宿のスタッフに一旦別れを告げる。また戻ってくるよ、と伝えると、「俺たちはもう友達だぜ」と、個人の連絡先を交換した。
そうなのだ、アゼルバイジャンに着いてからというもの、外は暑いし、居心地がいいので宿にずっといる。スタッフとはもう仲良しになっていた。
スタッフ一同に見送られながら、バスターミナルへ向かう。地下鉄を2度乗り換えて、バスターミナルへ向かうが、公共交通機関ではやっぱり目立つ。
なんなら真っ赤なザックカバーを付けた大きなバックパックまで持っているもんだから、自ら見てくれと主張しているようなもんだ。
バスターミナルに着くや否や、スタッフに「シェキか?シェキに行くのか?」と声をかけられ、あれよあれよと言う間にチケットを購入してバスに乗り込めてしまった。
乗り込んでから20分ほどで出発。1時間ごとにバスは出ているらしい。
久しぶりのバスだ。僕はバス嫌いだが、シェアタクシーよりはマシだと中央アジアの旅で思い知った。なんだか快適に思える。エアコンもすこぶる調子がいい。
カーテンを閉めて寝る。起きるとトイレ休憩のようで停車している。もう3時間走ったようだ。
外に出ると、謎のおじさんに「40分間の休憩だ。お茶やコーヒーでも飲みな。」と誘導されかけたが、まずはトイレに行く。
それにしても40分の休憩なんて食事時でもないのに長いなぁ、と思いながらタバコを吸う。近くで僕のことをチラチラ見てきていた男3人組が声をかけてきた。
「タバコください」
かまへんかまへん、と2本あげる。一人はいらないらしい。
本当かどうか怪しいが、この前宿でタバコを吸っていると、アゼルバイジャン人の男にこう言われた。
「バクーのタバコは全て偽物でニコチンは入っていない。ただの葉っぱなんだ。全てが偽物。料理も、コーラも、携帯も、車も、そして人も。全てが偽物なんだ。」
ちょっとぶっ飛んでいるので話の真偽は定かではないが、よくタバコをどこで買ったか聞かれるので、もしかするとアゼルバイジャンのタバコの質はあまり良くないのかもしれない。彼がバクーと限定していたのが少し気になるが。
休憩開始から15分後、バスのエンジンがかかった。あれ、40分間の休憩じゃなかったのか、と思ってお店の方を見ると、さっき40分と教えてくれた人が働いている。ちくしょう、騙しやがったな。
それから2時間ほどすると突然道が悪くなった。それまでは一切揺れることのない綺麗な道だったが、シェキへ向かう道は現在舗装工事中のようだ。
ガタガタと1時間進み、トータル6時間少々で到着。バスターミナルから歩いて宿へ。チェックイン手続きをしていると、後ろに一人の日本人が到着。同じバスに乗っていたらしい。
二人で夕飯へ向かう。ケバブ以外が食べたいと入った店だが、アゼルバイジャン料理なんて知らない。店員さんに言われるがまま注文する。
すると、ケバブを切り刻んだような料理と、壺に入った肉のスープみたいなものと、パンが出てきた。
ケバブを切り刻んだような料理は、ケバブのような味がする。たぶんケバブを切り刻んで作った料理なんだろう。
肉のスープは食べ方があるらしく、店員さんに手本を見せてもらう。
まず、パンを一口大に千切って器に盛る。次にスープをそのパンにかけて食べる。
食べきると、肉と豆を壺から出して器に盛る。フォークとスプーンでそれをぐちゃぐちゃに潰して完成。
ひつまぶしみたいに食べ方を変えて楽しむらしい。
それにしても、こんなに羊臭い料理はモンゴル以来だ。もはや口の中は草原。口の中で羊がウメェーウメェーと駆け回っている。うまくはねぇ。
宿に戻り、中庭でくつろぐ。アゼルバイジャン人の男と話す。
「彼女いないの?なんでいないの?」
海外でよく、なんでいないの?と聞かれるけど、その質問難しすぎじゃない?逆に聞き返すと、
「女の話は長いから付き合うのは面倒だぜ。一晩で十分だぜ。俺は若いからそれでいいんだぜ。」
とのことだ。今度から僕もそう言おう。明日は少し街を歩いてみよう。
せんまさお
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