通算400日目が来てしまった。こんなに長く旅するつもりなかったのに。デカいぜ地球。
早朝からバスターミナルへ向かう。ウシュマルという遺跡へ向かうためだ。
ウシュマルもマヤ文明の遺跡として有名だが、立地的な問題でチチェン・イッツァ遺跡よりはマイナー寄りのようだ。しかし、チチェン・イッツァに次いで入場料が高い遺跡でもある。なんと現在の為替レートでは、入るだけで4500円もする。ヨーロッパでもこんなに高い値段はなかった。
しかも自力で行く方法としては、長距離バスを途中で降りる形しかなく(レンタカーとかタクシーを除く)、皆基本的にはツアーで訪れる場所なのである。
僕はその長距離バスを途中で降りるスタイルで向かう。メリダの街を出発するバスは6時、7時、8時、9時のみ。僕は8時のバスに乗ろうと向かっていたのだが、昨晩の大雨のせいで道が水没しており、迂回を余儀なくされる。早めに宿を出たのに、水没のせいでギリギリの到着になってしまった。
慌ててバスに乗り込むが、案の定出発は遅れるので実質問題はなかった。なぜ始発なのに遅れるのか。
バスに揺られること1時間半。遺跡から少し離れた場所に降ろされる。
少し歩いて遺跡へ入る。チケットは入域料?と観光料?の謎の2枚のチケットを買う必要がある。なぜか売り場が分かれており、それぞれ買う。
チチェン・イッツァに比べると、あまり観光客はおらず、のびのびと見学できる。
「魔法使いのピラミッド」と呼ばれるメインの遺跡が見えてきた。その昔、魔法使いから貰った卵から生まれてきた小人が一晩で作ったらしい。たぶん全部フィクションだ。
チチェン・イッツァでも同じ仕組みがあったのだが、このピラミッドの前で手を叩くと、鳥の鳴き声のような音がピラミッドから返ってくるのだ。
チチェン・イッツァでは、あまりに多くの人が手を叩くので、誰の拍手で鳥の声が聞こえているのか分からなかったが、ここでは僕だけが拍手していたので、音が返ってきてちょっと感動。ピヨピヨという音が森中に鳴り響いている。
これにてメインは終了だが、敷地内にはたくさんの遺跡がある。全く知識がないのでよく分からないが、それでも見応えがある。
暑すぎるので、木陰で休みながらぐるっと遺跡を回った。
マヤ文明の遺跡には必ずと言っていいほど、球技場の遺跡がある。
説明が難しいが、ボールをケツ(尻)で打ち、相手コートの輪っかを通せば勝ちという闇のゲームである。サッカーとバスケとテニスを合わせたようなゲームだ。
これはポク・タ・ポクというゲーム名らしい。ちなみに名前の由来は、ポク=ケツ(尻)でボールを打ったときの音で、タ=ボールが地面で弾んだ音だそうだ。
ちなみに輪っかを通すのは実質的に難しかったようで、チチェン・イッツァの遺跡にあった球技場の輪っかは高さが約7mの位置にあった。
ちなみに、出土したボールは重さが7kgもあったそうなので、勝つためにはケツ(尻)で7kgのゴム玉を7mの高さまで打ち上げる必要があったのである。
そして勝った者への褒美は、自らが生贄になることであったそうな。勝った方が神に捧げられる生贄になるのだ。7kgのゴム玉を7mの高さまでケツ(尻)で打ち上げた挙句に生贄になるって信仰心がよっぽど強くなければ成し遂げられない苦行だろう。
その話は置いといて、遺跡にはたくさんのイグアナが住んでいる。遺跡を見上げて歩いていると、不意に足元でイグアナが逃げ惑っていくのでビックリする。
しかも結構デカい。全長70cmくらいあるんじゃないだろうか。
一通り見終えたのが12時少し前。そして帰りのバスが遺跡の前を通るのが15時半。ここから長い戦いが始まった。
クーラーもない中、ひたすらベンチに座ってバスを待つ。湿度も高いので、低めの温度のサウナに3時間半くらい入りっぱなしのイメージだ。
苦しい。とにかく苦しい。こんな苦しい経験久しくしていない。スマホも圏外なので暇でもある。
おそらく同じバスを待つ人たちも苦しそうに待っている。ひたすら耐え続け、ようやくバスが来た。
クーラーがガンガンにかかっている。無事に座れたのでホッとした。
イヤホンを付けて、プリンセスプリンセスのMを大音量で聴く。たまたま流れただけだが、ホッとした気持ちも相まって、やたらと心に沁みる。
(出会った秋の写真には、はにかんだ笑顔、ただ嬉しくて〜♪)
全然身に覚えのない歌詞の内容に共感すら覚える。気が付けば眠っていた。
ようやく戻ってきた。もう夜である。Hデさんとスーパーに行き、丸ごとのローストチキンを買った。
全く意識してなかったが、400日目のお祝いということにしよう。
ついでに、Hデさんがスーパーで見つけた食用のサボテンも食べた。食べ方が分からなかったので、宿のオーナーに聞いたら、塩を振って焼くだけらしい。これが意外と美味しかった。少し酸っぱいピーマンのような風味で、食感はめかぶのような粘り気がある。さらっといい経験をした。
夜が更けるまで、Hデさんと話し込んだ。疲れが限界でシャワーをしたらすぐに寝てしまった。気持ちの良い疲れだ。生きてることを感じる。そんな日。
せんまさお
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