アウストラロピテクス。中学一年生の歴史の授業中、僕は資料集に載っていたアウストラロピテクスの絵の股間の部分に付箋の粘着部分を細かく千切って貼り付けてセルフモザイクを作っていたことを克明に覚えている。
そのアウストラロピテクスの本物の骨がこのアディスアベバの博物館に展示されているらしい。
名前はルーシー。見に行かない訳にはいかない。
昨日、バスターミナルから宿までタクシーを使ったが、調べてみると、市内には電車が通っているらしい。街の雰囲気から考えると浮いている存在だ。
宿から10分ほど歩くと確かに駅があった。駅から少し離れたところでチケットを買う。片道4ブル(13円程度)のようだ。
電車を乗り継ぎ、博物館を目指す。博物館に向かう途中、安宿も集まっているピアッサ地区という場所を通った。下町というかんじで、不意におしっこの匂いが漂ってくる。
ふと目に飛び込んできた教会があった。なんとなくアルメニア様式の教会のような気がした。
教会の入り口に看板があった。見てみると、アルメニア教会と書いてある。まさか予想が当たるとは。旅する間になんとなくどこら辺の教会か分かるようになっていたようだ。
博物館に到着した。入場料は2ブル(7円程度)。なんという安さ。
エチオピアの歴史的な展示物を眺め、いよいよルーシーとご対面。
318万年前のアウストラロピテクスの化石らしい。318万年前とかピンとこなさすぎる。しかしまるで人間の骨っぽい。
近くに復元標本もあった。小さい人間そのものだ。
有名な展示物にもかかわらず、その他の化石の展示の中に紛れ込んでいるので、これがルーシーで合っているのか不安になるほど。いいものを見た。
今度はエチオピアのアート作品の展示コーナー。かつての共産主義時代の絵画に興味を惹かれる。というかかつて共産主義だったことを知らなかったが、絵画からその歴史が見て取れる。ちなみに共産主義に興味があるわけではなく、プロパガンダに使われる絵画のテイストが好きなだけだ。
博物館の閉館時間になったので帰路に就く。
電車は超満員。東京の満員電車よりひどいかもしれない。降りようとしても降りるよりも先に人が乗ってくるので、結局、乗り換えするはずの駅を一駅乗り過ごしてしまうことになった。降りるときに人に譲ると、そのあと乗り込むことが難しいくらい混んでいるので譲ろうとしないようだ。
スリに遭わないように気を付けていたが、気が付けば左ポケットに何か感触があった。チャックを閉めていたはずだが、知らない人の手が突っ込まれており、今まさにポケットの中のものを掴んだところだった。
僕はその手首を叩いた。スッと手がポケットから出て行ったが、すかさず僕は手の甲をつまみ、これでもかと捻った。その手の持ち主の顔を見る。
その辺に普通にいそうな男だ。僕は手の甲を引きちぎるくらいの力をこめて捻った。男はしらん顔をして耐えている。絶対にやましいことがあるから耐えているんだろう。確認するとまだ何も取られていなかったので許した。
電車から降り、念のため右ポケットも確認してみると、閉めていたはずのチャックがこちらもほぼ全開になっていた。なんて電車だ。
今日はラーメンでも茹でて食べようという話になり、スーパーで野菜と卵を買って帰った。宿に帰ってみると停電していた。そしてキッチンのコンロは電熱式だった。
結局夕飯抜きで過ごすことになってしまった。シャワーもなし。
せんまさお
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