「旅人って…笑」
これが旅人を自称する某君に出会った最初の印象でした。
「旅人」を知った事件
彼の名刺の、本来は職業や役職やらを書く名前のちょい上の位置に「旅人」と書かれていたのです。
旅人なんですか?と聞くと、そうだよ旅人だよ、と動じることもなく答えました。
「職業が『旅人』だなんてどういうことだろう。旅行でお金稼いでるのかな?」
という疑問が湧きましたが、「お金稼いでるんですか」とも何となく聞きづらかったので、その場ではそれ以上のことは分かりませんでした。
「旅人」に出会った事件
静岡県のとある小さな居酒屋に行ったときの話です。
静岡おでんを食べようと入ったのですが、なんとその居酒屋は記念すべき10周年。常連さんや店主のご家族も来ており、「静岡へようこそ!」と大歓迎していただきました。
そして、丁度ちかくのテーブルに座っていた方と話したのですが、その方は店主の息子さん。
その方から名刺をいただいたいのですが、またもや「旅人」と書いてあったのです。
お話を伺っている内に分かったのですが、その方は全国を旅しながら暮らしていたのです。
旅と旅行の違いを何となく感じる事件
旅と旅行の違いをあまり意識したことはありませんでしたが、あるとき違いを実感しました。
数年前、親孝行を兼ねて母とハワイに行きました。
毎日のように有名な観光地を巡り、有名なお店を訪れ、有名なお土産を買いあさっていました。
あまりに平和な時間が過ぎていくので、僕は思わず母をマッサージ店に2時間拘束し、一人で街へ繰り出しました。
別れて5分後。ちょっと一服、と灰皿のある場所へ言った瞬間、ホームレス風の男にホテルに誘われました。
ぼくにその気はないので断り、ひとりビーチへ向かいました。
するとどこからか音楽が聞こえてきました。誰かが流しているのかなーと、ふと横を見ると、ひとりの小汚い男が木陰でギターの弾き語りをしていました。
なんて上手で素敵な音楽なんだろうと感激しました。
日が暮れてきた頃、ビーチ沿いの木と木の間にスラックラインを張り、ヨガをしている高齢の女性がいました。
夕焼けをバックに、逆光で女性の形だけが見えたのですが、それがなんとも優雅に見えたのです。
そして僕は一日で旅行と旅を両方経験したことに気づきました。
「旅行の事を旅と言う人って…」事件
「旅行の事を旅と言う人って、ウンタラカンタラ~」
このように人から言われた時、僕は「旅と旅行は違うのにな」とモヤモヤした気持ちになりました。しかし、はっきりと何が違うのかを伝えることはしませんでした。
きっと言っても伝わらないからです。これは決してその人を卑下している訳ではないのですが、違いを実感したことがない人に何を伝えても上手く伝えられないと思ったからです。
また、「旅とはこういうものだ」と定義してしまうことは、無限の可能性を秘めている旅にとっても旅人にとっても失礼だと思ったからです。
なので僕は旅と旅行の違いをはっきりとは定義したくありません。
旅人の一般的な意味
辞書をいくつか調べてみても、「旅する人」「旅行する人」「旅行者」のように書かれており、つまり「旅」をしていようが「旅行」をしていようが「旅人」であるとされています。
それは辞書を作った人が旅人ではないからでしょう。旅へのこだわりというか執念みたいなものがない人だからでしょう。
旅と旅行の違いを感覚的に知っている人は旅と旅行が異なるものであると言い張りたくなるでしょう。旅をする人が旅人で、旅行をする人は旅行者だと分けたがる偏屈さを持っているでしょう。
旅人を自称するのは
旅人は称号のようなものだと思っています。現在進行形で旅をしていなくても、一度旅すると、日常でさえ旅の延長のような感覚になったり、旅をしたことがあるという自負だったりで、旅人と名乗りたくなるものです。
当然、「旅人」と自称することは「かっこつけている」と思われるということは理解していますし、「変な人」だと思われてしまうかもしれないということも理解しています。
しかしそれでも、旅した日々を想い、自己満足でもいいから旅人だと名乗りたい人が名乗っているのでしょう。
それではどこからが旅人なのかという話ですが、そんなものはありませんから、旅したことがあって旅が気に入ったのならその人はもう旅人なんじゃないんでしょうか。
僕は旅人です。
せんまさお
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