「残念ながら、君と一緒に相乗りする人は見つからなかったよ」
相乗りタクシーの相乗り相手が見つからなかった。タクシー会社に聞いてみたら、シェアしない場合とても高いらしい。
そこで宿のオーナーから提案。
「僕が乗せていってあげる」
高いのには変わりないが、タクシー会社よりはマシな値段で宿オーナーが次の街へ乗せていってくれることになった。値段を伏せたいくらいに高くて悔しいので、本当に伏せておく。
オーナーと二人きりのドライブ開始である。
「スペイン語を勉強したいなら、彼女を作ればいいのさセニョール」
妻子持ちのクセにチャラいオーナー。ラテンノリというやつか。
サンタクララはいい街だったと伝えたら、喜んでいた。ほぼ何もない街だったが、平和に、そして静かに過ごせた街だった。
乗車から約3時間で次の街へ到着。
着いたのはバラデロというキューバきってのリゾート地である。
リゾート地はあんまり好きじゃないが、ハバナに一気に帰ると時間がかかるので、途中のバラデロに寄ったのだ。のんびりの旅が更にのんびりになる。
「やあいらっしゃい」
出てきたのは、おばあちゃんとおじいちゃん。
全く英語が通じないし、分からないと言ってるのにスペイン語でガンガンに話してくる。それでも、とても親切に接してくれる。
ウェルカムドリンクでキューバコーヒーをいただく。(前の宿を出発する前にも前の宿のオーナーが出してくれていたので二杯目)
キューバのコーヒーは本当は美味しいんだろうけど、なんか美味しくない。エチオピアで飲んだ時も思ったが、たぶん焙煎とか保存方法とか、そもそも高品質な豆は輸出に回すとか、そんな事情があるからか、現地で飲んでもそんなにおいしくない。
今のところ唯一コーヒーの産地で飲んで美味しいと思ったのはベトナムくらいである。
少しシエスタして海へ。海までは歩いて10分くらい。海沿いにはオールインクルーシブホテルが並んでいるが、値段が高いので、僕はちょっと離れた民宿に泊まっている。
海が青い。遠浅の海らしく、手前はビー玉のような水色。奥は深い藍色。グラデーションが鮮やかで心が洗われる。オフシーズンらしく人もそんなに多くないので、静かでいい。
ビーチ沿いを歩くが、砂浜はフカフカなので足を取られる。見たことない蟹もいる。
ビーチ沿いを歩き続けて遠くまで来たが、市街地に戻って昼食兼夕食をとる。
またピザ屋しか見つけられなかったが、パスタを注文。トッピングにはハムを追加した。
出てきたのは、伸び伸びのパスタに、カレーのルーみたいにドロっとしたトマトソースがかかり、溶けてないチーズが乗った謎料理だった。
ハムがないなぁと思って、フォークを突き刺すと、厚いトマトソースの層の下から、細切れのハムが出てきた。
食べてみると、おぞましいほどに不味い。
「キューバで人気の味」
店の看板に書いてあるキャッチフレーズである。絶対にこんなもの人気であっていいわけがない!
もったいないので、吐きそうになりながら食べる。本当に吐きそうになりながらなんとか食べ終え、謎のコーラで流し込んだ。
ちょび髭を生やしたシェフが、わざわざ皿を下げにくる。ビジュアルだけなら一流である。
食事のストレスが半端ない。しかし、しょうがない。これがキューバで人気なら、諦めるしかない。
店を出て、ちょっと歩いてカフェを探す。海が見えるカフェで一息つきたかったが、そんな気の利いたものはない。なぜか防風林のようなものを挟んで、海が見えない場所にばかりカフェがある。しかも、ほとんど開いてない。
「コーヒーありますか?」
と聞いて回るが、「コーヒーはない」というお店ばかりである。
ウロウロして元の道に戻ってきたら「コーヒーは飲めたか?」とさっき聞いたお店の人に声をかけられた。
「残念ながら、この街にコーヒーはない」と答えると笑っていた。
そしてようやく見つけたコーヒー。わずか25円である。とにかく暑いが、アイスコーヒーなんてないのでアメリカーノを飲む。アメリカーノが日本のブレンドくらいの濃さ。
しばらくして夕陽を見て宿に帰った。パスタがまだ胃に残っていて、なんか気持ち悪い。
寝ようと思ったら停電してクーラーが効かない。結局、停電が復活した深夜0時を過ぎるまで、汗を垂らしながら耐えた。
せんまさお
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