「行く必要ないって!その時間があるならリスボンの観光した方がいいって!」
ジョージとイネスの二人ともから反対されながらも、どうしても行きたかった場所、ロカ岬へ向かう。ジョージは仕事が遅くまであるらしく、イネスが車で連れて行ってくれるらしい。本当にありがとう!
イネスも仕事があるらしく、仕事が終わるまでリスボンの街の観光。リスボンもとにかく美しい街だ。他の西ヨーロッパと違って、ゆったりとした雰囲気の首都で嬉しい。セカセカした街は旅にはどうもマッチしない。
路面電車もゆったり走っている。決して早くないが、それでいい。
エッグタルトの有名店に来た。香港、マカオに伝来したエッグタルト。それぞれの有名店に行って、とても美味しかったという話を二人にしたら、「いやポルトガルのそれはひと味ちゃうで」との事だったので是非とも来たかった。
当然の行列。しかし列がスルスルと進むあたりはアジアとは違う。
ひとつ買って公園へ向かう。ベンチに腰掛け、変な鳥を横目に頬張る。
うわあああ、おいしいいいいよおおおお。
こんなにおいしい食べものあったんだというレベルのおいしさ。変な鳥も食べたそうにこちらに向かってきたので追い払ってから二口目。
とろけるエッグカスタードを包み込む幾重ものサクサクパイ生地。崩壊ギリギリのバランスで保たれている柔らかなタルト。ありがとう、この人生で出会えた事に感謝。
川沿いに「発見のモニュメント」というものを見に行く。大航海時代にポルトガルが「発見」した国々が地図にまとめられている。日本も載っている。その後ろに船に乗った探検家のモニュメントがある。
ポルトガルに発見されたというのも結構奇跡に近い。ファーストコンタクトは漂着だったんだから。
程なくしてイネスから電話があり、発見のモニュメントで合流。
遂にロカ岬へ。
ここはユーラシア大陸の最西端の地。グルグルと回ったが、ついにユーラシア大陸の旅も一区切り(もう少し行くつもりだけど)。
ポルトガルの詩人、ルイス・デ・カモンイスは「ここに地終わり海始まる」と詠んだ。
まさにここでユーラシア大陸は終わり、ここからは海が始まる、その境界線。
恐ろしいほどに美しい。空は晴れ渡り、海は青くどこまでも広がっている。
岬は崖になっており、はるか下に波が見える。
長かった。世界は広すぎた。
It’s a small warldとかいう歌がある。僕はこの歌が好きだ。なぜかというと、仕事終わりに家に帰る時、いつも新大阪駅構内の清掃車両(おじちゃんが運転するクルクル回る床掃除のブラシ付きの小型車両)から電子音バージョンのIt’s a small warldが流れており、それにやたらと癒されてたまにグッときたり、時には仕事の辛さからウルッときていたからだ。
世界はせまい~♪世界は同じ~♪
世界はまるい~♪ただひとつ~♪
世間は狭いなと思うことはあるけど、世界は広いなと思う。あと同じではないなと思う。それがいいとこだとも思う。そして世界はまるいし、ただひとつだというのはその通りだと信じている。
なんだか目が潤んできた。感慨深い。深すぎる。顔が緩んで仕方がない。笑っているんじゃなくて顔に力が入らない。最高の気分だ。こういう瞬間があるから旅を続けられている。
ユーラシア大陸最西端到達証明書を貰えるらしい。貰えるというか買うんだけど、記念に買っておいた。名前を書いてもらえるのでいい記念になった。
多分気が済むまでここにいたら日を跨ぎかねない。名残惜しい方がいい。またここに来たいなという気持ちを残しておきたい。
潔くロカ岬を後にし、帰り道はイネスのオススメの街シントラに寄り、オススメスイーツを買って帰った。
夜はイネスがレストランに連れて行ってくれた。天ぷらといえば日本の料理のような顔をしているが、実はポルトガルから伝来した料理を元にして独自に発展していったものなのだ。その元のポルトガル料理であるペイシーニョシュ・ダ・オルタという料理を食べることにした。昨日天ぷらの話をしていたので、置いてあるお店を調べてくれたのだ。本当に優しい。実はどうしても食べてみたかったのだ。
味はインゲン豆の天ぷらそのもの。これはもう天ぷら。実は語源もポルトガルのテンペロ(調味・調味料という意味)にあるらしい(諸説あり)。
ちなみに金平糖もポルトガルからの伝来品。ポルトガル語のコンフェイト(砂糖菓子という意味)を由来とする冗談みたいなネーミング。
ペイシーニョシュ・ダ・オルタはさすがに天つゆではなくマヨネーズみたいなのにつけて食べるが、我が家はなぜか天ぷらをマヨネーズで食べる文化があったので全く違和感がないどころかむしろオリジナルに近い。そして我が家ではインゲン豆の天ぷらをよく食べていたのでもはや実家の味。とてもおいしい。
ジョージはハードに勤務中なので合流はできなかったが、二人には本当にお世話になりました。とても楽しい時間が過ごせました。遠く離れた国で生まれ、遠く離れた国で出会い、そして再会できたことは幸せなことです。だってユーラシア大陸の反対側の人だよ。これすごいことだよね。
寝る前に宿でカステラの元になったパン・デ・ローというものを食べた。これは有名な話だけど、カステラもポルトガルからの伝来品。まったくもってカステラとは違う食べものだけど、めちゃくちゃおいしい。
ポルトガル、ジョージ、イネス、ありがとう。はるか昔に伝わったポルトガルが今の日本で生き続けている不思議。逆にポルトガル中に溢れ返る寿司屋さん。ユーラシアの反対側との縁に感謝感激。
せんまさお
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