例の泥酔オーナーが爆音で音楽を聴く。深夜になっても鳴り止まない。たまに怒号も聞こえてくる。やっぱり酔っ払いは面倒だぜ。
朝から近くの街の遺跡を見にいくつもりだった。しかし早起きしてみると雨が降っている。
遺跡なんだからそれは屋外にある。わざわざ雨の日に見たくなんかない。もう一度寝ることにした。
昼ごろに目が覚めた。外に干しておいた洗濯物は干した時よりも濡れている。
部屋の中にロープを張り、洗い直した洗濯物を干した。
お腹が空いたが、買い物に行こうにも雨が降っていては億劫でたまらない。昨晩買ったパンの残りを食べてコーヒーを飲む。
ベランダでタバコをふかし、ベッドに戻ることを繰り返し続けた。Nガノさんも一緒のことをしていた。
運良く雨が降らない日々を過ごし続けているが、いざ雨が降ると困ったもんだ。傘もカッパも持っているが、気が乗らないのだ。
サラリーマンから言わせれば、雨が降って気が乗らないから何もしないなんてクズなんだろうが、僕は無職、毎日エンジョイしている勢なので苦労して雨の中動き回りたくはない。
雨が止む夕方までゴロゴロし続けた。今更何かする気にもならないが、夕飯くらいは作ろうかと買い出しに出かけた。
今夜は炊き込みご飯を食べようと話していた。米と醤油とだしの素はあるので、具材とおかずを買うことにした。
近くのスーパーは突然リニューアルなのかなんなのか工事を始めてしまって商品棚がガラガラになっていたので、少し遠くのスーパーへ。
マッシュルーム缶、ニンジン、ジャガイモ、ソーセージ、小さい冷凍ヒンカリ、コンソメを買い、宿で料理。
宿のおばあちゃんが手伝ってくれた。さすがにおばあちゃんの料理スピードは早い。ジャガイモの皮なんて一瞬で剥いでしまう。
ニンジンとマッシュルームだけ具が入った炊き込みご飯を鍋で炊き、ジャガイモとマッシュルーム、ニンジン、ヒンカリのスープを火にかける。
すぐに良い香りが立ち込めてきた。黒猫がキッチンに入ってきた。裏口から勝手に入ってきているが、たぶん野良猫だ。匂いにつられてやって来たんだろう。
ゴキブリだったらぶっ潰していたところだ。よかったな、かわいい猫で。火は危ないから出て行けと追い払った。
炊き込みご飯を蒸らし終わった頃、スープの野菜にも火が通った。皿に盛り付け冷めないうちに食べる。
炊き込みご飯うまい。限られた食材でも我ながら割と良い出来。伊達に一人暮らしが長いわけじゃない。
ちなみに僕は炊飯器や計量カップがなくてもご飯を炊くことができる。その秘密は「白ごはん.com」というイカした名前のサイトにある。水の量やら火加減まで載っているのでこの通りに炊けばとりあえず美味しく炊ける。
スープはコンソメを使う以上、それ以上美味しくも不味くもならない。さすがコンソメ。アツアツのヒンカリに涙目になる。
腹を満たしたらもうやることなんてない。これにて本日の活動は終了。
相変わらず酔っ払いおやじは爆音で音楽を聴く。デスボイスで叫び始めた。素晴らしく酷い酔っ払い。
そんな酔っ払いも日本人が好きらしく、部屋にフルーツやワインを持って来てくれては訳のわからんことを話して笑顔で去っていく。憎めないと言えば憎めない。憎いと言えば憎い。
ジョージア、なんかいいんだよな。
せんまさお
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