【世界一周#349】マルタ

空が明るくなり始めた頃に駅に向かう。空港へは直通の電車が出ていた。

今日向かうのはマルタ共和国。イタリアからほど近い、地中海に浮かぶ小さな島国。

「ビザは？」

えっ、要らないです。

「ああ、ごめんなさい、日本人ね」

もうパスポートを渡しているのに先入観で別の国の人と間違えられる。

そういえば、僕は慢性鼻炎持ちで毎日何回もきっかけなくクシャミが出るのだが、今話題のコロナウイルスのせいか、僕がクシャミをすると、とても嫌～な視線が飛んでくる。前はブレスユー言ってくれてたのに。

チェックインを済ませてラウンジへ向かう。

サンドイッチ2つとパン4つ、グラノーラ1杯とポテト、スクランブルエッグ、ソーセージとコーラを朝ご飯に食べる。今日も朝から豪快である。

エア・マルタはLCCなんだろう、足元がギチギチのキツキツ。脚の長いヨーロピアンはもっと厳しいだろう。しかしたった1時間半のフライトなので問題ない。これよりもっとキツキツなミニバンで気温40℃の中13時間の山道ドライブをしたキルギスの150倍くらいマシ。仕事で破茶滅茶に1日働くより1800倍くらいマシ。

(ドスン)

激しい着陸でマルタ共和国に到着。シェンゲン協定内の国の税関はEU市民とその他で分かれているのだが、さすがに一度も止められたことはない。マルタの空港ではおじさん二人組が止められていた。別にやましいこともないので、X線スキャナに荷物を通そうとしたら「通さなくていい」と拒否された。

バスで市内へ。

早起きしていたので眠たすぎてお昼寝(シエスタ)。

起きたら夕方。スーパーへ買い出しへ行く。

旅しておきながらなんだが、旅中に旅行したくなる気持ちが湧くことがある。これこそが、旅と旅行が決定的に違う確固たる証拠だと思っているのだが、とにかく旅行をしたくなるのだ。

僕はマルタで旅行をしたいと前々から思っており、宿はキッチン付きの個室を予約しておいた。

キッチン付きの個室なら思う存分好きなものが作れる。供用キッチンだと、長時間使うと申し訳ないのでなかなか思うような料理が作れないのだ。

スーパーで買ったのは豚肉と鶏肉、米、小麦粉、卵、各種調味料、油、野菜。

まず豚肉から骨を外し、塩胡椒で下味をつけた後、小麦粉をつけて溶いた卵に浸す。ローマから持ってきたパンを薄切りにしてレンジでチンしてラスク状のものを作り、粉砕してパン粉を作る。豚肉にパン粉をまぶしたら油で揚げる。トンカツの完成。

タマネギを醤油、だしの素、砂糖と水で煮込み、タマネギが柔らかくなったら溶いた卵を２つ入れる。

炊いた米にトンカツを乗せ、卵でとじた玉ねぎとお汁をかけ、刻んだネギの青い部分と、千切りにしたネギの白い部分を乗せればカツ丼の完成。よっしゃ！！！

旨すぎる。我ながら完璧。生きててよかった。

満腹でベッドに横になる。Netflixでダウンロードしていたアニメを観る。Netflixは海外だと日本国内で見られる作品のほとんどが見られず、日本語字幕も吹き替えもなかったりするので、自然と元々日本語で世界的にも人気なアニメを観るようになった。しかし日本のアニメってすごい。ちゃんと感動するし笑える。今まであんまり知らなかったのが損なレベル。

今日見たのは「僕だけがいない街」。泣ける要素全部詰め込みましたみたいな心に滲み入るよいものでした。

さあ、寝よう。

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せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。