朝方には雨が止んでいた。隙を伺いバス停へ向かう。
「アニョハセヨ~」
韓国人カップルが声をかけてくれた。どうやら二人は巡礼で来たらしい。韓国はプロテスタントとカトリック合わせて国民の3割がキリスト教徒らしい。
カップルは隣の街で降りて行った。観光して帰るのかしら。
今日も雨が降り始めてきた。
お昼過ぎにサンティアゴ・デ・コンポステーラへ戻ってきた。まだ雨は降り続いている。
バス停近くの宿に荷物を預け、すぐに街へ出た。順番が逆な気がするけど、フィステーラの後にこの街を見ると、確かにここが巡礼の本来のゴールなんだなというのも分かるかんじ。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂へ着いた頃、激しい雨に変わった。この街はバチカン、エルサレムと並ぶキリスト教の三大聖地の一つ。
大聖堂は惜しくも改装中であったが、入口付近を工事していたおじさんが微笑みながらこっちが入り口だよと教えてくれた。寒く冷たい雨に打たれていると、こういう人の優しさみたいなものが暖かくて嬉しい。
どこか東南アジアの仏教寺院を感じさせるゴールドの装飾と巨大な天使の像が、どうだ懐かしいだろうと訴えてくる。
アジアを思い出したからか、それが美しかったからかは分からないが、突然目が潤んできた。感動するかなと思っていたフィステーラでも目はカピカピだったのに。
随分と心を揺さぶられてしまって、口を半分開けたまましばらく眺めていた。キリスト教の世界では死んだら天使が天国へ連れて行ってくれるのかな。少なくともフランダースの犬ではそうだった。
お土産コーナーを冷やかして外へ出ると、雨が小降りになっていた。この穏やかな気持ちを少しでも長く保つために、今日はベッドに横になっていよう。ナイスアイデア。
せんまさお
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