキラキラさせてこちらを見ている。
王族のように微笑みかけると、彼は彼のお父さんらしき人にコショコショ話をし始めた。
お父さんがどこから来たのか聞いてきた。日本だと言うと、息子が僕と一緒にセルフィーを撮りたいとのこと。
僕は何者でもないが断るのもアレなのでオッケーですと言う。息子とのセルフィーの後はお父さんも、ということで再び撮る。
すると近くにいた別のグループもやって来た。更に別のグループも、ついでにもう一つのグループも。
僕とのセルフィーに列ができる。もしかして誰かと間違えてる?僕は和田アキ子に似ているがそんなグローバルな有名人でもなさそうだし。韓国のソン・ガンホならほぼ同じ顔なので間違えていてもしょうがない。
僕は営業スマイル(元経理と人事なので本当の営業スマイルは知らない)で立ち続ける。ようやく解放されたが、芸能人って大変だぜ。
「ハイ!サー!」
また呼ばれている。振り返るとおじいちゃんがいた。行ってみるとキャンディーをくれた。ありがとう!
帰り道にIクさんが教えてくれた日本食材店に行く。まさかテヘランにあるとは思わなかった。

小さなバザールだが、日中韓の食材が勢ぞろい。野菜も日本食で使いそうなものが並んでいる。


僕はずっと欲しかっただしの素の500gパックを購入。今はだしの素がどんな物を手に入れるよりも嬉しい。ついでに出前一丁も買う。僕は幸せの絶頂にいる。
「ブタニク、アルヨ」
オーナーが物陰から取り出したのは…。続きは自分の目で確かめよう!

宿に戻るとIクさんがキルギスのビシュケクで出会ったTモ君が合流していた。イケメン学生だ。
夕飯がてら一緒にバザールに行く。地下鉄で向かおうと3人で駅へ向かう。突然警察に呼び止められた。ニコニコ笑顔で呼んでいるのが怖い。
大人しく交番みたいなスペースに行くと、Tモ君の服装がまずいらしい。ここはイスラム国家だから、七分丈のズボンとサンダルだと地下鉄には乗れないとのこと。僕は事前にそんな話を聞いていたので長ズボンと靴を履いていたが、他人の分までは意識が回っていなかった。
警察は怒るでもなく、イランに来てくれたことが嬉しい、と優しく指導してくれた。謝罪と感謝を伝え、すぐに宿に戻って服装をチェンジ。再び駅に行くとまたもや警察に呼び止められた。今度は何がまずいんだろう。
「男と男の挨拶は目を見て握手するんだ」
そう言って、ガッチリ握手した。申し訳ないファーストコンタクトだったが、優しくルールを教えてくれた警察に感謝。
バザールについた頃には店はほとんど閉まっており、辺りに散らばるゴミのせいで廃墟感が漂っている。バザールはレンガの屋根で覆われているので、店が開いていない限り、漏れてくる陽の光以外は辺りを照らすものがない。空も暗くなってきたので少し怖い。

バザールを抜けると、大量のおじさんたちが大声を張り上げて何かしている。日本でいうところの「競り」のようにも見えるが、ギャンブルか何かだろうか。
とにかく腹が減ったので、バザール付近にあったバーガー屋に入る。ハンバーガー110,000リアル(110円程度)とコーラ20,000リアル(20円程度)を注文。
出てきたのはデカいケバブサンドだった。ハンバーガーの写真はフェイクだ。きっと悪意はない。食べてみると、確かにハンバーガーみたいな味がするから不思議な気分だ。
チリペッパーや胡椒、ケチャップで味を変えながら食べきった。
今日もフルーツを買って帰りたかったが、夜も9時を過ぎており、フルーツ屋さんは閉まっている。やむなくアイスとヒマワリの種を買って帰り、宿でシーシャ(水タバコ)を吸う。
Iクさん、Tモ君とたわいもない話をするが、宿の夜は楽しい。旅の中でも結構好きな時間だ。なんせ話し疲れたらすぐ寝られる。おしゃべりには最高の環境だ。
ちなみにイランは結構厳しめなイスラム国家なので飲酒は犯罪だ。ノンアルコールビールは売っているあたり、煩悩的なものは捨てきれていないのだろうが。
というのも、1979年のイラン革命以前は西欧化が進められていたくらいで、お酒もオッケーだったらしい。そりゃ一度覚えた味を忘れるのは大変だろう。実は家でコッソリ作ったり持ち込んだりして飲んでいる人もいるらしい。(タクシードライバー談)
お酒を飲む人からしたら、こういう夜のダラダラタイムに飲めないのはつらいもんなんだろうな。僕は飲まないからしらんけど。

せんまさお

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