旅をしていると、日々多くの美に出会います。
それは工芸品であったり、絵画であったり、遺跡、建築物、彫刻、宗教上の偶像など多種多様です。
それらの美は写真集や報道、果ては教科書に載ったりなんかして、遠く離れた世の人々の目に触れる機会を得ます。
しかし、例えば彫刻であれば立体物なので、多面的な顔を持っているものですが、写真で見かけるものはいつも盛れている角度のみ。
僕はずっと昔からそういったものの違う角度からの見え方が気になって気になって、夜しか眠れない生活が20年以上続いていました。
そこで、せっかくの世界一周なのだから、そのような有名なものを違った角度から見てみようと右へ左へ、そして裏側に回って見続けてきました。
今回は僕がシャッターに収めた「美の裏側」写真集を見て頂こうと思います。
もくじ
ロゼッタストーン(イギリス・ロンドン)
エジプトで発見され、現在はロンドンの大英博物館に収蔵されている石板です。古代エジプト神聖文字(ヒエログリフ)、民衆文字、そしてギリシア文字で同一の文章が書かれており、この発見によってヒエログリフの解読が進んだという世界で最も価値を生んだ石板です。
正面
右斜め正面
左側面
想像より分厚いです。
裏側
裏側には何も書かれていません。平らでもありません。
ダビデ像(イタリア・フィレンツェ)
ミケランジェロ作の大理石の彫刻です。モデルはイスラエル王国二代目の統治者です。巨人ゴリアテに石を投げようと狙いを定めているシーンだそうです。
正面
遠くから見たら顔がでかいように思いますが、下から見上げるとちょうどいい大きさに作られたそうです。

右斜め正面

右側面

左側面

裏側
引き締まった身体と対照的なプリケツです。

モアイ像(イギリス・ロンドン)
チリのイースター島にある石像です。現在ロンドンの大英博物館に展示されているものは約150年前にイギリス人によって無許可で島から持ち出されたものとされており、イースター島の代表団が返還を求めています。
正面

右側面

裏側
背中にも彫刻がありました。

サグラダファミリア(スペイン・バルセロナ)
建築家ガウディの未完成の作品です。未完成の建築物としては唯一世界遺産に登録されています。実は建築許可の正しい手続きがとれていなかった違法建築物でしたが、2019年にようやく許可が下りたという裏話があります。
正面

裏側
ガウディは設計図ではなくスケッチのみを遺して亡くなったのですが、それを元に設計し、また設計図も燃えて失くしたり、そもそも建設期間があまりに長かったりしたために、表と裏でずいぶんテイストが違います。
建材も表は石造りなのに比べ、裏側はコンクリート製です。彫刻は表は曲線を使ったものであるのに比べ、裏側は直線を多用しています。ご想像通り、賛否両論です。

トレビの泉(イタリア・ローマ)
20kmを超えるヴィルゴ水道の終端に位置します。コインを投げ入れるおまじないが有名です。中央には水を司るポセイドンの像があります。
正面

右斜め正面

右側面(裏側)
実はこの泉はそんなに大きくありません。しかし、正面から撮った写真では分からないものです。

スフィンクス(エジプト・カイロ)
ギザの三大ピラミッドの傍にある巨大な石像です。長い間、頭だけだと思われていましたが、掘ってみたら身体もあったという笑い話があります。冥界の守護者として信仰の対象とされてきました。
正面

左斜め正面

左側面

右側面

左斜め裏側

裏側
身体部分の浸食が激しく、修復することでなんとか保っている状態だそうです。顔は人間、身体はライオンがモチーフらしく、スフィンクスに元々は尻尾があったのかどうかだけが気になります。

ケルン大聖堂(ドイツ・ケルン)
ゴシック様式の157mの大聖堂は1884年まで建築物としては世界一の高さを誇りました。完成まで600年以上(途中200年の中断あり)かかり、ゴシック建築の聖堂としては今でも世界一の高さです。過去には日本の大学生が回廊に落書きし、大学関係者と共に謝罪する一件が起きました。日本を含む各国の言語で書かれた落書きが壁一面にあったことが印象的です。
正面

右側面

裏側
光を取り込むステンドグラスがはめ込まれています。

小便小僧(ベルギー・ブリュッセル)
盗難防止でオリジナルはブリュッセル市立博物館に所蔵されています。反政府軍が点火した爆弾の導火線に少年が放尿して消火したという武勇伝を元に作られたという説があります。実は近くに小便少女の像もあります。
正面

右側面(裏側)
膝を軸にのけ反り気味です。

ハワー・マハル(インド・ジャイプール)
風の宮殿という意味です。宮廷の女性がこの小窓から街の様子や祭を眺められるように作られたそうです。
正面

裏側
実は薄っぺらい構造で、ハリボテのような作りをしています。

スキニーブッダ(ミャンマー・マンダレー)
断食後のブッダをイメージして作られた像です。そこはかとなく漂うロボット感に言葉を奪われます。
正面

裏側
背骨が浮き出しているというか皮膚の表面にくっついているようにも見えます。

レイチェンセッチャー大仏(ミャンマー・モンユワ)
116mにもおよぶ立像です。台座は13.5mあるので、見上げると129.5mもあります。世界で2番目に高い仏像です。実は内部はビルのような作りになっており、各階には大仏が祀られているのでマトリョーシカ構造なのです。
正面

左斜め裏側(裏側)
業務用のエレベーターが設置されていました。一般観光客は階段で登るので非常に辛いです。ちなみにどちらにせよ最上階には行けませんし、外の眺めを楽しむこともできませんが、登るのは結構楽しいです。

聖ポール天主堂跡(マカオ)
ポルトガル人が居留していた地区に建てられた天主堂の遺跡です。実は当時日本では信仰を禁じられていたキリスト教を信仰していた人が日本を追い出され、ここの建設に携わっていたという歴史があります。菊の花が掘られているのはその名残だとかなんとか。
正面

右斜め正面

右側面

裏側
じつは大部分が焼失してしまい、壁一枚が残っているだけです。裏側は補強されています。

パルテノン神殿(ギリシャ・アテネ)
古代ギリシアの時代に作られました。彫刻の一部は、ロンドンの大英博物館に収蔵されていますが、例のごとくギリシャ政府から返還を要請されています。
左斜め正面

右斜め裏側

裏側
裏から見ると意外とスカスカなことが分かります。実はオスマン帝国時代は火薬庫として使用されており、攻撃を受けて爆発炎上した歴史があります。現在は後世に伝えるための再建計画を実行していますが、ギリシャは財政難が深刻で、アテネ市内はそれどころじゃないような街の雰囲気をしていました。

裏側を見ると裏側が知れる
表の写真の内何枚かは、きっとどこかで見たことがあったのではないでしょうか。
どこかで見た写真と同じ構図で写真を撮るのであれば、自分が撮る意味があまりありませんが、ちょっと違う角度で写真に収めればちょっとした話のネタになります。
また、裏側を見ることで、初めて知ることもあり、歴史の裏側を覗き見たような気持ちにもなれます。
是非、有名なものを見に行ったときは、裏側までじっくり楽しんでみてください。

せんまさお

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