【世界一周#413】陽気な国だ

未だに時差ボケが絶妙に治らない。何時に寝ようが朝の6時に起きる。日本でもこうならいいのに。
 
まだ寒い中、屋上にパソコンを持っていき、ポチポチと仕事をしながら、昨日買ったデカいクッキーみたいなパンをコーヒーで流し込む。ほっとする。
しばらくすると日本人のKシ君も起きてきた。しばらく話して、一緒にすき家へ行くことに。これで3日連続だ。
僕は牛丼と味噌汁、サラダ、麦茶のセットを注文。サラダはタコスの味がした。というか、トルティーヤチップスが乗っているので、材料や調味料的には肉抜きタコスだった。もうタコスは嫌だ。
 
Kシ君は今日から別の宿に移動するらしく、ここでお別れ。
「また世界のどこかで!」
そう言われたので、「またいつか!」と返した。
 
世界一適当な約束だが、実はこのやり取りにはちょっとした思い出がある。
世界一周に出る前、僕はフィリピンで3ヶ月間、英語の語学留学をしていたのだが、卒業の際の決まり文句があった。
「See you anytime anywhere!」
先生たちはこう言って僕たち学生を送り出してくれた。たぶんもう会うこともないと思うが、単なるGood byeで終わらせない先生たちの優しさを感じる別れのあいさつだった。
 
そんなことを思い出しながら、僕は別の方向へ向かった。
向かった先はソカロと呼ばれる街の中心にある広場。たぶんメキシコのどこの街にもある。
メキシコシティのソカロは今まで訪れたどの街のソカロよりも広く、中央にはどデカい国旗が掲揚されていた。
めっちゃデカいな、と思って眺めていたが、実はタジキスタンで世界一大きい国旗を見たことがあったので、たぶんこれは2番目。知らんけど。
 
近くの教会に入る。緻密な装飾が煌びやか。お祈りを捧げる方々の邪魔にならないように、コソコソと見学させていただく。ここでも、グアダルーペの聖母マリアが崇められていた。
 
その教会の横には、テンプロ・マヨールと呼ばれる遺跡があった。今度の遺跡はアステカ文明。
かつてスペイン人が侵略して来た際に、このアステカ文明の遺跡をぶっ壊して埋めてその上にメキシコシティを作ったので、こんな街の中心に遺跡がある。1970年代に掘り出されたらしい。
 
ぶっ壊されたので、ほぼ原型が残っていないが、ここにもピラミッドがあったようだ。博物館が敷地内にあったので寄ってみたが、正直言ってアステカもマヤもテオティワカンも違いがわからん。きっと貴重なものを見ているんだろうが、かわいい、おもしろい、かっこいい、の基準でしか見てない。
 
遺跡を出た。地下鉄に乗る時にドアに挟まれた。ドア近くのメキシコ人たちがドアをこじ開け、僕を引っ張ってくれて無事に乗れた。車内は次の駅まで爆笑の渦に包まれていた。陽気な国だ。
 
実は明日の朝にはメキシコを出る。なので、余ったお金を使う必要がある。中途半端に残しても、次の国で良いレートで両替できるか分からないからだ。
 
僕はメキシコシティ最大のお土産マーケット(メルカド)へ向かった。
なんとなく、もしお土産を買うなら、メキシコの頭蓋骨の置物、カラベラがいいと思っていた。
しかし、お土産には罠がある。たぶん、世界中のほとんどのお土産は、中国で作られている。というのも、僕は中国でお土産物卸売市場へ行ったことがあるのだが、その時に、世界中のお土産が売られているのを見た。
 
例えば、トルコのナザールボンジュウのお土産は、ほぼ中国で作られていると言えるだろう。なので、僕はトルコで職人がハンドメイドで作ったものをわざわざ探して買った。もちろん高いが、わざわざトルコまで行って中国で作られたものを買うのは少し残念だからだ。
 
ここメキシコでも、格安でカラベラが売られているが、雑に売られている安物は、恐らく中国からの輸入品だろう。だからこそ、なかなかどれを買うか選べないでいた。
 
そんな時、たまたまルチャ・リブレ推しの店の前を通りかかった。ルチャ・リブレTシャツもいいな、と眺めていたら、まさかのルチャ・リブレのマスクデザインのカラベラが売られていた。
 
店員さん曰く、そのペイントはこの店舗独自のもので一点物らしい。値段も他の店のカラベラの3倍もするが、喉から出が出るほど欲しい。
 
値段交渉の末、たった3.5%しか安くしてくれなかったが、たぶん欲しそうな顔をしていたのが見破られたのだろう。それはしょうがない。
 
「マジでこれ好き」
 
店員さんにそう伝え、頭蓋骨を抱えて店を出た。
 
歩き疲れたのでバスで宿に帰ろうと乗り込んだ。ドアが閉まる直前に、めっちゃ太った人がダッシュで乗り込んできた。僕は吹き飛ばされたので、前にいたおじさんのリュックに捕まって転けずに済んだ。謝ったらおじさんが爆笑していた。陽気な国だ。
 
さらに残ったお金で旅の備品を買い足した。充電機の接触が悪くなっていたので買い替えた。
 
さらに残ったお金で、最後のタコスを食べた。最後だと思うとなんとなく切なくなった。もう飽きたが、お腹が空いていたので、結構美味しかった。
 
キューバから来たばかりの時には、タコスの美味しさに喜んでいたが、やはり慣れというものは恐ろしい。カンクンでタコスの中に入っている野菜の美味しさに感激したが、今ではもう当たり前だと思っている。
 
しかし、当たり前なんかじゃないのだ。食べたいものを食べられるのは幸せなことだ。
 
前にこんな話を聞いたことがある。
「本当に貧しいかどうかは、好き嫌いがあるかどうかで分かる」
本当に貧しい国(人々)には好きとか嫌いとかいう概念がないそうだ。
好きとか嫌いとか言ってる時点で、贅沢な話なのだ。そんなことを考えている内に、タコスを5個食べ終わった。
 
さらに残ったお金で、メキシコで一番好きだったポテチのハラペーニョ味とコカ・コーラを買って帰った。
 
宿のテラスでベンチに座って食べる。肌寒さが気持ちいい。
気づけば今日で18日目。メキシコは楽しいと旅人たちからのもっぱらの噂であったが、確かに楽しかった。
 
とにかく暑くて辛かったり、治安が心配だったり、言葉が通じなかったり、数えればキリがないほど辛い気持ちにもなったが、振り返ってみると、やっぱり楽しい国だった。
 
メキシコ国民の皆様は礼儀正しく、陽気な方々だったと思う。嫌な思いはほとんどしなかった。ありがとうございました。
 
さて、明日は早起きして空港へ向かう。
行き先はグァテマラ。グアテマラ?ガテマラ?
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せんまさお

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シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。
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