部屋が臭い。窓なんかないし、廊下へ続くドアを開けても窓はない。というか外に出ても臭い。僕は鼻が鈍感なので臭いのだけは我慢できると思っていたが、部屋の中いっぱいに男の汗臭さとニンニクを食べた後の口臭みたいな臭いが充満している。ジメジメとしていて壁には結露までできていて気持ちが悪い。
ちょっとキツイので宿を変えることにした。宿を移ろうとしたのはいいが、宿が見あたらない。近くの人に聞いても分からないとのこと。電話してもよく分からない。
とにかく位置情報を送ってほしいと伝えると、電話を切られてしまった。数分後、メッセージが届いた。
「黒人は泊まれません」
いや位置情報を送ってくださいよ。そしてもし僕が黒人だったらこれはショックだろうな。
ひたすら門の前に表示してある番地をたどってようやく着いたが、宿の看板すら出していない。もう一度電話して門の鍵を開けてもらい、中に入って納得した。恐らく自分の家の空き部屋を貸しているのだ。
宿の注意文をWechatで受け取る。翻訳機能が付いているので、これは便利な良い方法だ。
黒人が泊まれないという話に疑問が湧き、少し腹も立っていた。以前、とある国でイスラエル人お断りの宿は見たことがある。それは宗教的な問題もありそうなので言及が難しいが(宿の人に聞いた話によると集まるとすぐパーティーして騒ぐからお断りらしいが本当かは分からない)、黒人お断りに関しては理由が気になる。
我慢できずに宿のオーナーに聞いてみた。どうやら、最近、黒人がテロを計画しているというニュースが流れているらしく、当局も警戒して街を巡回しているそうだ。その動画も見せてもらった。それにしても「黒人」って、枠がデカすぎやしないだろうか。現に僕はどっからが黒人なのかよく分かっていない。めちゃくちゃ色黒のインド人は黒人なのか?
フィリピンに留学していたとき、とある国のおじさんが、授業中に「黒人は汚いから嫌いだ」と言い出してすごい雰囲気になったことがある。少なくとも現代日本人は黒人に対して「あ、外国人だ」とか「強そう」「かっこいい」くらいしかイメージがないと思う。これも偏見になるなら申し訳ない。
過去の差別の歴史を勉強したことがあるだけに、適当なことを言って傷つけるようなことは言ってはいけないだろうよ。そしてアジア人は差別を受ける対象らしいので僕もアジア圏を出てからが恐ろしい。友達は歩いてるだけで、南米のどこか忘れたが、水をぶっかけられたらしい。
旅するたびに思うが、おおまかにだが、良くも悪くも国ごとに人の性質に特徴がある。例えば日本人なら神経質とか恥ずかしがり屋とかそういうかんじだ。けど、近づけば近づくほど結局のところ同じ人間なので、面白ければ笑うし、困っていれば助け合う場面が見られる。そうなんだ、ウィーアーザワールドなんだ。
僕は列過敏症なので多くの中国人が列を作らないことにすごくイライラするけど、別に話せば普通に、どっちかというと他の国より日本人と似ているので居心地がいい。ただの文化の違いで同じ人間だ。
今回の宿のお断りの対応については、当局の警告を元に判断しているようなので攻めることもできないが、場所を聞いているだけなのに、前情報なしでいきなり黒人は~と言い出すのはトラブルの元だ。良くない。
それはさておき、僕は毎日2万歩ほど歩いている。昨日は3万歩を超えていた。なので足がめちゃくちゃ疲れる。そして僕は右膝に古傷(ボウリングで半月板という軟骨的な部位が割れた)があるので、あんまり歩きすぎると膝が痛くなる。そして、それをかばって歩くので両足とも痛くなるのだ。
そういう言い訳でフットマッサージに行ってきた。広州はなぜかフットマッサージ店が多く、足を洗ってくれるサービスまでセットなようだ。
先日、足が臭いと言われたばかりで気にしているので良い機会だ。近くにあるフットマッサージ店を調べて行ってみた。
どうやら大きな娯楽施設に入っているようだ。看板に「沐足」と書いてある。なんか高そうな気がするが、入ってみた。ホテルの3階部分が丸ごとマッサージ店になっているようだ。
案内されて進むと、ホテルの部屋をそのまま利用したような部屋に案内された。全身マッサージ用の顔のところに穴が空いたベッドと、どデカイソファーが置いてある。
ソファーに偉そうに座っていると、ものごっついセクシーな格好をした女性が入ってきた。これから施術するのにハイヒールを履いている。
ああ、そういう感じの店か。以前、会社の後輩がこういうセクシーな格好をした人がマッサージしてくれる店にどハマりして、僕も一度連れて行かれたことがある。かわいい人がマッサージしてくれるから少し嬉しい的なお店だった。
なんにせよマッサージは女性の方が向いている気がする。僕はよくマッサージに行くのだが、男性のゴツゴツした手と力強い指圧よりも、女性の柔らかい手と痛気持ちいいくらいの指圧の方がなんやかんや気持ちいいのである。本気で按摩を受けたいのなら整骨院へでも行くしね。
まずは足湯をしつつ背中のマッサージから。フットマッサージなのに背中のマッサージも付いているらしい。ストレッチもあり、背骨がボキボキゴリゴリ鳴る。自分でも恐ろしいくらい身体が固い。
女性がソファーに座り、僕は膝枕状態でヘッドマッサージを受ける。ほんと旅中に何やってるんだろう。インドであてたパーマが更にフワフワになっていく。
そしてついに足洗いからのフットマッサージだ。めちゃくちゃ気持ちいい。どうせ中国語も話せないので、僕はイヤホンをつけて葉加瀬太郎の曲を聴き始めた。
(トゥキトゥキアイヤ!)
そう、代表曲のエトピリカだ。僕の意識はバイオリンの音色とともに大空へと舞い上がり、そして眠りに落ちた。
起きると何か言っている。分からないので翻訳アプリを起動して渡すと、ものごっついセクシーな女性は僕に密着しながら延長するかどうか聞いてきた。お金がないので延長しないと言ったらバイバイと言って出て行った。そうか、お色気で延長を交渉するのか。なんかゲスいな。
広州は夏の終わりのような気候だ。もう夜だがセミが鳴き出しそうな蒸し暑さがある。帰り道に辛ラーメンを買った。僕の中で夏といえば辛ラーメンだ。
高校生の頃、僕はテストの一夜漬けを徹底していた。朝の5時まで勉強し、テストを午前中に受け終わると辛ラーメンを買って帰り、汗をかきながら熱々の辛ラーメンを昼ごはんに食べ、クーラーの効いた部屋でサッパリして夕方6時まで寝る。晩御飯を食べ終わった7時から10時間かけて次の日のテストに向けて一夜漬けしていた。
あの短時間の睡眠の質を上げていたのは辛ラーメンに他ならない。そして熱々の辛ラーメンとベストマッチして記憶に刻まれているのが夏なのだ。
暑ければ暑いほど辛ラーメンが食べたくなる。宿で料理するために卵2個とソーセージも買った。本当はソーセージじゃなくて肉、あとキャベツも入れたいけど小分けパックとか4分割されたやつとか売ってないのでしょうがない。
宿で煮込み、部屋で食べた。今日はシングルルームなので臭っても良いのだ。YouTubeで都市伝説を観ながら見た目の悪すぎる辛ラーメンをすする。外国では、すするという行為は行儀が悪いらしいが、部屋の中は治外法権だ。
汗が滝のように流れ落ちる。扇風機を付ける。とんでもなく気持ちいい。ほんと旅中に何やってるんだろう。だがそれがいい。
I changed my hotel because of bad smell!!! I chose single room today. I really wanted to have a foot massage because usually I walk over 20000 steps for one day. I walked over 30000 steps yesterday so I have pain at my knees. I had good and expensive massage… but we cannot go against nature.
せんまさお
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