ウズベキスタンで買ったお皿のお土産の輸出に必要な鑑定を受けるために国立美術館にやってきた。
まだ所定の時間前だがすでに複数人が並んでいる。しまったな、もう少し早く来ればよかった。
しかし、鑑定にもかかわらずスルスルと列は流れていき、あっという間に自分の番。
通された部屋に入ると、正面に鑑定士軍団が待ち構えていた。ドア横に美術館スタッフが座っている。
早速見せろと言うので、一番近くにいた鑑定士に皿を渡す。
1秒見てオッケーが出た。いい仕事してる。そりゃそうだ。誰が見ても分かるただのお土産だ。
しかしこの鑑定士軍団、いかにも鑑定士軍団だ。ちょっと奇抜な服装ながら上品な出で立ち。イメージ通り。
「来週月曜日の5時に証明書の受け取りに来てください」
耳を疑った。昨日、スタッフから今日受け取れると聞いていたからだ。
アゼルバイジャンはもう出国しようとしていたので、どうしようか考えていると、鑑定士軍団の一人が、もう一度同じ内容を伝えてきた。
「分かってます。そうじゃなくて、旅の予定を変える必要があるので悩んでいただけです。」
どんな予定なのか、と聞かれるが、そもそもちゃんと予定なんて立てていなかったので答えようがない。
ひとまず鑑定料15マナト(1,020円程度)を支払って宿に戻った。
宿のスタッフに事情を説明し、更なる延泊を伝えると一つ提案された。
「シェキという街に行ってみればいいよ。僕のおばあちゃんが住んでいるんだけど、田舎だからゆっくりできるよ。」
どうやらバスで6時間程度らしい。明日から日曜日まではシェキという街に滞在することにした。
ベランダでアイスを食べているとイラン人に声をかけられた。
「俺は日本の女の子が好きなんだ」
どうやら昔、イランのゲストハウスで働いていたらしく、泊まりに来る日本の女の子が良い人ばかりだったようで、できるなら付き合いたいらしい。
今はこの宿に泊まりながらアゼルバイジャンのレストランで働いているらしい。一日15時間働いても7~8USドルしか貰えないとの事。この宿の宿泊費は3.2USドルくらいなので、半分くらいしか残らない。物価から考えると外食はまず不可能だ。
「ナンパは簡単さ。声をかけて電話番号を聞く。メッセージを送って食事に誘う。それから一緒に酒を飲む。それだけさ。」
イラン人ってお酒飲んでいいの?と聞くとこう言った。
「地獄へGoだ」
イランで困ったら連絡してくれ、と言ってくれ、連絡先を交換した。どう見ても泥酔しているが、明日も7時に起きて仕事に行くらしく、ヨタヨタとベッドに戻っていった。
アゼルバイジャン、早く出たいなぁ。
せんまさお
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