「あなたインドネシア人?ニセモノのトケイ、イマアルカラ。」
ポケットをゴソゴソ探ってロレックスの偽物を僕に見せてきた。
ノーセンキュー、ノーセンキュー、ノーセンキュー、ノーセンキュー、ノーセンキュー
僕は死ぬほどノーセンキューと言ったが、おじさんはめげることなくタバコを吸う僕の前から立退かない。
キャンディ食べる?と聞くと頷く。一つあげるとシェイシェイと言い、再びセールスが始まった。二人ともなんだかおかしくなって笑ってしまった。バイバイと手を振りあい、僕らはそれぞれの方面へ歩き始めた。
僕は上海の神様がいるらしい寺に来ていた。こちらも人が多く、それに比例して胡散臭い人も多い。だが、相手が予想してない角度から突っついてみると、相手も普通の一人の人間だということがわかる。
インドでもよく声をかけられたが、聞かれる内容なんてテンプレのごとく決まっていたので、僕は声をかけられた瞬間に「僕は日本の大阪から来たし、あなたが大阪に友達がいることも知ってるし、あなたからは何も買わないよ」と冗談で先に言っていた。参ったな、という顔で笑うインド人はかわいい。更に一緒にチャイでも飲みに行こうと誘って話してみたが、まあ当然ながらみんな普通に同じ人なのだ。
上海の神様に手を合わせ、老街という古い商店街のようなところを歩く。僕の目の前をモップみたいな犬が歩いている。偉く大人しいのは恐らく歳だからだろう。伸びきった体毛が目を隠していないのか心配だ。フラフラ歩き、人にぶつかりそうになると慌てて進路を変えている。
中国でも野良犬をよく見るが、他の国と比べてかわいい種類が多い。そしてペットを飼っている人も多く、稀に宿にも犬か猫がいる。これは予想だが、捨て犬や脱走した犬が多いいんじゃないかと思う。雑種ではなさそうな野良チワワや野良トイプードルなんてレアすぎるだろう。
いつかは誰に愛されていたこのモップ犬は、自らの意思なのか飼い主の責任放棄なのか分からないが、家の中とこの外の世界のどちらも経験した上で、一体どちらが良かったかのか僕は聞いてみたい。モップ犬は地面を掃除しながら寂しげな後ろ姿で路地に消えていった。
元は屠殺場だったというビルに来た。今はデザイナーが集まり店を開いているらしい。その過去の経緯と相まって雰囲気が良い。良いというのは探検するのに良いという意味だ。商業ビルではあり得ない通路の作りをしているところに過去を感じる。それが逆にアートチックでおもしろい。単純に古いビルなので煤けたコンクリートと錆びついた配管にそそられる。
宿に帰ると、昼間宿で会った方が居た。彼は僕と似た活動をしてきたらしい。話が合い、一緒にご飯を食べに行った。楽しい時間が過ぎていく。一つの出会いは未来を変える可能性を持っている。夢は広がる。
I met a man who sells the fake watches. I said no thank you but he didn’t go away. I gave him a candy. He said thank you and sells me the fake watches. We laughed together all of sudden because of our situation. Then, I went back to my hotel and met a man who has similar dream to me. We ate dinner together.
せんまさお
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お久しぶりです!
バギオで出会ったみそのです。
数ヶ月に一回はブログにお邪魔して楽しませてもらってます(笑)
死なずに帰ってこられたら(笑)、旅の土産話を聞かせてくださいね(^^)