朝食は昨晩の残りのミルク粥。そのままだとあんまり美味しくない(味がしない)ので、Aラさんが買ってきていたナッツを色々かけて食べる。レーズンが良く合う。
それとパンケーキの膨らんでなくて油で揚げた版みたいなものも作ってくれた。油がしつこいがおいしいのでバカみたいに食べてしまった。
荷物をまとめて出ようとしたところ、食器とかコンロを入れていたバッグのファスナーが壊れた。ガイドのパタさんがナイフで直していたその時、後ろから声がしたので振り返ると、左手を血塗れにしたおじさんが唸りながら歩いてきた。
どうやら薪割りの最中に斧で親指と人差し指の間を切ってしまったようだ。ゲルのおばちゃんも出てきて手当てをしているが、なぜか傷口を水に浸けている。
みるみる内に水が鮮血で染まっていく。それじゃあ血が止まらない、リストカットで自殺する人とおんなじやんけ(ソース:名探偵コナン)とすぐに水から上げたはいいものの、縫わないといけないくらい完全にパックリ切れている。
ガイドのパタさんが「なんかクリームとかないんか」と言っている気がした。薬を始め、応急手当てグッズは最初のゲルに預けてきた。おばちゃんたち一同も手頃なクリームなんて持っていないようだ。
ふと思い出した。僕は痔なので乗馬での悪化を見込んでボラギノールだけは持ってきていたのだ。
ボラギノールでいけるか心配で効能を読む。
「痔による痛み・出血・はれ・かゆみの症状の緩和」
この「・」の意味合いによって効能が変わる。99%、この「出血」は「痔による」ものだと思うが、この際痔も斧の切り傷も似たようなものだろう。
どっちにせよこのまま血が出続ければヤバそうなくらい血が流れている。Aラさんが消毒シートを持っていたので、ガイドのパタさんが消毒した上からボラギノールをたっぷりと塗る。見事に血が止まった。
おばちゃんが包帯を持ってきた。ガーゼにもボラギノールを塗り、傷口に被せて包帯を巻く。
傷口を心臓より高くしておいた方がいいと伝え、僕らは薪割りの続きを代わりに始めた。
あらかた薪を割り終えたころ、包帯を巻いたおじさんがやってきて割った薪を運び始めた。休んでおいた方がいいと伝えたが、大丈夫大丈夫と聞かない。
薪割りも終わったので出発すると、遠くの方で片手でバイクを運転するおじさんが見えた。どこか病院に向かっていることを信じたい。神経が傷ついているとか破傷風感染とかがなければいいが。
ちなみに例のアメリカ人は徒歩でスタートしたので、みるみる離れていき、いつの間にか見えなくなっていた。
パタさんが「これでもう臭くないだろう」と笑っていた。悪いオヤジだ。
途中でパタさんが友達と遭遇。途中まで一緒に向かう。分かれ道でバイバイし、友達は馬に乗って颯爽と走り去って行った。遊牧民のガチの乗馬はえらくカッコいい。
1時間半ほどして昼食。いつものフライドヌードル。食べて一服していると、突然お腹が痛くなってきた。ウンコかと思い踏ん張るがプスプスとオナラしか出ない。
止む無く再出発したが服痛どころか吐き気がしてきた。しばらく我慢していたが限界だ。
馬から降り、岩陰で吐く。ついでにウンコもする。なにかが当たったんだろうか。心当たりは朝食の油まみれの膨らんでいないパンケーキ。
少しはスッキリしたが気分が悪い。あと何時間で今日の目的地かと聞いたら約3時間とのこと。
心が折れ、今日はここで一泊することに。テントを張りすぐに横になった。そのまま6時間寝ていた。
起きると体調はほとんど治っていた。パタさんがテントまで夕飯を持ってきてくれた。
「キムチラーメン」
初登場で嬉しいが、体調不良の日に食うもんではなさそうな気がする。吐いて腹が減っていたので渋々食べると旨いことこの上ない。
寝汗をかいていたので塩気が嬉しい。食後に紅茶をたくさん飲んでまたすぐに寝ることにした。明日には確実に動きたい。
せんまさお
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