午前5時、ジェリーは起きて荷物をまとめている。僕も起きてジェリーとの最後の時間を過ごしていた。
二晩同じコンパートメントで過ごしていると、別れが辛い。彼は今日の18時発の電車で、首都のアスタナへ向かうらしい。
それまではどこか宿でシャワーを浴びて寝るとのことだ。
「戦後、アメリカでは日本製の物を買うなという意見があった。でもみんな知ってたんだ、日本の物は信用できるってね。だれも不買なんてしなかったよ。これからもアメリカと日本は友達だ。アメリカに帰ったら、真っ先に妻に日本人の友人ができたって話をするよ。」
午前6時、カザフスタンの旧首都、アルマティに到着。
「早くシャワーを浴びて髭を剃りたいよ。あ、君の髭はナイスだけどね。」
最後までアメリカンだ。握手とハグをしてお別れ。僕は駅近くの宿を予約していた。旧ソ連的なっていうのが分からなかったが、もう分かる。これは旧ソ連的な宿だ。
同じ形をした重厚なコンクリート造りの住居用ビルが何戸も建っている。無駄な装飾はなく、外壁は地味な色のペンキが分厚く塗られている。
チェックインを済ませると、すぐにシャワーを浴びた。3日ぶりのシャワーはたまらない。
少し昼寝というか睡眠の続きをとり、起きるとお腹がゆるくなっていた。心当たりは干しぶどうくらいだが、まさかな。
宿を出て昼飯を食べに行くが、便意ですぐに宿に戻る。しばらくトイレに篭り、マーケットでようやく昼飯にありつけた。
やはり肉。中央アジアは肉の食文化のようだ。ケバブを食べ、楽器博物館に行く。というのも、ちょっと気になっていたのが、モンゴルの馬頭琴がバイオリンの原点かもしれないという話を聞いたからだ。
モンゴル帝国はヨーロッパまで侵略していたので、もし馬頭琴がヨーロッパまで伝わっていくうちに変化していったのなら、途中に馬頭琴とバイオリンの間の子があるんじゃないかとちょっと見たくなったのだ。
無料ですかと聞くと、違いますとのこと。500テンゲ(150円程度)をおとなしく払い中に入る。
かなり馬頭琴寄りの弦楽器が展示されている。動物の皮を使った楽器も多く展示されており、遊牧民族の文化圏であることを感じる。今の発展したアルマティからはまるで想像できない。
外国の楽器のコーナーに馬頭琴も展示されていた。やはりかっこいい。
ちょっと見たかっただけなので、ちょっと見たらすぐに出た。
博物館の隣にあった公園に行く。ロシア系の子供たちが遊んでいる。白人の子供はかわいいというよりも、天使みたいに美しい。お人形さんみたいという褒め言葉はこういう時に使うんだろうな。
公園内にはゼンコフ教会という木造の可愛らしい教会がある。建てられてから100年以上経っており、大地震で周囲の建物が崩壊した際にも無傷だったという。釘は一本も使われていないそうな。すごいぜ。
昼間は信じられないくらい暑い。水がぶ飲みでここ最近は1日4Lは飲んでいる。モデルの2倍だ。
ドミトリーは一人だけ。これ幸いと今日は身体を休めることにした。
せんまさお
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