やはり例のどえらい美人はフロントにはいなかった。一期一会を噛み締め、重い荷物を担ぎ、僕は明るくなりかけた街へ出た。
今日は香格里拉へ向かう。これでシャングリラと読む。理想郷、桃源郷の意味だ。元々は似た音の違う地名だったらしいが、観光地としての発展を期待して2001年にシャングリラへ改名したそうだ。
ちなみにシャングリラという言葉は、イギリスの小説家ジェームズ・ヒルトンの探検小説である「失われた地平線」でチベット地方の理想郷の呼称として作り出されたそうな。
シャングリラ、なんていい響きなんだろう。アジアっぽいようなヨーロッパっぽいような、どこか異国情緒を掻き立てられるロマン溢れる名前だ。
香格里拉の標高は高く、市内でも3,300mに位置する。富士山の八合目あたりと同じ高さだ。
山なのでクネクネの山道を行くのかと思ったら、整備された綺麗な道でスイスイ行くことができた。
ジェームス・ヒルトンが書いた通り、ここ香格里拉はチベット地方の一部だ。チベット地方へは通常、高額な料金を支払い、2週間かけて入域許可証を取得しなければ入ることができないが、ここ香格里拉へは入域許可証なしで来ることができる。
本来ならチベット地方の中心地へ行きたいが、ビザの問題もあるので僕は行くことができない。ただ、中国人曰く、香格里拉でも十分にチベットカルチャーを感じられるそうだ。
宿に荷物を置くと香格里拉で一番有名らしいチベット仏教寺院の噶丹松赞林寺へ行った。
バスをなかなか見つけられず、1時間以上歩いて行ったのだが、標高が高いせいか息がやたらと切れる。
境内にはいくつもの寺院がある。入場料が高かったので、せっかくなので全て回ることにした。
観光客は多いが、メインの寺院以外は人っ子一人いない。犬はいた。寺院が市街から外れた場所にあるので、寺院内は完全なる静寂。
チベット様式のカラフルかつ落ち着いた雰囲気が美しい。階段があるので登ってみると、奥にはこの寺院内で一番大きな仏像があった。
あまりに神々しく(仏だが)、ついつい見入ってしまった。僕は普段あまり祈らず、感謝だけ伝えるようにしてきたのだが、旅する中で世界平和を祈るようになってきた。世界の平和がどういう状態なのか自分でもよく分からないが、争いと貧困を目の当たりにすると誰でも願わずにはいられないだろう。もちろん自分が旅しやすいように、という下心もあった。
境内をグルグルと歩いていると完全に道に迷った。お坊さんが歩いていたので後ろを付いていってみることに。
寺院の裏には大自然が広がっている。お坊さんは山に入って行ってしまったので、僕は道をそのまま進んだ。
道中、山の中にチベット仏教のカラフルな旗が見えた。試しに登っていたら、さっき山に消えて行ったお坊さんが山から出てきた。
一緒にその旗の元へ行ってみると、近くに展望台があり、裏からではあるが、境内が一望できるようになっていた。
お坊さんに道を教えてもらい、ようやくメインの寺院に行った時にはヘトヘトで、ザッと見て帰路についた。
帰りはバスを見つけられたので宿の前まで乗って帰った。こんな近くにバス停があったなんて。
宿のオーナーにチベット料理屋まで連れて行ってもらった。ヤクの肉がオススメらしく、ヤクの肉丼を注文した。あとヤクのバター茶が有名らしく、せっかくなのでこれも注文した。
寒いからカロリーが必要なんだろうか。バターコーヒーなら飲んだことがあるが、バター茶は初めてだ。
ちなみにハリーポッターにバタービールという飲み物がでてくるが、小学生の僕はどうしてもバタービールが飲みたくなり、図書館にあった「ハリーポッターで出てくる料理ブック」的な本を借りて作って飲んだことがある。今考えればあれはただのミルクセーキだった。
ヤクの肉は臭くなく、牛肉の赤身に似た味がした。まあウシ目ウシ科ウシ属らしいのでそりゃ牛なんだけど。バター茶は小を頼んだのに大きなポットで運ばれてきて、結局、湯呑み10杯分は飲んだ。
たぷんたぷんの腹を携えて宿に戻る。宿には日本人の女子大生3人組が泊まっていたので、暖炉の前で夜まで話し込んだ。
後ろでは中国人のおじさん達がスマホで音楽を鳴らしながら鍋を食べている。薄暗い木造りの古民家で湯気の昇る鍋を食べている風景と、おじさんのナイスチョイスな音楽が見事にマッチして、どこか感動的なシーンに見える。
壮大な音楽「もののけ姫のテーマ」と共に、米を茶碗によそうおじさん。鍋から熱々の肉をつまむおじさん。酒を呑むおじさん。そう、おじさん達だけ。
酔っ払ったおじさん達はこの辺りの民族について教えてくれた。チベット族だけでなく、イ族という少数民族もこの辺りには住んでいるらしい。
昼間にチベット族だと思っていた方々はどうやらイ族だったようだ。酔っ払ったおじさんはチベット族かイ族か忘れたが、結婚式の時用のおどりを踊っている。愉快な夜だった。
シャングリラ、幸せだ。
I cane to Shangrila by bus today. This city has Tibet culture. I really want to feel Tibet cultures. I visited to famous Tibet style temple. It is not only colorful but also quiet atmosphere. This city is in over 3,300m of elevation so I was so tired today.
せんまさお
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