ロンギヌスの槍。エヴァンゲリオンでしか聞いたことのないその槍がここアルメニアにあるらしい。
エレバンからマルシュルートカで30分。隣町のエチミアジンへ到着。ロンギヌスの槍の前にズヴァルトノツの教会堂へ寄る。ここは教会の遺跡らしい。今から約1400年前に造られたようで、今は柱と壁の一部のみが残っている。
どうやらこの一帯の遺跡やら歴史ある教会が世界遺産らしい。世界遺産って突然現れるからマークを見つけたらビックリする。えっ、そんなつもりじゃなかったのに、ってなる。
遺跡の奥にはアララト山がうっすらと見えている。アララト山はトルコにあるが、アルメニアの人からも信仰されている山らしい。
アララト山はノアの箱舟が漂着した山として有名だ。知らなかったけど。というわけで、ロンギヌスの槍が展示されている場所には、ノアの箱舟のカケラも展示されているらしい。
エチミアジンの大聖堂の敷地内に博物館がある。どうやら中途半端な時間に来たようで、グループでの入館しか認められていないらしい。
前のグループが行ったばかりだからついて行ってと言われたが、見つからないので適当に一人で見学していた。
すると見つけた、ロンギヌスの槍だ。というかロンギヌスの槍の先っぽだ。すごい、これでキリストは突かれたのか。
その隣にはノアの箱舟のカケラがあった。すごい、これがノアの箱舟。
本物かどうかなんてもはや関係ない。ロンギヌスの槍なんて世界に3本あるらしいし、ノアの箱舟にいたっては未だにアララト山で発掘調査を行なっているとかなんとか。
本物だと信じればもうこれが本物だ。それにしても、ロンギヌスの槍もノアの箱舟のカケラもとても地味な場所に展示されていた。もっと大々的に展示しないあたり後ろめたさみたいなものが感じられる。
エレバンの街へ戻る。
G.Puccini。そう、ジャコモ・アントニオ・ドメニコ・ミケーレ・セコンド・マリア・プッチーニだ。
TOSCA。そう、画家カヴァラドッシと、その恋人で有名歌手トスカの物語である。(参考:Wikipedia)
アルメニア、エレバンにダラダラと居た理由。そう、オペラだ。
プッチーニのTOSCAのオペラチケットを買ったのは2日前。エレバンに到着した日、その次の日、そしてその次の日は公演なし。
そして今日、ついにオペラ鑑賞へ向かう。
チケットは最安の席が確保できた。お値段1,000ドラム(220円程度)。これこそが魅力。
ショーといえば、値段が安くはない割に、それが好きになるものか興味ないものかは見てみないと分からない。
つまりハードルが高く、敬遠しがちなものだ。しかしながら、ラスベガスのウォーターショー、上海の雑技団には強烈に感動させられた。
オペラがどういうものかはあえて調べていない。初めて見た時の感動みたいなものを100%味わいたかったからだ。
イメージでは、もののけ姫の米良美一のようなかんじで歌い、オペラ歌劇と言うくらいだから何かその後ろでセリフのない劇が繰り広げられるものなんだろうと思っていた。
ミュージカルではないのだから、歌いながら踊ったりするかんじでもないんだろう。
会場へ向かう前、日本食料理屋の櫻田へ向かった。
櫻田さんが言うには、持っている中で一番綺麗な格好をしていった方がいい、とのことだ。
ドレスコードはないものの、一応そういう場だからキチンとした服の人が多いと思う、と。
持っている服はどれもそんなに綺麗ではないから、今の服のまま行くしかない。ズボンにケチャップが垂れているが、もう開演30分前。
会場は煌びやかというに相応しい造りをしていた。シャンデリアでオレンジに照らされた人びとは、大半は確かに綺麗な格好をしている。
人目を盗みながら安席へ向かう。
ステージから見て右手の随分と上の席だ。お金のない学生なんかが多いもんだと思っていたが、周りには普通に綺麗な格好の人々が座っている。
開演時間から少し過ぎた頃、幕は開いた。そう、開幕だ。
舞台手前には大きく窪んだ部分があり、そこにオーケストラが待機している。正面の客席からは見えないようになっているんだろう。贅沢なもんだ。
舞台にはセットが組まれている。やはり後ろで劇をするんだろう。
そう思っていると、おもむろに役者が歌い始めた。舞台上部には字幕が流れている。そうか、セリフを歌いながら劇をするんだ。ようやく理解できた。
しかしながら字幕はアルメニア文字なので全く読めない。もちろん意味も分からない。インドのムンバイでヒンドゥー語の英語を見たが、その時はなんやかんや大筋は察することができたので、今回も挑戦だ。
どうやら男と女が揉めているらしい。と思ったら仲良くいちゃついている。しかしすぐにまた揉め始めた。とにかく男女のイザコザはいつの時代のどこの国でも鉄板ネタなんだろう。
オーケストラの音楽は聴いているだけでリラックスできる。細かいことなんて分からないけど、よく考えればプロの演奏を生で聴いたのはたぶん初めてだ。
話に集中しようと思うが、話がやはりよく分からない。しまったな、セリフがある系のショーは話が分からないと音にしか聞こえない。せめてもの救いはオペラなのでセリフが歌になっていることだ。
歌、そしてオーケストラをもうそういう音楽だと思って楽しむことにした。もちろん舞台も見るが。
しばらくするといい感じのところで幕を閉じた。なんだ、中途半端な気がしたけどこれで終わりかな?と思って近くのスタッフに聞いてみると、途中休憩らしい。
15分ほどすると、再び幕は開いた。セットは変わっていた。やはりストーリーが分からないが、とりあえずおじさんが殺された。
前の席の小さな女の子が身を乗り出してその殺人シーンを見ている。僕も小さい頃、ばあちゃんとサスペンスドラマを見ていたのでそういう感じだろうか。
またいいところで幕が閉じた。これはもう一幕あるな。
それにしても声量がすごい。結構広い劇場なのに、声が響き渡っている。あの独特の歌い方のおかげだろうか。
再び幕が開いた。今度はプロジェクションマッピングのように舞台奥に映像が流れる。
どうやら最初揉めていた男が捕まったようだ。そして銃殺されてしまった。女が泣いている。おやおや、好きだったんだ。
そして会場は拍手に包まれた。生スタンディングオベーションだ。
最後に役者が出てきて礼をする。印象的だったのが、役者がオーケストラに向かっても礼をしていたことだ。なんか今日のショーで一番ウルっときた場面だった。
外はもう真っ暗。まさか220円のチケットで3時間も公演があるとは思っていなかった。
今度は言葉がわかる日本で見てみたいな。セリフが分かればもっと良いものな気がする。行ってみてよかった。
せんまさお
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