ウズベキスタンを旅していたとき、同じ部屋に泊まっていたベルギー人から教えてもらいました。
「ベルギーにはチョコレートミュージアムがあるのよ」と。
その5ヵ月後、ユーラシア大陸を辿ってベルギーに到着した僕は、小便小僧、小便少女を一瞬で写真に収め、すぐさまチョコレートミュージアムへ向かいました。


今回はそのミュージアムの魅力と、チョコレートの歴史、そしてチョコレートを取り巻く問題についてお話しします。
チョコレートミュージアム
ベルギーには複数のチョコレートミュージアムがあるそうで、ベルギーで最大の場所は、首都のブリュッセルにある「ベルギー・チョコレート・ビレッジ」という場所だそうです。チョコ作り体験もできるそう。
しかしベルギー・チョコレート・ビレッジは少しばかりブリュッセルの観光の中心部から外れており、ついでに行くには遠いのが正直なところです。
よっぽどチョコレート好きなら行くべきでしょうが、僕はちょこっと好きなくらいなので、ブリュッセル観光の中心グランプラスから歩いて行ける距離にある「チョコ・ストーリー」というミュージアムに行きました。
チョコ・ストーリーの場所

かの有名な「世界三大がっかり」の一つ「小便小僧」のすぐ近くにあります。
チョコ・ストーリーの入場料
・大人:9.5ユーロ
・6-11歳の子供:5.5ユーロ
・12-18歳の子供:7.5ユーロ
・学生証のある学生:7.5ユーロ
・65歳以上:7.5ユーロ
・6歳未満:無料
全て英語のオーディオガイドを含む料金です。(日本語は準備中らしい)
※2020年7月現在
チョコ・ストーリーの見所
チョコ・ストーリーはカカオの発見から現在のような固形のチョコレートが食べられるようになるまでの歴史を展示している博物館なのですが、その中で「見所」だと思ったところをご紹介します。
カカオ豆の通貨的役割

かつてカカオ豆は通貨の役割を持っていたそうです。トマト1個はカカオ豆1粒。卵1個なら2粒。唐辛子5本はカカオ豆1粒。ウサギ1羽は10粒です。なぜこのような役割を担うようになったかという歴史が紹介されています。
ヨーロッパのチョコ文化

元々中米で食べられていたカカオですが、ヨーロッパに渡り、チョコレートドリンクとして貴族の間で飲まれるようになりました。その様子が展示されています。そして我々の知る固形のチョコレートへと進化していくのです。
デモンストレーションと試食コーナー
博物館の最後に、チョコレート作りのデモンストレーションを見ることができるコーナーがあります。完成したチョコレートを一つもらうことができます。できたてのチョコレートを食べることなんて滅多にないので嬉しかったです。超おいしい。
チョコ・ストーリーに行くときの注意点
オーディオガイドが配られるのですが、現在は英語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、スペイン語のみでした(うろおぼえ)。

「日本語は現在準備中よ」とのことでしたが期待しないほうがいい気もします。
このオーディオガイドを館内にある機械にかざすことで説明が聞ける仕組みになっているのですが、音声はオーディオガイドから流れてくるようになっています。つまり、携帯電話のように耳に付けて聞くことになるのですが、腕が疲れます。
オーディオガイドにはイヤホンジャックがついており、持参したイヤホンをそこに挿すとイヤホンで聞けるようになるので楽です。なんでもいいので有線のイヤホンがあると便利です。
チョコレートの歴史
僕たちが普段食べているチョコレートは、カカオの種子を発酵・焙煎したカカオマスを主原料とし、砂糖、ココアバター、粉乳などを混ぜて練り固めた食品です。


イギリス人が現在のような固形のチョコレートを考案するまでは、チョコレートといえば、液体のホットチョコレートのことを指していました。
チョコレートの原料であるカカオですが、元々は中米の先住民の間で薬用として食べられていました。食べ方は、カカオを石臼ですり潰した後、コーンミールやトウガラシを混ぜて水で溶いて飲んでいたそうです。なので甘くないです。


その後、コロンブスの手によってヨーロッパへ紹介され、また中米を支配したスペイン人にも好まれ、ヨーロッパ大陸に浸透していくようになりました。

ヨーロッパに伝わる際に、トウガラシよりも砂糖を入れたほうが苦味が消えると気づき、砂糖を入れる食べ方がヨーロッパへ広がりました。
当初はヨーロッパでも薬用として食べられていましたが、砂糖を入れたら美味しいということで、嗜好品として浸透していくことになりました。これがチョコレートです。
主にヨーロッパの貴族や富裕層の間で贅沢な飲み物として受け入れられました。
19世紀に入るまではチョコレートといえば飲み物だったのですが、技術革新によって現在の固形チョコレートが発明されました。さらにミルクを入れたら更においしいということが分かり、ミルクチョコレートが作られました。当時ザラザラだった食感を滑らかな食感に変える技術も発明され、カカオのメイン利用法は飲み物から固形に変化したのです。

こうした発明により、19世紀後半から工場で大量生産することが可能になり、価格を抑えることができたため、一般市民も楽しめる食べ物になりました。

日本にチョコレートが入ってきたのは江戸時代です。オランダ人が出島に持ち込み、知り合いに配ったりしていたそうです。当時の日本人は「しょくらあと」と呼んでいたそうです。
そして1878年に日本で始めてチョコレートが製造されました。今度は「貯古齢糖」と漢字をあてて広告されたそうです。なんか身体に良さそうな名前です。
現在は世界中で食べられているチョコレートですが、世界で最もチョコレートを食べている国はルーマニアで、一人当たり年間15.4kgも食べているそうです。日本は2.1kgだそうです。僕は多分10kgくらいは食べていると思います。

チョコレートを取り巻く問題
※ミュージアムとは関係ありません
そんな世界で食べられまくりのチョコレートですが、実は問題があります。チョコレートの原材料であるカカオですが、赤道近くの高温多湿な地域で栽培されています。現在カカオ生産の約7割は西アフリカで行われているのですが、児童労働が問題になっています。
先進国でカカオの需要が増えるとともに、生産国では需要に応えるために児童が労働に就いているのです。もちろん学校には行けません。また、カカオ収穫には危険が伴います。そのような環境におかれている児童が222万人いると言われています。
もちろん先進国は生産国に対して「児童労働をやめさせろ」と警告していますが、一方で安価に輸入しているので、先進国の振る舞いは矛盾している状態です。
そのような児童労働の問題に対し、NGOが募金活動を行っています。問題を感じた方は以下のサイトを見てみてください。
チョコ募金 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

せんまさお

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