昼寝をしたせいでなかなか寝られない。午前1時を過ぎた頃、ふと外に出てみた。
息すら凍りそうなほど寒い。仮に僕を濡らして外で1分ほど振り回せば釘が打てるくらい硬く固まるだろう。
ダウンジャケットのポケットに手を突っ込み、山は見えんかとひらけた場所へ行ってみた。灯などないので当然山は見えない。
しかし空一面が星で埋め尽くされている。今まで見た中で一番か二番目くらいに綺麗だ。ちなみに対抗馬は山口県の角島のキャンプ場の駐車場で見た星空だ。
皆寝静まっているようで、この星空は独り占めだ。写真を撮ったり星を眺めたりしていたが、寒さに耐えかねて部屋に戻った。部屋も大して温度は変わらなかった。後で調べたら摂氏マイナス21度だったようだ。
日の出のために朝6時から待機した。明るくなるにつれて山が見えてきた。やはりデカイ。昨日少しだけ見えた頂上よりも高い頂上を持つ山が2つ現れた。
一つはアンナプルナのようだが、もう一つも恐ろしく大きい。あの山に登る人はなんかおかしい。登ることを考えるだけで恐ろしくなる。
なんとなく富士登山の延長みたいなものでキツイんだろうなぁと思っていたが、全く別次元のものだ。コカ・コーラとペプシくらいの差がある。
昨日から見えていた山には昨日より多くの雪が積もっている。こちらでは雨だったが、標高が高い場所だと雪になるんだろう。
6時半ごろ、雲の海に沈む山から日が昇ってきた。なんか久しぶりに太陽を見た気がする。キラキラしていて綺麗だ。日が昇るにつれ眩しくて見ていられなくなった。
山に積もった雪が日光で溶け始めたのか、山頂付近に霧がかかり始めた。今日は快晴だ。
朝食にチベットブレッドという謎のパンとオムレツ、ジャガイモ、コーヒーのセットを頼んだ。
チベットブレッドは油で揚げているのだろうか、中はモチモチなのに外はカリッとしているという美味しいの定番フォーマットをしている。
ジャガイモは薄いカレー風味でトマトと一緒に炒めている。トマトは嫌いだが、火を通すと美味しくなるから不思議だ。
寒くてカロリーを消費しているからだろうか、朝なのに脂っこくてもペロッと平らげてしまった。
宿を出るが山が名残惜しい。宿で会った人から、ネパールは山を見るところだと聞いていたが納得した。パッとしないネパール旅だったが、山を見られていなかったからだろう。
シーズンは4月かららしい。まだまだ登山者が少ない時期に来てよかった。誰からも邪魔されず山を堪能できた。
人は同じものにすぐ飽きてしまう。だから雲が流れる空や、波が何度も打ち寄せるビーチ、火が揺らめく焚き火なんかは飽きずにいつまでも見られるんだろう。
山の風景も雲が相まって飽きずに見ることができた。飽きっぽい僕でもいつまでも見ていられる。なんと言っていいか分からないくらい壮大な景色だった。きっと頂上まで登った人はもっと素敵な景色が見られるんだろう。でも僕は命が惜しいのできっと一生チャレンジしないだろう。
下りは楽だった。道を聞きながら昨日来た道と違うルートを通った。2時間程度であっという間に麓へ降りてこられた。途中の田園風景は晴れの日に見るとまた違って見える。ヤギの子供を抱えてミルクを与えるおばちゃん、草の山に頭を突っ込んで食べる牛、青々とした棚田。どれも僕のカメラでは残せないほのぼのとした空気をもっていた。
昨日スタートした場所へ戻ってきたが歩き足りない。少し街に向けて歩くことにした。舗装工事中だろうか、土埃を巻き上げながらトラックが大挙している。ネパールはまだまだ未舗装の道路が多い。というかおそらく市街地しか舗装されていない。
昨日の雨でできた水たまりを避けながら歩いたが、なんせ道が悪いので必要以上に疲れた。2時間半程度歩いたところでギブアップし、バスに乗ることにした。僕の足の疲れにおかまいなく、バスは満員で僕は立っていざるを得なかった。
なんとか街へ戻ってきたが、腹が減りすぎていたので麻婆豆腐丼をかきこんでから宿に戻った。宿には日本人と日本語を話せる中国人のドラゴン、ドイツ人のゾーイがいた。
あらかた話した後、僕は借りていたトレッキング用品を返却し、頑張ったご褒美にマッサージへ行った。この程度で頑張ったというのは旅する日々がどれだけ堕落しているかを表している。
マッサージは盲目の方が施術してくれる店に行った。なんとなく上手そうだからだ。思ったより高かったが、スキルを信じて施術を受ける。
目が見えないことが関係しているのか、手で丁寧にツボを探り、ピンポイントで押さえてくれる。こんなに丁寧なマッサージは初めてだった。
普通、マッサージに行くと、僕の都合はほっておいて左右満遍なくマッサージしてくれるが、ここは僕の疲れやダメージを探りながら左右非対称で必要箇所を揉みほぐしてくれる。
背中のとある部分を押されると、息ができないがとんでもなく効いている感がある。秘孔的なやつなんだろう。もし彼にパワーがもっとあれば僕は死んでいた。
施術が終わり、人生で一番のマッサージでしたと伝えると、彼は照れていた。僕もなんか照れた。
宿に帰りゆっくりしているとネパール人の宿泊者が話しかけてきた。彼は日本人が好きらしい。静かだからだそうだ。そのうち日本人と中国人のドラゴンとドイツ人のゾーイが戻ってきた。
結局おしゃべりクソ野郎の僕は夜遅くまで話し込み、疲れ果ててあっという間に寝てしまった。
I could beautiful sunrise. It was sunny today. There are a lot of high and huge mountains. I ate my breakfast with great view. Then I checked out and went down. I wanted to walk for long time so I walked for 6 hours. I was really tired so I had massage at night. A blind person gives me good massage. It was best massage in my life.
せんまさお
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