パレンケの街は小さく、パレンケの遺跡群以外にはヒッピーの村くらいしか他にはない。ヒッピーと関わるのはごめんやでなので、遺跡へ行く。
街のあちこちに、遺跡へ行くコレクティーボ(乗合タクシーのようなもの)が走っている。適当に乗り込んだら遺跡に着いた。

ここでもチケットは2種類ある。どちらも買わなければ遺跡に入ることができない。チケットチェックのゲートも間を10mくらい空けて2箇所ある。わざわざ分けているのは、なんかの利権の関係なのだろうか?

ともかく中に入ると、まず山道が続く。パレンケの遺跡はジャングルの中から見つかったそうな。7世紀ごろに栄えていたこの古代都市は相当な間存在が忘れられていて、18世紀にスペイン人に再発見される。

メキシコのピラミッドは、エジプトのピラミッドとは違い、お墓ではなく神殿のようなものと思われていたのだが、ここパレンケのピラミッドからは、当時の王の棺が見つかったそうな。

その王のミイラには翡翠(ヒスイ)の仮面が付けられており、ツタンカーメンの黄金のマスクと並んで、値段のつけられない宝として有名である。
さらに、その石棺の蓋に掘られていた絵が、まるで宇宙船に乗る宇宙人に見えることから、マヤの古代都市やピラミッドは宇宙人によって作られたのではないか!と言われ出したきっかけの遺跡でもあるのだ。つまりすごい遺跡。
ジャングルの中を歩くように進むと、古代都市が現れた。遺跡の細かい説明は分からないが、今まで行った遺跡の中でも一番おもしろい。



ここに街があったんだ、ということがよく分かるほど、あちこちに住居の跡がある。必要以上に復元はされておらず、ジャングルの中で眠っていた都市をそのまま覗き見ているような気持ちで歩いて回ることができる。


観光客もそんなに多くなく、静かに楽しむことができる。お父さんの娘が手を繋いで遺跡を登っている。ここパレンケの遺跡は、一箇所だけ登れるのだ。お父さんはゼーハーゼーハー言いながら娘の手を引いて登っている。十分に気持ちが分かる。とにかく傾斜がきつく、息が切れる。しかし遺跡の頂上から見る古代都市は圧巻。こんなものが忘れ去られていたとは。



遺跡の中には複数の小川が流れている。澄んだ小川に心癒されるが、とにかく暑い。キューバに来て以降、ずっと暑い。
1.5Lの水を持ってきていたが、2時間経った頃には全て飲み干してしまった。
実は更に奥に遺跡群があるらしいが、今は侵入禁止になっていた。どうやらこの辺りは、観光客を狙う山賊がジャングルに潜んでいる地帯らしく、恐らく防犯のためにあまり奥地へは行けなくなってしまったようだ。
行ける範囲は全て行き、帰路に着いた。適当に来たせいで、帰り方が分からなかったが、親切な夫婦がコレクティーボ乗り場を教えてくれた。
無事に街へ戻り、休憩する。汗をかき過ぎて、僕の黒Tシャツは塩まみれになっていた。
部屋で休んでいると、新メンバーがチェックインしてきた。部屋に着くなり、ボクシンググローブをベッド脇にひっかけた。恐ろしい男である。
話していると、どうやらフランスから来たらしい。メキシコのジムを回ってトレーニングをするために来たようだ。かっこいい!
暑すぎるので夕方くらいまで部屋でダラダラした。夕飯をスーパーで買い、またダラダラした。
そして夜、事件は起きた。僕はスーパーで買ってきた水を冷蔵庫から取り出し、部屋でゴクゴク飲んでいた。
するとフランス人ボクサーが言った。
「それ、僕の水じゃない?」
まさかそんなことある?と思って一緒に冷蔵庫へ行くと、僕の水がそこにはあった。間違えてボクサーの水を飲んでしまったのだ。
僕は殴られないように必死で謝ったが、ボクサーは「全然いいよ〜」と笑っていた。強さゆえの余裕だろう。
しかしそのボクサー、部屋が寒すぎると言い、ブランケットを受付でもう一枚もらっていた。寒さには弱いらしい。
というか、この部屋寒すぎる。先に泊まっているおじさん二人組がエアコンを激寒設定にしているせいで、凍えるような寒さなのだ。
ドミトリーは色々とトラブルが起きるけど、それはそれで楽しい。メキシコの宿は、結構みんな仲良くやるのが普通なようで、防犯的な意味でも安心である。
僕は凍えるボクサーに再度平謝りして寝た。フリースを着て。

せんまさお

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