「仕事やめるわ」
緊張しながらも、家族に一人ひとりに伝えていきました。
一番緊張した姉への報告を無事に済ませて、最後は一番伝え方に困る祖母に報告することにしました。
歳も歳なのであまりビックリさせたり心配はかけたくありません。
一緒にかしわ餅を食べながら、それとなく伝えようとします。
「かしわ餅おいしい(仕事やめるわ)」
伝わらなかったので勇気を出して言いました。
「そういえば、仕事やめるわ」
かしわ餅を飲み込んで祖母は言いました。
「はえ?シャワーするんか?」
そう、祖母は耳が遠いのです。
「し・ご・と・や・め・る!」
結局大きな口を開けて大きい声ではっきり言うことになりました。
お茶を飲んで祖母は言いました。
「おりょー!面白くなかったんか?」
祖母は文頭に謎のフレーズを付ける癖があります。
それは置いておいて、その祖母の一言にハッとしました。
そうか、我が家は面白いか面白くないかで物事を決めていたんだ、と。
どうりでみんなボケっとしているけど楽しそうにしているわけです。
長らく家を離れている内に忘れてしまっていた感覚でした。
面白いか面白くないか、とてもシンプルだけど核心を突かれた気がしました。
大人になっていくにつれて、面白いかどうかよりも、必要なことか、役に立つことか、と自然と判断していくようになりました。
結果として、辛くて嫌なことも「やらないと」と考えてダラダラとしていました。逆に面白そうだと思うことであっても必要でないと判断すれば、やらないことが増えていました。
結局、面白くないことは続けていても面白くないので中途半端になってロクな結果になっていないことも多かったです。(途中で面白さに気づくこともありましたが、やや無理やり感がありました)
面白ければ、意識しなくても勝手に没頭していきますし、その内に経験値が増えて自信もついてきます。没頭しているとその周辺の分野にも興味が湧いてきます。そして自然と行動も知識も増えてきます。
そんな循環が一番良いのに、そんな当たり前のことを忘れてしまっていました。
結局、面白く生きていくことが一番ですし、家族としても僕が苦悩しているより、面白い生き方をしている方がいいものなんでしょう。
感動していると祖母が言いました。
「ほい、クッキー食べ」
このように、結果として家族全員から仕事をやめることを反対されることはありませんでした。
めでたし、めでたし。
せんまさお
最新記事 by せんまさお (全て見る)
- 【世界一周#411】アレナメヒコ - 2024年9月22日
- 【世界一周#411】アレナメヒコ - 2024年9月22日
- 【世界一周#410】グアダルーペの聖母マリア - 2024年9月21日
コメントを残す