フィレンツェから電車に乗って1時間。ピサに到着。
ピサといえばピサの斜塔。これ一回見てみたかった。
小さい頃に家にあったピサの斜塔をモチーフにしたバランスゲーム。
底が丸くなっている塔の模型に人形を乗せていって、塔がバランスを崩して人形が落ちたら負けというゲーム。
ピサの斜塔が仮にこのゲームならば、完全に人形が崩れるくらい傾いている。むしろなんで建っているのか分からないくらい傾いている。
チケットを買って内部に入った瞬間にグラっとよろけてしまった。それくらい傾いている。平衡感覚が崩れるくらい傾いている。
螺旋階段を登るのだが、それも傾いているので、登るのが楽になったり、苦しくなったり、横に逸れていきそうになったりと変な感じ。
ようやく頂上まで登ったらピサの街が丸見え。小さな街。
隣にはピサ大教会が丸見え。周囲には何も建っていないので、本当に丸ごと見えて、おもちゃのよう。
ピサの風で火照った身体を冷やし、塔を降りた。
他にも色々あるみたいだが、ピサの斜塔以外は興味がなかったので再び電車でフィレンツェへ。
小腹が空いたので、ランプレドットという牛の第四の胃を挟んだバーガーを食べる。うまいのかまずいのか分からない味だが、この辺ではメジャーな食べ物らしい。ムニュムニュして食感は気持ち悪い。
フィレンツェといえば、赤煉瓦の屋根とサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。
それがいっぺんに拝めるジョットの鐘楼に登る。
今日は登ってばかり。とにかく石階段を登る登る。頂上かと思いきや、何度も途中の休憩場みたいなのが続き、ようやく頂上に到着。
僕は社会人1年目のときに、奮発してイタリアのベッドを買った。効率よく疲れをとり、全力で仕事に取り組むためだ。
マニフレックスというメーカーのやつで、色んなメーカーの展示場で高いベッドに寝っ転がって試してみた結果、ここのベッドが一番心地よく寝られた。
(まるで立っているみたい)
悪い意味ではなく、背中への負担が全くと言っていいほどないのだ。横を向いて寝ても肩への負担がない。僕は腰痛持ちなので、低反発マットレスは腰が痛くなる。
マニフレックスは高反発ベッドなので、下から支えてくれて腰が痛くなりづらい。それでいて、僕が買ったモデルは、表面に薄い低反発素材が使われているので、肌に触れる部分は身体にフィットするのだ。
あまりの寝心地の良さに驚き、その後マクラも買った。これまた通気性がよく、低反発なので重い頭でも包み込んでくれる。
友人にも勧めた結果、多くのハードワーカー達が購入するに至った。ハードワーカーは睡眠にこそお金をかけるべきだと自信を持って言える。
体感値だが、1万円の安物のマットレスで8時間寝るのと、マニフレックスのフラッグモデルのFXで6時間寝るのとでは、疲れの取れかたがイコールになる。
つまり1日2時間、年間730時間が有効に使える。その間に勉強するなり趣味に充てるなりすれば、より豊かな生活に繋がるのだ。
話が遠回りになったが、そのベッドを買ったときにおまけでクッションカバーを貰った。そのデザインが、このジョットの鐘楼から見たフィレンツェの街並みだったのだ。
「あのマニフレックスの場所…」
ついにマニフレックスの地に着いた。絵とか写真とかテレビとかで見ていたものが目の前にあるというのは少し嬉しい。街中で芸能人を見かけた時のような気持ち。あ、テレビで見るより大きいんだ…みたいな。
ここジョットの鐘楼から見るフィレンツェの街は、マニフレックスのクッションカバーで見るより解像度が高かった。
鐘楼を後にし、向かったのはアカデミア美術館。
なんでフィレンツェに来たのかというと、これを見るためだった。
そう、ダビデ像。ミケランジェロのダビデ像。詳しくは知らないけど、最も優れた芸術作品の内の一つらしい。
アカデミア美術館はそう大きくはなく、すぐにダビデ像コーナーに着いた。遠くから見たらなんかヘンテコなバランス。自分が言うのもなんだが、頭がでかい気がする。
しかし近くに寄って見上げてみると、それが程よく見えるのだから不思議だ。彫刻は見る角度が決まっているらしい。立体なのに変な話だが、人間の目では平面にしか見えないのでしょうがない。
確かに今まで見たどの彫刻よりイケてる気がする。イケてるで片付けていいもんか分からないが、僕は凡人なのだからこれ以上は表現できない。
背中側も見てみた。有名な作品は写真で見ることがあるが、裏側はなかなか見れない。プリケツだ。
アカデミア美術館の次はウフィツィ美術館。目当てはポッティチェリの『ヴィーナスの誕生』。愛の女神ヴィーナスが生まれた瞬間らしい。
有名な作品だが、これまた目の前にある。この絵は木に描かれているようで、間近で見ると木目でボコボコしている。それにしても500年以上前に描かれた絵が残っているだけですごい。
この作品もなんやかんやと批判があるらしい。左手が変とか首が長いとか。確かに言われてみると左手が変だ。股間を隠すためにちょっと変な角度と長さをしている。首も言われてみれば長い。首長族くらい長い。しかしそんなこと重要なのか。美しいのだからいいじゃないか。
フィレンツェで1番古いヴェッキオ橋を眺める。ヴェッキオとは「古い」という意味らしい。通ってみると、宝石屋や貴金属屋が並んでいる。崩れたら大損害だ。
日が暮れた辺りでサンタクローチェ聖堂へ。ミケランジェロやガリレオのお墓があるらしいが、もう閉まっていた。聖堂の前には広場があったので、ここで少し休憩。
それにしてもフィレンツェ、観光客がとても多い。日本人もたくさんいた。
残念だったのが、日本人が中国の人を大声でバカにしていたことだ。恐らく大学生だろう若者が、ジョットの鐘楼の狭い階段ですれ違う中国の人に対して、「もっと寄れや!」とか「ウイルス移るやん最悪~」とか耳が痛くなるような大声で叫んでいたのだ。
お前らが最悪だ。逆の立場になって考えてみろよ。ヨーロッパではアジア人というだけで結構差別のような扱いを受けることがあった。その度に僕は辛いなと感じたり、怒りを覚えたりしていた。
日本人はそんなことしないのに、と信じていたが、とんだ勘違いだったようだ。本人を目の前にして大声で罵倒する下品な人もいるのだ。
言葉が通じないからと思っているのかもしれないが、言葉が通じなくても伝わることはある。現に僕は現地の言葉で何か嫌なことを言われても気づくことがある。言葉が伝わらなくても、違う人種でも、百歩譲っても、絶対に本人を目の前にして罵倒してはいけない。心の中で何を思うのかは勝手にしたらいいが、人を傷つけるようなことを口にしてはいけない。そして中国で受けた数々のご恩を僕は忘れない。
今日も僕は笑われながらヨーロッパを旅しました。
《その他の街並み》
《美術館で見た作品の中で気に入ったもの》
せんまさお
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