前編からの続きです。美の世界をお楽しみください。
もくじ
バーガーの おすそ分けだよ 愛の国
タジキスタンでお腹を壊していた僕は、チェーン店のバーガー屋なら衛生面も安心だろうと、みんな大好き「SFC」へ行きました。バーガーのセットを食べていると一人の少女が僕のポテトを欲しいと言ってきました。身なりを見るに、恐らく物乞いの少女。一瞬どうしようかと悩んでいると、すかさず店員さんがやってきて、少女を店の外まで追い出してしまいました。僕はバーガーセットを全て食べきり、満腹で店を出ました。店の前の階段には先ほどの少女と、彼女を追いだした店員さんが並んで座っています。店員さんからこっそり貰ったであろうポテトを食べる少女。僕はなんて卑しいんだろうと情けなくなり、また、この国の愛の深さを知りました。あ、店員さんがおすそ分けしたのはバーガーじゃなくてポテトでした。
左西洋 イスタンブール 右東洋
イスタンブールにそびえ建つガラタ塔。塔は高台に建っているため、遠くまで見通せます。イスタンブールはヨーロッパとアジアの中間に位置します。塔の上から左を向けばヨーロッパが見え、右を向けばアジアが見えます。ちなみに180°回転すれば逆になる訳ですが、それは置いておいて、実はこの川柳、地図も表している秀逸な一句です。
お手紙を 書いて送ると LINEくる
趣味で旅先から家族や友人に手紙を書きます。実家宛はもう40通近いでしょう。郵便事情が悪い国では、送っても日本まで届かないことがざらにあります。ほどんどが届くのですが、受け取った家族や友人から「届いたよ」とLINEでメッセージをもらいます。シュールだな思います。
夏の夜 一人で頬張る さくらんぼ
イランのビザ申請の都合でキルギスに長期滞在していました。宿には毎日のように人が来ては去って行きます。ある晩、一人の日本人の方がマーケットでフルーツを沢山買ってきてくれました。一緒に食べようとご馳走してくれました。そして宿から皆が去り、宿には僕一人だけが残りました。「誰か着たら一緒に食べよう」と思い、僕もマーケットで沢山のフルーツを買いました。そして夜になっても誰も宿を訪れることはありませんでした。冷蔵庫で冷していたフルーツをそっと取り出し、中庭のベンチでひとりムシャムシャ食べました。さくらんぼは酸っぱかったです。
寝ていると 隣でムシャムシャ メーメーメ―
モンゴルの草原でキャンプをしていました。近くに遊牧民がゲルを建てており、近くには飼っている羊やヤギ、ヤクなどが沢山います。夜になり、僕はテントの中で寝袋に包まって寝ていました。すると、頭がある位置のすぐ近くで変な音がします。「バリバリバリバリ」「ムシャムシャムシャムシャ」「メーメーメーメー」最初は何かと思っていましたが、実はヤギが草を食べていたのです。昼間ヤギに近づくと逃げてしまいますが、おそらくテントの中に人間がいるとは思いもよらないのでしょう。テント脇に生えた草を食べているのです。メーメーうるさいなと思っていましたが、よく聞くと「ゥメー」と言っています。そうか、草が「うめえ(旨い)」のかと思うと、なんだかかわいく思えてきて、再び寝ることができました。
俺を撮れ 世界各地に いるおじさん
カメラを首からぶら下げて歩いていると、突然「俺を撮れ」と目の前に現れるおじさんがいます。僕は彼らのことを「俺を撮れおじさん」と呼んでいます。不思議なことに、国や地域、宗教にかかわらず世界各地に分布しています。映した写真を見せると、満足そうに去って行きます。お金をせびるわけでもなく、印刷したものを欲しがるわけでもなく、ただ単にいいカメラで写してもらいたいだけのおじさんです。お茶目でかわいいおじさんです。
不謹慎 トイレでカレー インド人
インドのコルカタ(旧名カルカッタ)で、次の街へ向かう電車を待っていたときのことです。電車に乗る前にトイレに行っておこうと、駅のトイレへ向かいました。そして目を疑いました。手洗い場とはいえ、トイレの中でカレーを食べている輩がいるではありませんか。もちろん手づかみです。カレーを食べるのに世界一ふさわしくない場所とも言えるトイレでカレーを食べるその姿から、改めてインドと日本の共通点を見つけることの難しさを再認識しました。
フリーフリー タダより怖い 物はない
「”無料の”観光案内所があるよ」「”無料で”地図を配っているよ」「”無料で”見学することができるよ」これらは殆ど全て疑ってかかった方がいいことばかりです。無料の裏には何か向こうのメリットがあるからです。無料の観光案内所なら、説明は無料でも無理やり高額なツアーに参加させられそうになったり、無料の見学なら後から写真は有料だと言われたり、とにかく無料のまま終わることなんてあまりないことを理解しておく必要があります。そして、後から有料オプションを出してくるなんて悪質なことをしてくる人が適正な料金を提示してくるわけがありません。無料という言葉につられて安易について行かないことが大切です。怖いことになります。
チャイどうぞ コーヒーどうぞ ドイどうぞ
バングラデシュは行ってよかったと心から思える国です。毎日生きているだけで、現地の方からおもてなしして頂けます。チャイ、コーヒー、ドイというスイーツなど次々と。頂ける事はもちろんありがたいのですが、それ以上に、歓迎していただいているという雰囲気が非常に嬉しかったです。断っても断っても「ゲストだから」と高校生くらいの少年にまでご馳走になってしまいました。日本人の感覚からしたら10歳以上も年下から奢ってもらうなんて情けない話ですが、現地の文化では頑なに断るのも良くないでしょうからありがたく頂きました。
さようなら またねと返す 昼下がり
ミャンマー最大の湖、インレー湖の近くにある小さな町の宿に泊まっていました。宿のオーナーの娘さんも働いており、泊まっている間に少し仲良くなりました。そしてチェックアウトの日、僕は荷物を担ぎ、宿のスタッフたちにお別れの挨拶していました。宿の娘さんは木陰に腰掛け、シーツにアイロンをかけていました。遠くから「さようなら」と声をかけると、彼女はこちらに駆け寄って来て言いました。「またね」と。
せんまさお
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