トルコでは結構お土産を買ってしまった。もちろん自分のために。
イランでも少し買っていたので、結構荷物を圧迫していた。もう使わない荷物もまとめて日本に送ることに。
郵便局は割とあちこちにあるようだが、万全を期すために街の中央郵便局へ。しかし工事中のようで入れない。
工事の人にどこか他のところを知らんかと聞くと、すぐ裏手にあるそうだ。もしかしたら臨時の中央郵便局かもしれないと思い向かう。
それが臨時の中央郵便局かどうかは着いてみても分からなかったが、もうここで送ることにした。
整理券を取って待つようだが、トルコ語しか表示されないのでよく分からない。近くにいたおじさんにジェスチャーで荷物を送りたいんだけどどれを押せばいいか教えてくださいと伝えると、うまく伝わったようで操作してくれた。
しばらく待って手続き。送り状には品目と値段と使用目的等を書く欄がある。事前にリストを作っていたので、それを写そうとすると、全部「お土産」でいいとのこと。値段も書かなくて大丈夫らしい。
正確にはお土産だけではないが、それでいいと言うのならいいのだろう。航空便にしようとしたら、船便の方がお得だから船便にしとくと勝手に決められてしまった。航空便の方が紛失リスクが低そうなので、そっちにしたかったがまあいいか。こんなんだから信用できないんだ。
荷物も送り終えたのでホッとした。郵便局隣の道端のお茶屋さんで一服。忙しなく歩く人を見ると、都会だなと感じる。
僕には急ぐ必要がない。なぜなら次にどこへ向かうか全く決められずにいたからだ。
ヨーロッパへ向かうことは決めていたが、ヨーロッパで見たいもの行きたい場所なんて言われてもパッと出てこない。強いて言えばイギリスでハリー・ポッターの魔法の杖を買いたいことと、ドイツでソーセージを食べたいこと。あと、モン・サン・ミシェルに行ってみたい。あ、あとモナリザ観たいくらいしか思い浮かばない。
ここまでは大枠で見れば、旅するには割と一本道に近いようなルートが確立されたような地域を通ってきたが、ヨーロッパはゴチャゴチャと小さな国が団子のように固まっているので、どう進めばいいか悩んでいた。
やることもないのでブルーモスク前にある、アヤソフィアという現在は博物館として利用されている元教会であり元モスクでもある歴史ある建物へ向かった。
その道中、おじいさんに声をかけられた。恐らく絨毯屋さんだろう。そういえば絨毯屋さんの客引きにはよく声をかけられるが、ついて行った試しはない。
試しに少し話していると、やはり絨毯屋さんのようだが、来年日本に店を出すつもりとのこと。本当なのか、営業トークなのかは置いておいて、買わないと伝えた上で店まで行ってみることにした。
裏路地に絨毯屋さんはあった。これは確かに客引きしない限り客は来ないだろう。
二階の応接間でお茶を出してもらい、おじいさんと話していると、ガタイのいいイケイケ風の男が出てきた。
マズイ、もしかしてこれ力尽くで買わされるやつじゃないか?
「彼は私の甥。日本人の奥さんがいて日本語も話せるから。」
そう紹介された。
彼はこの店の社長らしい。特に売り付けられるということもなく、普通に世間話をする。
せっかく上手に日本語を話せるトルコ人と会ったことだし、気になっていたことを聞くことにした。
現在、トルコ軍がシリア北部に拠点を構えるクルド人勢力を攻めていることに対してトルコ人はどのように考えているのですか?日本やヨーロッパでは、特に民間人にも被害が出ていることに対してトルコに批判的な報道がされています。
「数年前にトルコ各地でテロがあったことは知っているね?今トルコ軍は国でテロが起きないようにテロリストを攻撃してトルコを守っているんだ。民間人を攻撃したという報道がされているが、テロリストは民間人のフリをしているんだ。」
つまり民間人なのかテロリストなのか見分けることができないから攻撃するしかないという選択になったんだろう。仮に本当の民間人がいても、テロリストが民間人のフリをしているのなら国を守ろうとするトルコ軍を責めることはできない。ということになるんだろう。
「ヨーロッパも批判してくるが、シリア難民の受け入れは拒否するだろ?誰も助けてくれないから自分たちで守るしかないんだよ。なぜ彼らにトルコを責める権利があるんだ?」
確かにテロの恐怖から身を守るための戦いという視点で見れば、そういうもんなのかなとも思う。
話を聞くまでは、なんて惨たらしい、関係ない民間人まで、と思っていたが、トルコからすると、やられてからでは遅いのだ。
あくまで僕はどちらが正しいとかは言わない。それに足る情報も知識も持ち合わせていないからだ。しかしテロリストではない民間人で犠牲になった方がいるのならば、その方々の力になりたいという気持ちは本当だ。過程ではなく結果を見てそう思った。
失礼だったらすみませんでした、ありがとうございました、と伝えると、「いい話ができたね」と見送ってくれた。
アヤソフィア前をブラブラしていると、どこからか声がした。
「世界感じるよ!」
キョロキョロ辺りを見回すと、こちらを見ている男がいた。
「世界周ってる感じがするよ。当たってる?」
当たってるよ、と伝えると、やっぱりそうかと頷いている。
絨毯屋さんの客引きらしい彼は、ここで日本人の客引きをしているらしい。
「あそこ見てみなよ、日本人が歩いてるだろう?ほら、その斜め後ろ、男がこっそりついて行ってる。タイミングを伺ってるんだ。」
彼が顎で差す先には、ベビーカーを押す若い日本人風の夫婦が歩いていた。
「そろそろだ」
彼がそう言うと、夫婦について行っていた男が、ついに夫婦に声をかけた。
「ほらな、分かるんだ。12歳から絨毯を売ってるからね。」
彼は今年25歳らしい。年下だが、社会人経験は僕より上だ。
僕には売らないの?と聞くと、君は買わないでしょ、と当てられてしまった。
こりゃまいったな、とタバコを吸うか聞いて一本あげて一緒に吸おうとすると、逆に貰ってしまった。まいったな。
「世界を周ってるってことは、君のお父さんは銀行でも持ってるの?」
と冗談を言ってくる。いや、イスタンブールの人も結構給料もらってることは知ってるよ、と言うと、笑っていた。
安宿に泊まってるからそんなにお金はかからないよと伝えると、どこと聞くのでホテル名を伝えたら、ホテルに泊まるなんて安宿じゃないじゃないかと突っ込まれた。
値段を伝えると驚いていた。そりゃそうだ、ゲストハウスのドミトリーより安いホテルのシングルルームなんて滅多にない。初めて聞いたよ、と。
来年から大阪で働くつもりらしい。これだけ日本語が達者で、日本人についても見る目があれば、きっとうまくいくだろう。アヤソフィアはもうすぐ閉まるので、今日は諦め、彼と連絡先を交換して解散。夕飯を食べ、宿に戻った。
ああ、携帯どうしよう。
せんまさお
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