スロバキアを流れるドナウ川の河川敷を散歩していたとき、川に流される水鳥を見て、一句浮かびました。
「水鳥が 流れていくよ ドナウ川」
あまりに美しい句に自惚れていましたが、他にも考えてみたくなり、今回いくつか川柳を詠んでみました。美の世界をお楽しみください。
もくじ
インド人 僕のサンダル 枕にす
インドの夜行列車に乗っていたとき、夜にトイレに行こうとベッドを降りるとサンダルがなくなっていました。「盗られたか」と焦りながら探していると、なぜか床で寝ていたインド人が起き、頭の下から僕のサンダルを取り出して渡してきました。何事もなかったかのように彼は言いました。「どこから来たの?」
抱きしめて 嗅いでキスして 羊の子
遊牧民の子供が羊の群れに向かって一目散に駆けていきました。しばらくすると、一匹の羊の子を捕まえて戻ってきました。その羊の子を大切に抱きしめ、毛に顔をうずめて嗅いでキスしていました。なんて愛おしいのでしょうか。
嘘をつく 男の瞳は 淀みなく
毎日のように嘘をついて旅行者からお金を巻き上げているのでしょう。手慣れた詐欺師は一片の曇りもないまっすぐな目でありえない事を言い出すのです。「今日、駅は休みだ」
大か小 当てると二倍 ここカジノ
マカオのカジノには「大小(シックボー」というゲームがあります。サイコロを3つ振って、その合計が半分より大きいか小さいか当てるゲームです。当たると2倍、外れると没収。さあ、賽は投げられた。
こんにちは I’m sorry アニョハセヨ
日本人も韓国人もはっきり言って見分けがつきません。なんとなく日本人っぽいな、韓国人っぽいな、というのはありますが、韓国人っぽい日本人もいますし、日本人っぽい韓国人もいるので、実質分かりません。この人は日本人だろう、とほぼ確信を持って「こんにちは」と声をかけると韓国人だったということが何度もあります。そんなときは間違ったことを謝ってから言います。アニョハセヨ。
いつ来るの 来るの来ないの バス来るの
中国の山奥に来ていました。一日一本しかないバスで帰らなければならないのに、予定の時間を過ぎてもバスはなかなかやって来ません。バス停はなく、通りかかるバスを止めなければ乗れないので、道路から目を離せません。標高2000mの日差しは肌をジリジリと焼きますが、日陰に入ると道路は見えません。近くの人に聞いても「知らない」、もしくは「そのうち来る」とのこと。来ることを信じて道路わきに立って待ちます。そして1時間後、バスはようやくやって来ました。
泳いだよ 寒空の下 ソンクル湖
キルギスの標高3000mにあるソンクル湖。首都では連日気温40度を超えていましたが、ここまで標高が高くなると、少し肌寒く感じます。出会ったドイツの方は湖で泳いできたそうで「水はそんなに冷たくないよ」と言っています。パンツ一丁になり、ダッシュで湖へ飛び込みました。とても冷たかったです。
アルバニア 国旗はまるで ボスの旗
世界一クールな国旗はアルバニアの国旗でしょう。少なくとも男ならトキメかざるを得ないと思います。真っ赤なバックに黒一色で描かれた双頭の鷲。かつての鎖国時代、ロシアを仮想敵国としてアルバニア軍は地下に拠点を作っていました。現在では一般公開しており、軍司令部の部屋を見ることができます。地下の部屋の壁に飾られた国旗はもはやRPGのボスの旗。僕も部屋に飾りたいです。
ヒンカリを 小龍包だと 言っちゃダメ
ジョージア(旧国名グルジア)の定番料理ヒンカリ。小麦粉を練って作った皮でミンチと野菜の種を包んで茹でます。見た目は小龍包そのもの。溢れ出る肉汁も小龍包そのもの。しかしスパイスが異なるので風味は違う。似ているようで異なるジョージアオリジナルの味です。中国方面から伝わった、かつてのシルクロードの名残です。
山を見て 海を見れども 先見えぬ
毎日のように絶景を楽しめるのは旅の特権。空高くそびえる山を見て、どこまでも広がる青い海を見て、どこまでも行けるような気がしてきます。しかし明日の事すら分かりません。どこへ行くのか、何をするのか、だれと会って、何を食べるのか。旅の行先は全く見えません。そして旅の終わりも見えません。
後編へ続く
せんまさお
最新記事 by せんまさお (全て見る)
- 【世界一周#411】アレナメヒコ - 2024年9月22日
- 【世界一周#411】アレナメヒコ - 2024年9月22日
- 【世界一周#410】グアダルーペの聖母マリア - 2024年9月21日
コメントを残す