朝から部屋メンツとハグ。
「中国を楽しんで」
中国人は人情深い。翻訳ソフトを使って若い衆に別れを告げた。今日は大理へ移動する。名前の通り大理石の産地らしい。
地下鉄でバスターミナルへ向かうが、駅までの道中、ふと気付いた。僕は今ネパールで買ったナイフを持っている。しかも戦闘用のナイフである(もちろん観賞用として買った)。中国の地下鉄では、空港のようにX線を使った荷物検査がある。
もしナイフが見つかった場合、没収の対象だろう。以前、飛行機の乗り継ぎの関係で中国に来たとき、巨大な中華包丁を没収されている人を見たからきっとそうなんだろう。
なんなら旅グッズとしてナイフ付きのマルチツールも持っている。僕は今ナイフ2本を隠し持っている危険人物だ。
飛行機なら預け荷物に入れておけば問題ないが、地下鉄には当然ながら預け荷物という仕組みはない。
僕は暴れたりしないので信じて欲しいが、ナイフを意識すればするほど荷物検査が不安になってきた。没収だけは勘弁してほしい。かといってタクシーはもったいなさすぎる。
僕は無害そうな顔で、ゆっくりと荷物をベルトコンベアに乗せ、ゲートをくぐった。
「ピーピーピー」
ゲートも荷物チェック用の機械も鳴り響き、赤く光っている。僕は無害そうな顔で身体検査を受ける。
セーフだった。なぜか分からないがサッとお尻を触られただけでセーフだった。新聞勧誘のバイトで身につけた、「インターホンに映ったときにする用の無害そうな顔」で乗り切ったたのだ。
途中二度乗り換えながらバスターミナル駅に着いた。英語が通じない時のために用意してあった中国語翻訳を窓口で見せる。何事もなくチケットは買えた。
出発まで1時間もあったので、近くで肉まんを買って食べる。一つ1元(16円程度)なのに、肉汁ジュワジュワでおいしい。中華料理は日本にも馴染んでいるおかげで口に合うから嬉しい。
バスは予定から少し遅れて出発。中国(特に公共施設など)であまりパシャパシャ写真を撮っているとスパイ容疑で逮捕されるリスクがあるらしいので、途中きれいな菜の花の段々畑だけこっそり写真を撮った。
窓からぼんやり景色を眺めていると、中国のスケールのでかさが感じられる。山はでかいし、畑もでかいし、川もでかい。なんとなくアメリカ西海岸で見た景色と被って見えた。
山には、いつか沖縄で見たような、独特な形をしたお墓のようなものが点々と見える。琉球王国は日本よりも中国の文化の影響を強く受けていたんだろう。
今まで行った国に比べて道があまりにきれいなのでバスがほとんど揺れない。おかげでダウンロードしておいた映画をゆっくり見られた。
大理についたのは夕方5時。大きな荷物を背負って路線バスで移動したが、中国は道も広ければバスもデカイので迷惑にもならずに乗れた。
今日の宿は外国人も多く、英語が通じて助かった。どうやら大理は中国のバックパッカーが集まる街らしい。通りはあからさまな観光地仕様に整っている。岡山県の倉敷市にある美観地区にどこか似た街並みだ。
ネパールのポカラで会った中国人のドラゴンから、大理は牛鍋がうまいと聞いていた。宿の近くに牛鍋屋があったので、少し高かったが注文した。
数分後、明らかに一人用ではない鍋と野菜が運ばれてきた。身振り手振りで食べ方を教わるが、どうやら日本と大して変わらないようだ。
すでに火の通ってある、トロトロに煮込まれた牛肉、恐らくスネ肉だろうそれを、ピリ辛のタレをつけて食べた。
牛すじとは少し違う、思ったよりもあっさりした肉がホロホロと口の中で解けていく。やっぱり中華料理はうまい。
日本の和食と韓国のキムチはユネスコ無形文化遺産に登録されているが、中華料理は登録されていない。日中韓の料理には文化的に深い関係があるにもかかわらず、中華料理はその安価さや、油を多く使う不健康そうなイメージなどから、申請が通らないと考えられている。
昨日、中国の街を歩いて驚いたのが、中華料理のレパートリーの多さだ。僕は東南アジアのほとんどの国と南アジアあたりへ行ったことがあるが、レパートリーが少ないか、味付けがどれも似ている(と感じた)という国が多かったイメージがある。
それ故に食事に困ることが多かった。だが、中国は歩いているだけで、驚くほど多くのストリートフードを含む料理を見ることができる。そしてたった1元(16円程度)の肉まんにも、タネに各店の努力が見られる。
今夜の牛鍋の味の繊細さにも驚く。どれだけ煮込んだのか牛の旨味が野菜ベースのスープに深く溶け込み、更に生姜とネギで牛の臭みも消している。牛肉は脂身が多いが不要な脂は煮込む過程で取り除かれているのか、アッサリとしている。
もし安価だから、脂っこそうだからという曖昧な基準でユネスコ無形文化遺産に登録できないのなら、それは欧米諸国からの偏見が原因なのかもしれない。
あっという間に牛は僕の胃に収まった。セットで付いてきたご飯も日本の米に似ていて甘くて美味しかった。
陶器製のポットに並々と用意されているお茶を湯飲みに注いだ。茶葉も一緒に湯飲みに入ってくる。茶葉が肉厚なので、もしかすると半生のものなのかもしれない。沈んではいるが、茶柱が立っているのが見える。
最後に、面倒を見てくださった店員さんにありがとうと伝えると、ニッコリと笑ってくれた。
ボディーソープが切れていたので買って帰った。なぜかシャンプーの品揃えに対してボディーソープの品揃えがどの店も悪い。逆に考えると髪へのこだわりが強い国なのかもしれない。なんとなく黒髪のアジアンビューティーのイメージもあるし。
宿に帰ると同じ部屋の中国人が大焦りで荷物をひっくり返していた。どうしたのか聞くと、ものを無くしたらしい。というか英語が通じたのが嬉しかった。
どうやら探し物は見つかったようで、彼と少し話した。僕は中国のSNSのWeChatに登録したかったのだが、会員の紹介がないと登録できなかったので、彼に手伝ってもらった。
彼がビニール袋から謎の小さい球型の緑の果物を取り出して僕にくれた。言われるがまま食べてみると、今まで経験したことがないほど酸っぱい果物だった。同時に少し苦い。
僕が顔を歪めていると彼は大笑いしている。これなんて果物なのと聞いたら、彼も知らないらしい。道を歩いていたら見かけたから買ったとのこと。店員さん曰く、最初は苦くて酸っぱいけど、食べているうちに甘くなってくると言われたそうだ。
彼はその果物を何個もボリボリ食べている。酸っぱくないのか聞いてみたら、甘く感じてきたそうだ。まだいるか聞かれたが、あまりに酸っぱいので遠慮しておいた。
でもなんか気になるので明日探してみよう。考えるだけでヨダレが止まらない。
I arrived in Dali city today. There are a lot of tourists in this city. This city has many guest house and european restaurant so I saw a lot of european tourists. I ate beef hotpot that my chinese friend recommended. It was little expensive but taste is so good. I will sightsee tomorrow because I’m full.
せんまさお
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