【世界一周#115】福建土楼と麦わらのおじいさん

充電ケーブルを盗まれたしWi-Fiが壊れていて使えないから部屋を変えて欲しいとスタッフに伝えた。

「この宿では過去に盗難が起きたことはありません。誰かが間違えて持って行ったんだと思います。」

盗難だろうが誰かが間違えたんだろうが、現に無くなったんだから理由はどっちでもいい。それに盗難の発生は宿泊者に依存するから過去の話は関係ないでしょ、と伝えたら、「探します」と言われた。宿に責任はないんだから、Wi-Fiも使いたいことだし、とにかく部屋を変えて欲しい。

それが昨晩の話。今朝は5時に起きて6時に宿を出た。眠たすぎたが、犬に吠えられて目が覚めた。

今日は世界遺産の土楼へ向かう。土楼とは円形の巨大な建物で、木造で厚い土壁をしている。その昔、盗賊から身を守るために作られた要塞兼マンションみたいなものだ。

厦門からだとバスでも行けるようだが、めちゃくちゃ時間がかかるらしいので、行けるところまでは電車で向かうことにした。

龍岩という駅から路線バスでバスターミナルへ移動し、長距離バスへ乗り換える。なかなか分かりづらい。「土楼」と表示した画面を窓口で見せてチケットを買った。どうやらすぐにバスは出るようだ。

バスに乗ると一瞬で寝てしまい、2時間後に起きたら土楼の前に僕はいた。着いたはいいが、帰りのバスの最終は5時間後。近くのお店で地図を見せてもらうと、土楼はあちこちに点在しているらしく、要所を見て回るためには歩きだと難しいことが分かった。

帰りのバスチケットを買う時に、スタッフにどうにかならんか聞いてみたら、バイクタクシーをチャーターすることを勧められた。バイクタクシーがこんな山の中にいるのかと驚いたが、確かにバイクタクシーは店の目の前にいた。

4時間ほど要所を回ってもらうように頼み、150元(2,490円程度)で話はまとまった。高いのか安いのか分からないが、もう来てしまったんだからしょうがない。英語が少し話せるらしく、ついでにガイドをしてくれるらしい。

ドライバーはふくよかなおじいちゃんだった。バイクで後ろから見ると和む。たぶんヘルメットなんだろうが、竹で編んだ帽子を被っている。麦わら帽子みたいで更に和む。

土楼は思ったよりも重厚だ。とにかくデカイ上、話によると、土壁は分厚い下層部分で2m近くあるらしい。もはや地面だ。外部からの攻撃から守るために入り口は一つしかなく、その扉も分厚い板と鉄で作られている。しかもそれが700年前とかそんな昔に作られたらしい。高い土楼で5階建のものを見たが、そんな高層建築が700年前とかに中国に存在していたことが驚きだ。僕の実家だって2階建なのに。

土楼は円形であり、中央部は中庭のようになっている。つまりドーナツ状に建っているのだ。なので中は暗くてジメジメしてそうと思ったが、土壁のおかげで涼しく、空丸見えの中庭があるので空気も淀んでいなかった。昼間はそんなに暗くもなさそうだ。

各部屋はバウムクーヘンを切る時みたいな形で区切られており、窓はないか、あっても小さいものだけだ。どうやらこの小窓から鉄砲で盗賊を撃つらしい。

麦わら帽子ヘルメットのおじいちゃんと土楼でお茶を飲む。厦門もこの土楼も、福建省にある。福建省はお茶の名産地であり、いくつかの土楼ではお茶が売られていた。

おじいちゃんの友達のおばあちゃんの店らしく、急に饒舌になる。女性の前で調子に乗ってしまう系男子のおじいちゃんは、お茶買わんか、タバコ買わんか、このお菓子あげる、タバコあげると、気が利いているのかいないの訳が分からないことになっている。

ちょうどお茶を買おうと思っていたので、このお店で少しだけ買うことにした。麦わらのおじいちゃんはこれ見よがしに英語で金額を紙に書いて見せてくれた。

「Green tea 100g 40元」

支払いを終えると、お店のおばあちゃんが、「もっとお茶飲みなさい」と更に沸かしてくれようとしているらしい。おばあちゃんは後ろを向き、おもむろに杓子を手にして、僕が座っている横の地面に空いていた穴にその杓子を突っ込んだ。そして杓子には水が入って出てきた。

井戸水だったのである。知らぬ間に僕は井戸水を盛られていたのだ。実は僕の実家にも井戸があり、幼い頃より「井戸水飲むべからず」と厳しい教育を受けていたのだ。

おばあちゃんはその水をケトルに入れて沸かし始めた。そこケトル使うんやと突っ込みたくなったが、幼い頃より「人の気遣いを大切にしなさい」と厳しい教育を受けていたので大人しくお茶を飲み続けた。

僕はお茶が嫌いなのだが、美味しいお茶は別だ。美味しいんだからしょうがない。あのなんでもいいから飲みたい時に飲まれるようなお茶は本当に飲みたくない。ジュースがいい。欲を言うならコカ・コーラがいい。

もう一つ別のところで花のお茶を買った。中国に来てからずっと探していたのだが、さすがお茶の名産地、なんでも揃っている。そしてここで売られているお茶は手揉みらしい。まあなんて贅沢な一品なのかしら。真空パックにしてもらったから2年は保つらしい。それは信じていない。

あっちやこっちや土楼を回り続けた。これは四角い土楼だ、これは新しい土楼だ、この土楼には今も300人住んでいる、この土楼には泊まることができる、ここから見る土楼は綺麗だ、この棚田は綺麗だから僕が写真に撮りたい、と次々連れ回してくれた。

結果として、バイクタクシーをチャーターして正解だった。見たかった場所は全て回れた上、通常では入れない土楼の上層階にも、住人に口利きしてくれて登ることができた。バスにも無事間に合った。

麦わらのおじいちゃんとお別れ。

「Have a nice day!」

そう言っておじいちゃんはおじいちゃん仲間の元へ帰っていった。いい人だった。

来た道をなぞるように帰ってきた。お願いしていた通り部屋を変えてもらった。もう一日だけ厦門にいようと思う。

I visited to “Tolou” that is one of world heritage. It’s kind of building but it was made in over 700 years ago. There are some inhabitants that live in here until now. I could enter this building(?) and upped stairs. This building could guard the inhabitants from their enemy long time ago. So the walls are too thick also doors. I really excited to watch them.

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せんまさお

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。

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シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。