6時集合でCBTオフィス(公益系の旅行案内兼代理店)に向かう。当然のように遅れたが、同じように遅れて向かっている欧米人グループがチラホラ見える。みんなそんなもんだ。
ポルトガル人カップルと合流し、早速タクシーに乗り込む。タクシーというより、今日のフェスティバルに合わせて急遽集められたドライバー達というかんじな気もする。



昨晩は3時間くらいしか寝られていないので、すぐに寝てしまった。ふと目を覚ますと山の途中。モンゴルで見たような遊牧民の生活があった。というか似すぎ。

2時間半も経たないうちにソンクル湖に到着。と同時にビシュケクの宿で出会ったKンジ君と再会。チャリダー仲間とテントを張っているようだ。
朝飯をKンジ君たちと一緒に食べる。買い込んだパンをかじっていると、Kンジ君のチャリダー仲間のドイツ人の方々がコーヒーを下さった。ソンクル湖は標高3,000mあたりにあるらしく、肌寒いのでありがたい。

ホースフェスティバルは午前10時から午後11時まで行われる。チケットを見せ、会場に入る。ちなみにチケットを買わなくても会場は丸見えだ。なぜなら草原にロープを張って区切っているだけだからだ。

ユルト作りのパフォーマンスが始まる。モンゴルのゲルに激似なのはモンゴル帝国の侵略が関係しているのだろうか。ほぼ一緒だ。




フェルト作りのパフォーマンスも始まるが、人の山で全く見えない。

つまらないのでウンコでもしようとトイレに向かっていると、羊が気絶して倒れていた。
なんだなんだと見ていると、ナイフを持った二人のおじさんが現れ、一人が身体を抑えると、あっという間にもう一人がナイフで羊の首を切ってしまった。

ビクビクッと大きく跳ねる羊の身体。流れ出す血が少し窪んだ地面に溜まっていく。
Kンジ君たちとHロさんもやってきた。
ナイフ一本であっという間に身体から皮が剥がされていく。まだ身体と繋がったままの頭。目の色がだんだんと白く濁っていく。
内臓を抜かれ、肉の塊になった羊は運ばれていった。
キルギスでは、ナイフ一本で羊を捌けなければ男じゃないみたいな風潮があるらしいが、それは確かに見事なテクニックだった。
「湖で泳ごう」
Kンジ君の提案で湖に向かう。少しだけ白く濁った水は、遠くから見ると、空を反射して真っ青に染まっている。

めちゃくちゃ水が冷たいが、やっぱりこういうのは気持ちがいい。巨大な湖なので、まるで海のようだ。しかし奥には大きな山脈が続いているので不思議な気分だ。

昼食はホースフェスティバルの参加費に含まれている。暖かいスープとプロフ(ピラフみたいなやつ)。水に入った後のご飯はいつだって激ウマだ。


昼からはホースフェスティバルらしく、馬を使ったスポーツ観戦。羊の死体をボールに見立てて、ラグビーのように馬でぶつかって自体を運びながら進むスポーツ。野蛮すぎやしません?

馬をこれだけ上手く扱えるのはやっぱ遊牧民だなぁってかんじで素直にカッコよく見える。

夕飯はまたパンだけかじろうと思っていたが、Kンジ君がスープを作ってくれた。チャリダーの荷物は限られているだろうに、ほんまに優しい。それにしても味付けがうますぎる。チャリダーはほとんど毎日自炊だろうから上達するんだろうなぁ。

そのうち日が暮れ、歌にダンスとキャンプファイヤーが始まった。




踊り狂う人々。それを遠くから眺めて、あ、こりゃ僕は入られへんなぁと歩いてどこか遠い場所へ逃げる。
Hロさんと色々と話す。最近ルート決めでとても悩んでいる。行きたい気持ちと、行きたくない気持ちが混ざって複雑なのだ。それと同時に旅が日常になってきているようで、どうとパッとしない気がする。
モヤモヤ抱えている気持ちを相談していると、Hロさんも旅に出るにあたって色々と掛けた思いがあることを教えてくれた。
振り返ってみると、僕もすんなりと旅に出られた訳じゃなかった。旅のために犠牲にしてきた事や気持ちが山ほどあることを思い出した。
旅に出るまでの5年間、辛かった。色んな事情から、思うようにできない日々がどれだけ自分を傷つけるのか身に染みてわかった。
オーバーに聞こえるかもしれないが、ただでさえブラックとか言われる会社で働きながら、他にも色々と活動していたので、とにかく忙しくてロクに寝られない日々がずっと続き、心臓の動悸や吐き気、身体の震えが止まらず、それでも誤魔化しながら動き続けていたら気を失って文字通り何度かぶっ倒れてしまった。たまにうんこも漏らしていた。あまりにしんどすぎて、これはもしかしたら死ぬかも知れないなと思ったりもしたが、旅に行けないくらいなら死んでも構わないと自分に鞭を打って頑張った日々だった。それでも大丈夫ですと言って笑ってごまかすしかなかった。今振り返ればマジヤバイの一言に尽きる。マジヤバイ。
あのときの気持ちを忘れてはいかん。命をかけて手にしたこの旅だ。後悔なく旅することはできないかもしれないが、心に素直に進んでいこうとリセットできた。
空は満点の星空。あっちの星空が綺麗だ、こっちの星空が綺麗だと無意味なトークが盛り上がる。もう寒いからユルトに戻ろう。明日からも綺麗な世界を楽しもう。


せんまさお

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