エチオピア大使館に来た。スーダンと違ってあっという間にビザ申請完了。多少の記入漏れも問題がなさそうだった。受け取りは明日の朝らしい。
そこからタクシー配車アプリを使ってちょっと離れたところにあるピラミッドを観に行った。
一つ目の目的地の屈折ピラミッドに到着。タクシーがここで待っていると言ってくる。また配車アプリを使うから帰ってくださいと伝えたが、どうも言葉が通じにくく、うまく伝わっていないような気がする。もしかしたら、待っているから追加でお金を払うようなことになる気がして困っていた。
そこへたまたま日本人団体観光客のバスがやって来て、日本語ペラペラのエジプト人ガイドが困っている僕らの通訳をしてくれた。
どうやら、ここはあまりに砂漠の中にあるので、車のない外国人を置いて帰ることが警察の指導で禁止されているらしい。
観光している間、待っておくから、再びタクシー配車アプリで自分を呼んでくれればいい、とのことだった。
そういう事情があるのなら、多少のチップを払うのはやむを得ない覚悟で待っておいてもらうことにした。
目的の屈折ピラミッドの手前に、レッドピラミッドというものもあったので、ついでだが先に寄ることに。
内部に入れるようなので入らせてもらった。
入れると言っても、中腰以下の低い姿勢で数十メートルにも及ぶ下り坂を降りるところからスタート。
何度も頭を打ちながら最下層に到達したと思えば、今度は上り階段。元々人が見学する用に作られたわけではないので当たり前だがなかなかキツい。
最深部に到達したが、特に何かがある訳ではなかった。想像では、色彩豊かな壁画やヒエログリフで埋め尽くされているはずだったのに。
再び中腰以下できつい坂を登る。太腿がパンパンにパンプアップしているのが分かる。何度も休憩してようやく入り口へ。
レッドピラミッドから歩いて30分ほどで屈折ピラミッドへ。デカいから距離感が分からず、近いから歩いて行こうと思ったら、想像より遠かった。
ヘトヘトの中、屈折ピラミッドの入り口へ続く階段を登ろうとして気がついた。太腿が疲れすぎて力が入らない。
なんとか入り口まで登り、再び中腰以下で坂を降りながらピラミッド内部へ。レッドピラミッドよりも少し長く感じる。
力がほとんど入らないので、滑るように坂道を降る。そして例の如く登り階段を登る。
着いた先はこれまた例の如く何もない。しかしこちらには大量のコウモリがいた。壁や天井にぶら下がり、キーキー鳴いている。気持ち悪い。
疲労と暑さですぐに外へ出ることにした。帰りの中腰以下坂道は四つん這いで登るしかなかった。
打ち合わせ通り、ドライバーのすぐ横でタクシー配車アプリで依頼し、すぐさまドライバーが受諾した。
次の目的地は階段ピラミッド。知らなかったけど、イメージしているピラミッドより数多くの個性的なピラミッドが存在する。
ちなみに屈折ピラミッドは途中から斜度が緩やかになっているもので、階段ピラミッドは名前の通り階段のような作りをしている。
階段ピラミッドには先ほどの日本人団体観光客が来ていた。みなさん客引きを完全無視している。それが無難だけど少しくらいは話してみるのもおもしろい。
階段ピラミッドは美しい形のまま残っていた。
日も傾いてきており、ピラミッドの前では今日の仕事をほとんど終えて寛ぐ乗ラクダ体験の商売人たちが談笑している。
ずっと昔から見たかったピラミッド。いろんなのを見られて純粋に嬉しかった。
暗くなった頃、夕飯を食べるために街へ出て歩いていると、突然キックが飛んできた。思わずそのキックしてきた男に殴りかかった。が、キックは寸前で止められ、男の表情から冗談だと分かったが、一瞬で沸点に達した僕の怒りのボルテージはそのまま下がることなく、振り上げた拳を広げて男に掴みかかり押し倒そうとしたが、その辺りで理性が効いてきて事なきを得た。よく見ると仲間らしき3人の男が背後にいたので手を出していたら危なかった。男の笑顔に無理矢理僕も笑顔を作り、その場を離れた。
手頃なパスタ屋さん(パスタではない)を見つけ、牛のレバーが乗った(乗ってない)パスタ(パスタではない)を注文して店内に座った。
隣のテーブルに座っていた少年たちがこちらを気にしているようだ。
一人がどこから来たのか聞いてきた。
日本から来たと伝えると、首を切るジェスチャーをして、「中国人だったら殺してた」みたいな事を言ってきた。
というのも、数日前にアフリカ大陸で初めて新型コロナウイルスの感染者がエジプトで見つかったというニュースが流れて以降、街中で「コロナ」という野次が飛んでくるようになったのだ。
新型コロナウイルス=中国人というイメージが、中国人差別に拍車をかけているように思う。
日本でも感染者はいるが、野次を飛ばしてくる殆どの人は、つまり高い水準の教育を受けられていない人なんだろうから、正しい情報を得ることをしていないので、とりあえず日本人だと言えばそれ以上責められることはない。
中国人へ対する差別には猛烈に腹が立つが、あまりの野次られっぷりに身の危険すら感じるので、免罪符的に「日本人です」と説明して安全を享受している。
本当なら野次ってくる奴を責め立ててその考えを正したいけれど、新型コロナウイルスに対する恐怖心もあるだろうから強く言えない。もちろん野次を飛ばしてくるのは許せないのだけど。
ともあれ、その後もその少年たちと話していたら仲良くなった。
「ジャッキー・チェンは日本人?」
違うよ、と言うと、少年たちの後ろに立っていたおじさんが少年たちに「ブルース・リーは日本人だ」、とドヤ顔で伝える。
それも違うよ、と言うと、おじさんは恥ずかしそうにしていた。
最後に連絡先を交換してお別れ。イキってる中学生みたいな憎めない感じの彼らだった。
帰り道にマンゴーアイスを買って帰る。いつもアイスを買いに行く店だが、マンゴー味はハズレかもしれない。
夜遅くに一服しようと部屋を出ると、宿のスタッフのナーセルさんが水タバコを吸っていた。
彼は目の前の柵に引っ掛けたライオンのヌイグルミを指差し、「友達」と言っている。韓国旅行に行った時に買って帰ったらしく、それ以来友達らしい。あざとい。が、ライオンのキラキラした瞳に笑いが止まらなくなってしまった。
この宿、居心地が良すぎる。
せんまさお
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