「セニョール、セニョール!」
自分が呼ばれていると気づくまで相当時間がかかった。
空港でおばちゃんが僕に声をかけてきた。僕はセニョールデビューを果たしたのだ。
セニョールはおばちゃんにスペイン語分からないんですと伝えると、おばちゃんはセニョールにあらまごめんねみたいなかんじの事を言って別の人に声をかけていた。
セニョールはチェックインを済ませると、ラウンジでパンを10個食べるファインプレー。
激暑の機内で待つ事45分、ようやく離陸。久しぶりのジャンボジェット。登場にも時間がかかるし、更に離陸も遅れた模様。
バルセロナからマドリードは意外と離れており、バスや電車よりも飛行機の方が安かったので、利用客も多いのだろう。
無事マドリードに着陸したとき、隣のインド人が控えめに拍手していた。かわいい。
宿に着き、少し昼寝。シエスタってやつ。
日が暮れた頃にセニョールは街へ繰り出す。19時以降はソフィア王妃芸術センターの入場が無料になる。
無料時間狙いの人の行列に並ぶ。セニョールの前は中高生くらいの小さい女の子。この歳で一人で美術館に来るなんて立派な人だ。そしてこういうお小遣いの少ない若い人にとっても無料開放は良い取り組みだ。
19時になり、列がゆっくり進み始めた頃、日本の国旗を付けた4台のガラの悪い黒塗りの高級車が突然猛スピードで芸術センター前に乗り付けられた。
SPみたいな人に警護され、中から偉いだろう人が数名降りてきた。そして芸術センターのスタッフらと共に、別の入り口から中へ入っていった。
ちょっと誰なのか分からなかったが、日本の政治家かヤ◯ザみたいな雰囲気で、その物々しさから、列に並ぶ人たちがザワザワし始めた。車に貼られた国旗から日本人なのはバレバレ。なんかセニョール、恥ずかしい。
0ユーロチケットを受け取り、荷物検査の後に入場。
目当てはピカソのゲルニカ。スペイン内戦中に描かれた、ゲルニカという都市が受けた無差別爆撃をテーマとしているらしい。
そういう前情報があるとなんかそれっぽく見える。思っていたよりも格段にでかい。
さすが実物となると、なんかオーラみたいなのがあり、ちょっと引き込まれた。
それよりも、ゲルニカの製作過程の展示があり、そっちの方が興味をそそられた。
ピカソといえば、訳わからん抽象画がイメージとしてあるが、あの絵が出来上がる前段階では割と普通っぽい絵だった。
そこに謎の直線やら模様がプラスされ、色を塗ったらこうなったみたいな過程が見て取れておもしろかった。
ここには他にも有名作品がバチクソ展示されている。セニョールには理解しようがないが、良い絵だと言われれば良い絵にも見えてくる。
入場から1時間半で閉館となり、浮いた入場料分でお土産を買って帰った。
セニョールは「なんか家にゲルニカ欲しいなあ…」と思いながら眠りについた。
せんまさお
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