昨日レストランから持ち帰ったパンにチョコクリームを塗り、キャラメルラテと合わせて朝食。
オムライスを作った時に卵を買いすぎていたので茹でて持っていく。
僕らの朝は酷く遅い。精一杯頑張って12時に宿を出た。
バスターミナルにはすでにマルシュルートカが来ていた。いつ出発するか分からないのでここで解散することに。
地元が割と近いのでまたすぐ会えるだろう。もしかしたらジョージアでまた会うかもしれないですね、と冗談のような本気トークでお別れ。
最後に二人でタバコを吸う。喫煙者同士の別れはなぜかタバコで締める風潮があるが、これはうまく言い表せないけどものすごくいいもんなんだ。
マルシュルートカに乗ると、すぐに出発した。ああ、一人になったんだ。
前の車には荷台が接続されており、その荷台には牛が一頭乗せられている。嬉しそうに尻尾を振り、糞を荷台にボトボトと落としている。
カーブでもバランスをとり、振り落とされないように身体をうまく傾けている。
いつもなら寝てしまう移動中の車内だが、今日はなんだか寝られなかった。
3時間半ほどでジョージア最後の目的地、バトゥミへ到着。ここは黒海に面する街。そしてトルコとの国境に面する街。
カジノが盛んな港町で街は他のジョージアの都市とは異なり、煌びやかというかゴージャスというか少し下品である。
今日も昼飯を食べていない。宿で辛ラーメンを茹でる。
「中国人かい?」
いや、日本人だ、そしてこれは韓国のラーメンだ、とデジャブのような質問にスムーズに答える。デジャブじゃない、タジキスタンの首都ドゥシャンベの宿で同じシチュエーションを経験している。
日本語でもそうだが、トークの引き出しをどれだけ用意しておくかがお喋りの秘訣だ。一度話した話ならば次からは考えることなく冷静に引き出しを開けるだけで話はスルスルと出てくる。きっと英会話なんかもおんなじ事なんだろう。
聞いてきた彼に君はどこからきたのかと尋ねる。
「難しいなぁ」
難しいとはなんだ。国を言えばいいのだ。ほれほれ。
「ロシアで生まれて育ったけど、イラン人だ。」
そうか、それは難しい質問をしたな。どこから来たかと言えばロシアだが、国籍はイランなのか。グローバルなやつだな。
腹いっぱいだ。寝てからカジノへ向かった。もういっちゃダメ、それは分かっている。僕はギャンブラーではない。しかしここはカジノで栄えている街。その街の柱を見ずしてこの街の何を分かった振りができようか。
シャツを羽織り、パスポートと100ドルをポケットに突っ込み、ネオン煌くビルへ颯爽と歩を進めた。
「ディスイズファーストタイム」
会員証を発行してもらう。
「グッドラック!エンジョイ!」
プラスチックのカードを胸ポケットに突っ込み、変わりに100ドルを取り出す。
ラリに両替し、ルーレットに突っ込む。コーラください、と美人のスタッフに伝える。ノンアルコール飲料は無料だ。
機を見てベット。勝つ。勝ち続ける。
100ラリ勝てば辞めよう。気づけば110ラリ勝っていた。
僕は基本的に赤黒、偶数奇数、過半数かそれ未満かしか賭けないので、試しに最後に1ラリずつ5つの数字に賭けてみることにした。
電光掲示板には「HOT」という謎の数字が5種類表示されていた。恐らく今までの出現率が低い数字なんだろう。
《3.8.24.30.34》
5種類の数字に賭ける。ルーレットの数字は37種類なので確率は5/37。13.5%。当たれば36倍の払い戻し。
ルーレットが回り、ボールが転がる。なかなかルーレットに落ちず、何回も何回も周りをグルグル回っている。
そしてついに落ちた。目はよく見えない。ルーレットを映し出す画面に目線を移す。
《34》
当たった。当たるもんなんだ。
5ラリ賭けて36ラリ返ってきたので勝ちのトータルは141ラリ5,076円。すぐにキャッシュアウトボタンを押し、カウンターで現金を受け取ると一目散にカジノを出た。
すっかり肌寒くなっている。黒海沿いだからか湿度が高い。少しじめっとした冷たい夜風は日本の秋の訪れのようだった。
せんまさお
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