今日もまた上海でコーヒーを飲んでいる僕の今日という日を誰が想像できるだろう。だからおもしろい。
昨日の晩まで今日は次の街へ移動しようと思っていた。充実した上海暮らしだったが、振り返ってみればまだやり残したことがあった。
実は先日、ついに中国の銀行口座を作ることに成功したのだが、肝心の電子マネーへのチャージができないでいた。中国は電子マネーが使えなければ何かと不便だ。どうやら電話番号が上手いこと銀行に登録できていないようだ。
無事に電話番号を登録し直し、向かったのは上海商業城。ここでは上海雑技団のショーが観られる。
先日宿で出会った日本人のSズル君が雑技団を観に行ったらしく、激しく興奮していて気になっていたのだが、なかなか行けずにいた。心の底でこっそり気になっていたので奮発してチケットを買った。
上海商業城にはリッツカールトンホテルが入っている。髭モジャで場違いな気がするが、恐らく1分後には僕のことなんか皆忘れているだろうからどうでもいい。
リッツカールトンの前をウロウロしていたらおじさんが財布を手渡してきた。いやいらんと返したが、恐らく偽のルイヴィトンだろう。
リッツカールトンに泊まる人が偽ブランドなんて買う訳ないだろう。ブランド品はデザイン云々よりも本物であることに価値があると感じている人が多いからだ。
ショーの時間だ。これが所謂イッツショータイムだ。
僕は一番安い席を買ったのでバルコニー上の比較的ステージから離れた席だが、会場が大きくないのでステージ全体がよく見えて逆に良い。
会場のライトが消え、ショーが始まる。
あまりに凄いものを見た時、人は感動するらしい。瞳に涙が溜まってくるのが分かる。
芸術にも色々あるが、分かる人には分かる系のものや、発想によっては真似できるかもしれないと考えてしまう余地がある系の芸術とは異なる、どうあがこうが自分では決して到達することのできない技術を使った芸術には圧倒される。心が揺さぶられる。
すごい、という気持ちが生まれた瞬間にそれを超える芸術を見せつけられる。もう勘弁してくれ、気持ちが追いつかない。
どうか上手くいきますようにと会場全体が演者を応援している。拍手すべき素晴らしい場面でも、なんとか保たれているバランスを崩さないようにと静かな拍手がこだまする。
無事に演技を終えた演者が緊張から解放され、素敵な笑顔でポーズをとる。グッとこらえていた興奮が会場を包み、心の底から称賛の拍手が溢れ鳴り止まない。
1時間半のショーだったが、支払った金額では到底足りない程の幸福感に満たされていた。
ライトアップされた街路樹が美しい。夜風も少し湿っていて丁度好きな気候だ。
奮発して軽くなった財布を抱え、コンビニでカップ麺を買った。上海最後の日は最高の気分で幕を閉じた。
せんまさお
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