とにかく疲れすぎていて朝起きるのが苦痛だった。もう一泊決定だ。
莫高窟を見てしまったので、この街に特に用はなかったのだが、昼前に宿を出て、地図に表示されている適当な場所へ行ってみた。
月牙泉とかいうのがあるらしい。泉なんだろうか。行ってみると、入場料がやたら高い。110元(1,760円程度)も払って見る価値のあるものが中にある確証はない。いつだって確証はないが、この強気の値段を逆に信じて入ってみることにした。
ゲートを進むと答えは分かった。ゴビ砂漠だ。ゴビ砂漠が一面に広がっている。山のように高い砂丘も見える。
砂からの照り返しがあまりに暑い。好奇心に任せてかまわず砂の中を進む。靴の中に砂が入ってくるのだが、その砂がとても熱い。
砂丘には縄梯子のようなものが埋まっており、それを足がかりに砂丘を登る。休む場所なんてないから一気に登りきった。動悸が激しい。
砂丘の斜面を登ってくる強い風が砂を巻き上げ、身体に打ち付けてくる。チクチクと痛い。斜面を落ちた砂は二度とそれより高い位置には戻ることができないと思っていたが、そんなことはなさそうだ。
見渡す限りどこまでも砂漠は広がっている。モンゴルで見た草原のように。文明からほど遠いこの大きすぎる自然の中に立っていることが恐ろしくもある。
砂丘の頂上から下を見下ろすと、泉が見えた。いわゆるイメージしていたオアシスのようだ。
名前の由来にもなっているだろう、月の形をしている。それに沿うように寺院が建っている。砂漠に佇み、砂を被った寺院は渋い。
再び斜面を下り戻るが、もうとんでもなく疲れた。ゲート付近でコーラを買うと一気に飲み干した。
すでに体力0の僕は宿に戻り、回復を待った。昨日、街の書店で世界地図を買った。そこに今まで訪れたルートを書き込む。結構進んだと思っていたが、どうやら世界は思っていたよりももっと広いようだ。
これまた昨日買った当て布で靴を直す。縫おうにも靴はなかなか難しい形をしているもんだ。1時間かけてやっと両足の補修が終わった。これで踵も痛くならないだろう。
夕飯がてら、川沿いを散歩していると、噴水に入って子供達が遊んでいる。入るなと書いてあるのにまた入ってるわ、と一瞬ムッとしたが、あまりに無邪気に笑い、それが夕日に照らされて、少し美しく見えた。今日はまあいいか、と思えた。

せんまさお

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