残していたホットドッグを朝食として食べる。11:00チェックアウト。宿の人間は10歳くらいの子供しかおらず、まだお金を払っていなかったので困っていたら子供がお姉ちゃんに電話を繋いでくれた。お姉ちゃんも18歳くらいなんだけどね。立派な兄弟だ。
40分ほど歩いてシェアタクシーが集まっているところへ到着。
「150ソモニ(1,650円程度)だよ」
もっと安くして!と頼んだら、安いタクシーはあっち、と道路の反対を指差した。
結局100ソモニ(1,100円程度)でタクシーは見つかったが、150ソモニのタクシーとどう違うんだろう。
キツキツパンパンの車で首都のドゥシャンベへ向かう。
途中、ヴァルゾブという山脈を抜ける。ただの通り道だが、圧巻の景色。山の斜面を削って作った道路は、遠くから見ると簡単に崩れて落ちてしまいそうなほど貧弱に見える。








乗り越えられない山には珍しくトンネルが通っている。その長さは5kmにも及ぶらしく、結構延々とトンネルを通るのだが、日本のトンネルで見るような天井についている換気扇みたいなやつがあんまり見当たらず、トンネル内は排気ガスか土煙か分からないが半端なく靄がかかっている。

一方通行ではないため、靄の向こう側からヘッドライトがジワジワ近づいてくる。こんなトンネル内で事故なんて起きれば、玉突き事故が発生することは容易だろう。しかしそんなことお構い無しに車はビュンビュン飛ばす。やめてー!
夕方にはドゥシャンベへ到着。しかしタジキスタンのマルシュルートカやバスはルートがよく分からない。適当に乗ってみたが、少し行きたかった場所から離れたところに着いた。
非常に疲れたのでタクシーを拾う。メーターが付いているので安心。途中、ドライバーがたまたま友達を見つけたようで、方向が同じだからと若い女性が乗ってきた。
「タジキスタンの女は綺麗か?」
ドライバーが聞いてくる。これこの状況だとイエスとしか言えない質問じゃない?でも、確かに彼の友達はめちゃ美人だ。めっちゃビューティフルやと答えると、女性はもうやだーみたいな照れ方をしている。素直や。
「どこが綺麗?」
目が綺麗です、と言うと、またもやもうやだーみたいな照れ方をする。中央アジアの人には日本人みたいな顔の人もいるが、瞳の色が少し薄くて、グレーや茶色っぽかったりして本当に綺麗なのだ。
ドライバーも友達も後部座席に振り返って微笑んでいる。ドライバーは前を向いてほしい。
「ウェルカムトゥータジキスタン」
女性はタクシーから降りていった。ドライバーは無言になり宿へ向かう。回り道してないかチェックしたが、ちゃんとまっすぐ向かっているようだ。
「どうだ、ちゃんと着いただろう、どうだどうだ?」
自慢げにアピールしてきてうざかわいい。30分ほど走ったが、19ソモニ(209円程度)で済んだ。
宿は路地の奥にあるようなので進む。突然クソ犬が現れ、僕に向かって吠えまくる。僕は石を握りしめ、これ以上近づいたら殺すと心の中で呟いた。犬は吠えるのをやめないので恐い。
僕は心を入れ替え、犬に寄り添う気持ちになった。
(そうだね、君だって恐いんだよね。わかるわかる。ワンワン。)
犬は吠えるのをやめ、尻尾を振り始めた。このバカ犬が。
ようやく宿に入ることができた。
「残念ながら予約している部屋のエアコンは壊れています。コンセントを差すと火を吹きます。」
じゃあ別の宿に行きます。キャンセルでよろしく。と伝えると、えっ、なんでですか?と驚かれる。
えっ、逆になんでエアコンが壊れた宿にわざわざ泊まらないといけないんですか?と聞く。
「別の素晴らしい部屋があります。そこなら7ドル(740円程度)です」
僕が予約した部屋は5ドル(530円程度)だった。5ドルにしてくれるなら泊まると伝えると、素晴らしい部屋だから7ドルなんですとのこと。じゃあ泊まらないと伝えると、ちょっとオーナーに聞きますと電話をかけ始めた。
なぜか電話を渡される。しかしオーナーは英語が通じないようで、通訳してくれと電話を再び戻す。
「6ドルにします」
と値下げしてくれたが、5ドルの部屋があると思って来たので、5ドルにならないなら別の宿に行くと伝えると、この街では6ドルが最安値ですよ?とのこと。僕は予約サイトで5ドルの宿が他にもあることを見せ、嘘つくなと注意した。
しかしこれからまた移動するとなると、正直しんどい。結局6ドルで手を打った。
「荷物がなくなっても責任は負えません。部屋にはカメラがありませんから。もし部屋にカメラがあったらそれは問題ですから。」
なんか変わった人だな。大丈夫、分かってますよ、と伝えると去っていった。僕のベッドどこやねん。
同室のウズベキスタン人が空いているベッドを教えてくれた。
荷物を置くと夕飯を食べに街に出た。昼飯を食べていないのでもうお腹と背中がくっついていた。
お腹の不調がまだ気にはなっていたので、チェーンのハンバーガー屋を調べると、SFC(サウザンフライドチキン)という店が見つかった。
注文から30分後、ようやくバーガーを受け取り食べていると、物乞いの女の子が店内に入って来て、僕のポテトをちょうだいとねだってくる。
どうしようかなと思っていると、店員さんにつまみ出されてしまった。
すぐに食べ終わって外に出ると、さっきつまみ出した店員さんが、廃棄か何かのハンバーガーとポテトを物陰でさっきの女の子に渡してあげていた。なんやこの感動的な光景は。ええ国かよ。

宿に戻ってシャワーを浴びようとするが浴室はクソ汚い。排水されず、床がドブみたいになる。なんやこの宿は。

せんまさお

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