【世界一周#367】王家の谷

「王家の谷」

まさか自分が王家の谷にやって来るだなんて。世界ふしぎ発見の世界の話だと思っていたのに。

もし自分が女性に生まれていたら、ミステリーハンターになりたかったくらい憧れる職業。

しかし華やかなミステリーハンターとは違い、豊かではないバックパッカーなので、宿で壊れかけの自転車をレンタルし、王家の谷に向けて出発。

まずはナイル川を渡る必要がある。執拗な客引きを退け、国営のフェリーに自転車ごと乗る。

ものの5分程度で対岸へ。

漫画「遊戯王」のバクラが生まれた街の元ネタになった盗賊の村を抜け、ひたすら自転車を漕ぐ。ちなみに、元は王家の谷を荒らす盗賊の街だったらしいが、現在は王家の谷を管理する役割を与えられているらしい。しかし、王家の谷のスタッフは悪い評判が絶えないのでやってる事変わってないんじゃないかという疑念は残る。

炎天下の中、めちゃくちゃに自転車を漕ぎ、ようやく王家の谷の入り口に着いた。

王家の谷のチケットを買うと、3つの好きなお墓に入れる。

そして追加料金を払うと、入場チケットでは入れない特別なお墓に入ることができる。

入場チケットでは、ラムセス3世、ラムセス4世、ラムセス9世のお墓に入ることにした。

追加料金を支払い、ラムセス5世&6世のお墓と、ツタンカーメンのお墓にも入ることにした。

ちなみに、入場チケットは200ポンド(1,400円程度)なのに対し、ラムセス5世&6世は100ポンド(700円程度)、ツタンカーメンは300ポンド(2,100円程度)の料金だった。べらぼうに高いが、やむを得ない。年々、凄まじいスピードで値上がりしているようだ。ちなみに、半額になる国際青年証はスタッフの認識不足で使用できなかった。

せこいのが、チケット売り場から王家の谷のお墓が集まっているゾーンまでは結構離れており、遊園地とかで走っているような電車に乗り込んで向かう。それにも往復4ポンド(28円程度)かかる。わざわざこんなに遠くにチケット売り場を作らなくても。

入り口から順に入る。ラムセス4世のお墓から。マップはもらえなかったので、看板を見て進む。

入り口でチケットに穴あけパンチを器用に使って穴を開けてもらう。この穴が3つ空いたら無効になる仕組みらしい。

スタッフは無理矢理説明を始めて、バクシーシ(本来は喜捨的な意味だが、この場合はチップ的なニュアンス)を要求してくる。しかし、払う必要はないので断って進む。

そこには想像していた光景が広がっていた。今の今までこの状態で残っていることが奇跡のようなカラフルなヒエログリフ。

全く意味はわからないが、一つ一つ丁寧に観ていく。

次はラムセス9世。ラムセス4世と同じようなテイスト。しかし本当に美しい。何千年も昔に刻まれた彫りも角は風化することなく立っている。

ライトアップも完璧な色合い。黄金を連想させるような神秘的な調光。

そして次はいよいよメインのツタンカーメンの墓。実は王家の谷で現在見つかっている墓はツタンカーメンの墓を除いて全てが盗掘されていた。

ツタンカーメンの墓は奇跡的に盗掘を免れていた。ある考古学者が、この王家の谷には絶対にツタンカーメンの墓が眠っていると結論づけ、何年もかけて発見したらしい。

他の墓の建設時に、建設事務所的なものをツタンカーメンの墓の真上に建てていたことが盗掘を免れた要因であったとのこと。また、墓自体も隠し扉で擬装されていたが、考古学者はその扉を見抜いたらしい。

扉の先に眠るツタンカーメン王を発見したときのことを想像するだけでロマンをかき立てられる。

ツタンカーメンの墓自体はラムセス4世や9世のものよりも規模は小さく、また内部のヒエログリフによる装飾も質素なものであった。

しかしながら、ツタンカーメンのミイラも展示されており、噂通り脚に障害があったことがミイラからも見てとれる。

写真撮影は禁止されていると聞いていたが、入口のスタッフに聞くと、スマホなら撮影OKとのこと。カメラはダメでスマホならOKというのがよくあるが、なぜスマホならOKなのかよくわからない。比較的、誤ってフラッシュを焚く可能性が低いからだろうか。

とにかく、あくまでお墓なので節度を持って写真を撮らせていただいた。ツタンカーメン王に会えて感動。

次も追加料金を支払ったラムセス5世とラムセス6世のお墓。どうやら一箇所に二人とも埋葬されていたらしい。

ツタンカーメンのお墓とは打って変わって、観光客がまるで居ない。スタッフのおじいさんが一人だけ内部に座っていた。

外界から完全に隔離された静けさ。カイロ市内からそう遠くは離れていないにもかかわらず、音というものが全く聞こえない。

盗掘で破壊された棺。仮に盗掘に遭っていなかったら、どれだけ美しかったのだろう。

最後はラムセス3世のお墓。ここの壁画は一番クオリティが高いかもしれない。大きな壁画がいくつも並んでいる。これからも王家の谷が守られ、感動を生み続けることを願う。

王家の谷を後にする。もう夕方だ。

マーケットを見てみようと向かうと、宿で知り合った日本人のHルキ君とSュン君がいた。お土産を探しているらしい。一緒にマーケットへ向かう。

Hルキ君がエジプトのお土産で有名な香水瓶を見るために香水屋さんに入った。どうやら値段で話し合っているようで、値段を聞いてみるとなんと600ポンド(4,200円程度)。先日お土産屋で見た金額はせいぜい40ポンド(280円程度)だったので、多分高いよと伝えておいた。

結局400ポンド(2,800円程度)まで下がったものの、やはり高いということで店を出ようとした。

「余計なことを言ったな!彼は買おうとしていたじゃないか!」

先ほどまで冗談をかましていた店員が突然キレた。

「今日は俺の最初の仕事の日なんだ!邪魔をするな!俺は彼と話をしていたんだ」

そう言って店を出られないように通せん坊をしている。

僕たちは、落ち着いて、彼は僕の友達だからアドバイスしてもいいじゃないか、と反論したが、「もう落ち着いている」と怒鳴ってくる。全く落ち着いていないので、どうしようかと思った。

とにかく店から出る、他を見て欲しかったらまた帰ってくると伝えて無理やり出た。それでも店員は「絶対に戻ってこいよ!」と顔を真っ赤にして怒鳴ってくる。

普通に考えて、なぜそんな態度を取られた店で買い物をすると思うのか。

大変だったね、と話しながらマーケットを歩いていると、昨日お別れしたばかりだったHリエさんとそのご友人の方々にばったり会った。

さっきこんなことがあったんですよ、と話すと、やはり香水瓶は相場より相当に高いらしく、また、そのような態度を取る店があれば、Tourist Policeに通報すると伝えればあきらめるということだった。当然、その時に通報すると伝えようと思っていたが、逆上することを恐れて控えていたが、この後通報しようかどうか真剣に考えていた。が、まだこの街には滞在する予定なので、報復が怖く通報は控えることにした。

Hリエさん一行と別れ、焼き芋を食べて夕飯へ向かう。

夕飯はカイロの宿で出会ったRサコと合流。サンドイッチを食べ、ルクソール神殿が見える広場へ。

怪しいおじさんが声をかけてきた。途中で分かったが、どうやらRサコを口説いているらしい。

おじさんをまくためにも、電車のチケットを買うと言って駅へ向かった。

おじさんも諦めたようで途中で別れる。しかし数分後に再び見つかり、付き纏ってきた。

チケットを買う列にまで付いてきて、明日買おうよ、と諦めさせようとしてくる。

どうしても今日買いたい、と伝えて、窓口の列を待ち続けていると、いつの間にかおじさんは消えていた。おじさんは宿までRサコを付けてこようとしていたので、気は抜けない。

Rサコを宿まで送り、停めさせてもらっていた自転車を回収して自分たちの宿へ戻る。

久しぶりに自転車で走り回ったので、体が良い疲れ方をしている。このかんじ、一瞬で寝られる。

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せんまさお

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。

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