バスは午後の3時半発。宿に荷物を置かせてもらいメディナ(旧市街)を歩く。
この街のメディナは大して広くないので、メインの道は歩き尽くした。つまり飽きた。
この街が青い理由は、イスラム教では青は神聖な色とされている、とか、逃げてきたユダヤ人が青に染めた、とか、涼しげな色だから、とか、虫除けに効果的、とか言われているらしい。
しかし、本当かどうかは知らないが、実は25年前くらいまでは白い街だったらしい。ある一軒の家が青に塗ったところ、それいいね、と一気に町中に広まったそうな。なんかこの説の方が現実味がありそう。
結果として観光客の誘致に成功しているので、商売人にとってはラッキーな話、住人にとっては傍迷惑な話だ。
このSNS時代、シャッター街状態の商店街とか、全部青に塗れば人集まるんじゃないかしら。ちなみに青は購買欲が高まる色らしい。ローソンが狙って青を使ってたなら目の付け所がシャープすぎる。
メディナの外が気になり出てみた。メディナの外はパン屋さんに行く以外ロクに出たことがなかった。当たり前だが、外は日常生活を送る人々が過ごしている。ほんの少し離れるだけで、アジア人が珍しいらしく、メディナでは感じることのなかった視線を浴びる。
鶏屋さんが立ち並ぶ通りでは、コケコケコケコケという鳴き声が充満し、店内には鶏が満員電車状態で床に犇いている。
この鶏たちの多くがメディナ内で捌かれ、観光客の胃に収まるのだろう。それにしてもこんなに大量の鶏を初めて見た。
メディナの外のレストランは価格水準も安く、下手なメディナ内の店よりも美味しそう。
昼飯はケバブとポテトのセットで済ませ、25ディルハム(275円程度)。メディナ内ならもう10ディルハム(110円程度)は高いだろう。
再びメディナを歩き、川沿いの公園で一休み。日当たりが良く、メディナ内と違ってポカポカする。
猫もここに集まっているようで、数匹の猫がじゃれている。あとおじさん達もじゃれている。
そうこうしている間にバスの時間が迫ってきた。バスターミナルはメディナから徒歩30分ほど離れているので少し早めに向かう。
一昨日登ってきた激しい坂を下り、バスターミナルへ到着。
チケットは予約してあったが、荷物代は別で当日に支払う必要があるので、バス会社のオフィスへ向かうと、長蛇の列が、いや、モロッコで列なんかできる訳がない。大きな人の塊ができていた。
大きな人の塊の一部として立っていると、ようやく自分の番が来た。
「タンジェ行きの人はもう少し待っておいて。その前のバスの便の人を先に手続きするから。」
どうやら3時発のフェス行きのバスの乗客をまだ捌き切れていないらしい。時間はもう3時5分。
しばらく待っていると、バス出発予定10分前にタンジェ行きのバスの手続きが始まった。
「今日は問題だらけだ」
スタッフに荷物代の5ディルハム(55円程度)を支払い、バスが着く駐車場へ。
当然のようにバスは遅れて到着し、速やかに乗り込んだ。シャウエンはフェスからタンジェに向かうバスの途中駅のようで、すでに多くの乗客がくたびれた顔で座っている。
山道を進んでいると、道路工事の影響で長い渋滞にハマったようだ。こんな山道で渋滞にハマるのも珍しい。それほど人気の観光地なんだろう。
3時間半ほどでタンジェへ到着。日が暮れかけていたので、早めに宿へ向かう。なぜかバスターミナルからは路線バスが出ておらず、少し離れた場所から路線バスに乗り込み市内へ。
今まで訪れたどこの街とも違う街並み。この街はジブラルタル海峡を挟んでスペインと最も近い街。ほんの少しだけヨーロッパの文化が感じられる。それと同時にほんの少しだけ治安が悪そうだなと感じる。都会って変な人多いから。
宿に着いた頃には辺りは真っ暗。
「広い部屋に泊まらせてあげる。VIPルームだぞ。アッハッハ。」
よく分からないけどベッドが二つある大きな個室に泊まらせてくれた。モロッコの宿はなぜかドミトリーと個室の金額差が小さく、カサブランカ以外はついつい個室に泊まってしまった。
VIPルームとはいえ、ボロボロのボロを極めたような部屋。シャワー、トイレは共用だが、なぜか洗面台だけ部屋にあった。そしてトイレには蛇口なし。つまりトイレに行ったら部屋の洗面台で手を洗うシステム。なるほど、よく分からん。
シャワーはスタッフに使うことを伝えないとお湯が出ない。出ても直径0.5センチほどの湯がシャワーヘッドから纏まって出てくるだけ。いや、湯が出るだけありがたいか。寒いしな。
せんまさお
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