世界の知らなかった習慣・文化・マナー《後編》

前編からのつづきです。

()内の国の表記はあくまで代表的な国を例として挙げています。同一国内であっても地域によっては該当しない場合があります。全員に当てはまることでもありませんので、「へえそうなんだ」くらいの気持ちで見てください。



世界の知らなかった習慣・文化・マナー

朝だけシャワーを浴びる(広域)

最近の日本では、朝にシャワーを浴びる人が多数を占めるというデータがあるようです。しかし、朝シャンとは別に、夜もシャワーを浴びる、もしくは湯船に浸かる人がほとんどだと思います。

旅していて気づいたのですが、ほとんどの国の方は朝だけシャワーを浴びるようです。というのも、ドミトリー(相部屋)の宿泊者は、共用のシャワー室を使うのですが、夜はいつでもガラガラで、待つことがほとんどないので、このことに気づきました。

あるフィリピン人の方に「夜にシャワーを浴びるなんて汚い!」と言われました。

日本人からすると理解しがたい概念ですが、なぜなのか聞いてみると、人に会う前の朝にシャワーを浴びるのがエチケットだとのことでした。朝シャンをする理由と一緒かと思いますが、日本人からすると、ベッドに入る前にシャワーを浴びないことも汚いように感じてしまいます。

特に欧米人は朝だけシャワーを浴びる方が多いようで、夜のドミトリールームは結構ひどい匂いがすることがあります。文化の違いだと受け入れるしかありません。一方で、欧米人からすれば、「あいつ朝起きてシャワーを浴びずに出て行ったぞ。汚い奴だな。」と思われているかもしれませんし。

僕は朝も夜も両方浴びたいというのが本音で、旅中は着替えとかの都合で夜しか浴びません。

長距離移動は乗合タクシーで(中央アジア各国)

旅はバスや電車、船を使って移動することが多いのですが、中央アジアでは乗合タクシーで移動することが多いです。時刻表を元に運行されるバスと違い、人が集まれば出発する方式です。なので、人が集まらなければ、何時間も待つ必要があります。

僕も2時間くらい出発を待っていたら、空席分を追加で払えばすぐに出発するぞ、と言われました。要は採算の取れる料金が集まりさえすれば、ドライバー的には問題ないのです。

人が集まり次第出発するので、ドライバーはライバルと客の取り合いをします。その取り合いの喧嘩を何度か見ましたが、とりあえず無理やり客を乗せ、さっさと出発すれば勝ち逃げのようでした。

ちょっとした飲み物を飲む時間がある(各地)

インドでは、チャイ。イタリアではエスプレッソ。のように、日常的にさっとちょっとした飲み物を飲む習慣が世界各地にあります。これが思いの他、リラックスできる瞬間であり、旅で歩き疲れた時や、喧噪で気持ちが疲れた時のリセットにちょうどいい感じなのです。

個人的には、インドのチャイ文化がとても気に入りました。いたるところにチャイの出店があり、安ければ10円くらいで一杯飲むことができます。同じ国であっても、地域や店員さんのさじ加減で味が違うので、毎日違う店で飲むのも楽しいです。日本にも、ちょっとだけ飲んで一息つく文化ができればいいのにな、と思いました。

タクシーが客引きをしてくる(広域)

日本ではタクシーの客引きが違法とされているので、めったに運転手から勧誘行為を受けることはありませんが、僕が訪れた多くの国では、むしろ客引きを受けなかった国の方が少なかったです。それらの国でも違法の可能性はありますが、少なくとも、取り締まりが厳しいような印象はなく、積極的すぎる客引きを受けることが多いです。

そして、客引きをするドライバーの多くは、違法な料金設定(メーター制が義務付けられてるにもかかわらず、言い値をふっかけてくる。もしくは相場の何十倍といった法外な料金を提示してくる。)や、タクシーとしての認可を受けていない白タクの可能性が高いです。とにかく、トラブルを避けるためには客引きされたタクシーには乗らないように気を付けてください。

最近では、タクシー配車アプリがありますので、そちらを使えば、100%とは言いませんが、安全な利用が期待できます。

闇両替レートが存在する(イラン、スーダン、エチオピア等)

闇両替とは、固定為替相場制を取り入れている国の公定レートが経済の実態を反映している実勢レートから乖離しているとき、両替商の許可を得ていない者が実勢レートを持ちいて両替することです。簡単に言うと、一つの国の中に、国が定めるレートと民間で自然と定まったレートの二つの両替レートが存在し、民間のレートの方が外国人の両替にとってはお得な両替になっているという話です。その民間のレートが闇両替レートということです。

基本的には闇両替は違法行為なので、場合によっては当局の摘発対象になります。また、偽札をつかまされる等のリスクもあります。

日本は変動為替相場制(需要と供給のバランスで決まるレート:民間で自然と定まったレート)なので、闇両替がありません。かつて米ドルは金に交換できる(金によって保障された)通貨だったので、それを基軸に各国の為替レートが固定で設定されていたのですが、1971年に金への交換を保証しなくなったため、各国がレートを市場に委ねる変動為替相場制を取り入れることになりました。主にまだ固定為替相場制のままの国で、こうした闇両替がむしろ一般的な両替方法として存在しています。変動為替相場制の国でも闇両替はありますが、外貨への両替金額の上限がある国など、両替に何らかの制限がある国でのみ、闇両替市場が生まれます。

※このブログに闇両替を推奨する意図はありません。

日曜日に店が閉まる(キリスト教文化圏)

日曜日はキリスト教における休息日のため、キリスト教徒の多いヨーロッパ諸国の内いくつかの国では、日曜日は多くのお店が休みになります。スーパーマーケットも例外ではないため、節約派バックパッカーからすると、食料の買い出しが出来ず、深刻な食糧問題に直面します。ですが、いつでもどこでも開きっぱなしのお店ばかりの日本よりは、人間的な生活ができそうです。

金曜日に店が閉まる(イスラム教文化圏)

キリスト教は日曜日が安息日ですが、イスラム教では金曜日が安息日です。僕がイランに滞在していた時は、金曜日にお店が一斉に閉まり、あちこち歩き回ってようやく開いている商店をひとつ見つけ、パンを買うことができました。安息日と食事問題は結構深刻なので、旅中は失いがちな曜日感覚を取り戻すきっかけにもいいかもしれません。

タクシーは助手席に乗る(広域)

日本では一人でタクシーに乗るとき、後部座席に乗るのが常識ですが、国によっては不審がられる行動にもなり得ます。これは不思議な文化で、どの地域がこの傾向がある、というものではなく、結構ランダムに後部座席に乗るか、助手席に乗るかが決まっています。中国国内でも分かれており、基本的には助手席に乗っているような感じでしたが、上海のタクシーはむしろ助手席には乗れないような作りになっていました。

もちろん、どちらに座ればいいのか分からないときは、運転手さんに聞けば問題ありません。ですが、治安の事を考えると、後部座席に乗った方が、いざと言うときに逃げやすいので、特に女性の場合は、治安が心配な国では問答無用で後部座席に座ればいいとも思います。

左手で物を食べたり人に物を渡してはいけない(インド、いくつかのイスラム文化圏)

左手は不浄の手であると考えられているため、とにかく気をつけましょう。僕はうっかりおじさんの背中を左手で触ってしまい、ちょっと嫌そうな顔をされました。どうしても右手が塞がっているなどで、左手を使わざるを得ない場合は、「左手ですみません」と言えばマシだそうです。左利きには不便な社会です。

インドでは手で食事を直接掴んで食べるのですが、米ならまだしも、ナンや、チャパティと呼ばれる全粒粉で作った薄いナンみたいなものを食べるときでも、片手で千切って食べるので、ついつい左手を使ってしまいます。ここだけの話、左手を使っているインド人も見ましたが、これは秘密です。

屋外で酒を飲んではならない(広域)

日本では、花見や祭など、外でお酒を飲むことが文化となっています。マナーの良し悪しは別として、電車の中や、コンビニの前でも飲んでいる人がいます。しかし、いくつかの国では、屋外で酒を飲むことが禁止されています(アメリカ、オーストラリア、スペイン等)。

また、イスラム教徒が多い国では、飲酒自体が禁止な国も少なくありません。禁止とまでいかなくても、人前で飲酒をすることをはしたないとする国もありますので、どうしても飲みたいならこっそりと。

また、日本のように、どこでも手軽にお酒が買うことができない国もあります。そのような国では、許可を与えられた酒屋があるので、酒屋でお酒を買います。

ちなみに僕はお酒を飲めないので、飲酒関係の文化やマナーには無関係の旅をしていました。

屋内の喫煙は違法だが、歩きたばこは合法(ヨーロッパの多く)

「ヨーロッパはタバコ先進国」みたいなフレーズを聞いたことがあるかと思います。しかし、実際に訪れてみて、そうなのかな?と疑問に思わざるを得ませんでした。というのも、歩きたばこが非常に多いのです。いくら人ごみだろうが、あちこちからタバコの匂いがしてきます。吸い殻も落ち放題で、タバコ先進国とは一体なんなんだろうと不思議に思います。

恐らく、このタバコ先進国という表現は、法規制から来たものだと思います。ヨーロッパ、というかほとんどの国では、屋内での喫煙が禁止されており、当然レストランでも禁止されています。

一方で、禁止の場所以外ならOKという認識のようで、路上での喫煙者が非常に多いです。路上に設置されたごみ箱には、灰皿が設置されていることが多いです。とはいえ、日本人からすると、喫煙者であっても歩きタバコへの抵抗がものすごく強いので、非喫煙者からしたら不快でしょうがないんだろうなと思います。

そういえば、都内の居酒屋でタバコを吸っていた時、欧米人らしき人が英語で「なんであの人ここでタバコ吸ってるの!」と日本人の友人らしき人に向かって血相を変えて聞いていたことがありました。僕でもそれくらいの英語は分かりますから、ちょっと気まずかったです。日本も受動喫煙防止法が施工され、時代が変わりました。恐らくこれで本当のタバコ先進国の仲間入りです。

長い昼休憩を取る(スペイン)

スペインに滞在中、あからさまに人が少ない時間帯がありました。そう、かの有名なシエスタです。なんとなく昔の文化なのかなと思っていましたが、一般的に13~16時に取られるというシエスタの時間帯は、確かに人通りが減るのです。都市部ではそこまで感じませんでしたが、地方都市は明らかに減っていました。

シエスタは、スペインの気象条件と食文化によって生まれたもののようです。夏の午後の日差しは痛いくらいなので、それを避けるため、という目的と、スペイン人のメインの食事は昼食であり家族で囲んで食べるため、という目的があったそうです。現在では、国が公務員のシエスタを廃止したことで、今後は徐々に廃れていく方向に向かっているそうです。なんだかそれも悲しいもんです。

まとめ

旅する中で様々な習慣・文化・マナーを知りました。ここには書ききれないほど、世界中には沢山の「常識」があります。

日本に観光に来る方を見て、「マナーの悪い観光客だな」と思うこともあるかもしれませんが、もしかするとただ日本の習慣・文化・マナーを不勉強なだけで、その国の方にとっての常識なのかもしれません。

そして、習慣・文化・マナーというものは、もはや潜在意識に刷り込まれており、意識せずともそれを基準に行動に移してしまいます。ですから、観光客が日本人の目から見て変なことをしていると思ったら、ある程度は理解し、日本ではそれ変だよと教えてあげるくらいの余裕があった方がいいのかもしれません。

僕も何度か現地の方から注意されたことがありますが、そんなものガイドブックには載っていないから分かりようがないというレベルのものもありましたから、むしろ教えてくれたことで、それ以上の失礼が防げたのでありがたかったです。

次回は海外に出て初めて知った、日本の変わった習慣・文化・マナーを紹介します。

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せんまさお

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。

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