【世界一周#195】コメディアン

豪勢な宿の朝食を食べ終え、そろそろ出かけようかなと中庭でくつろいでいると、Yリちゃんがやってきた。

これからルドルフとルーカスの3人でどこかへ行くらしい。Yリちゃんはどこへ行くのか分からないけど、とにかく行くそうだ。

シェアタクシーにはあと1人乗れるそうで、Yリちゃんが誘ってくれたので、なんやかんや一緒に行くことになったけど、どこに行くのかは分からない。

ルドルフがドライバーと値段の交渉をしている。

「一人30,000ソム(360円程度)になったけど大丈夫?」

ルーカスが一歩踏み出して言った。

「よし分かった。俺が交渉して一人15,000ソム(180円程度)にする。」

ルーカスはふざけるのが好きらしい。

ルドルフは筋肉ムキムキなので助手席へ、僕らは後部座席へ乗る。ルーカスはムチムチだし僕も肩幅バキバキなので正直誰が助手席に乗っても変わりはなさそう。

20分程度で綺麗なメセドレ(神学校みたいなやつ)の遺跡に着いた。今はモスクとして使われているようだ。ところどころ墓地がある。

ルーカスは井戸を見つけるやいなや、バケツを放り込んで水を汲もうとした。おじさんがやってきてルーカスを止める。

こうやるんだ、と言って正しいバケツの投げ入れ方を教えてくれた。投げ入れるのはいいんだ。

そこいらの人がスモモやナッツを僕たちにくれた。市内に比べてこの遺跡はそこまで観光客が多くはないんだろう。暖かく迎えてくれる。

ルーカスはスモモの種を鳥にぶつけて捕獲しようとしているので僕が止めた。

ルーカスはその辺に生えているぶどうの木からぶどうの粒をいくつか摘み取って、僕たちにくれた。甘くておいしいけど、ルーカスが自由すぎておかしい。

ルーカスは近くの木になった見たことのない木の実も取ってくれた。甘いから食べてみな、と少しくれた。確かに少し甘い。これなんの実?と聞くと、知らないとのことだ。

ルドルフは遺跡の説明文を読み、元から知っていたかのように僕たちに教えてくれる。その説明文の前で。

ルーカスは適当なことを言って説明してくれる。

「このプレートは恐らく20世紀に作られたものだろう」

と、プラスチック製のプレートを真剣に眺めながら分析している。

ルドルフはたまたま会ったフランス人と意気投合したようで、話し込んでいる。

ルーカスは暇らしく、手当たり次第その辺の人に声をかけている。そして言った。

「飽きた」

ちょうどお祈りの時間でモスクの見学はできなかったので、次の場所へ行くことにした。

次はどうやら宮殿らしい。かつての王様の父が住んでいたらしいが、ルドルフもルーカスも適当なことを言うのでどこまでが本当か分からない。

ただ、それがおもしろくて僕もYリちゃんも笑いが止まらなかった。

「今のはイマイチだったなぁ」と次へ向かうタクシーでルーカスがこぼすが、ルドルフは「今のところには日本の壺が展示してあったから素晴らしい」と僕らを意識してか、「日本いいよね」とわざとらしく持ち上げてくる。

「それ僕にブラジルの話してた時もブラジルいいよねって言ってたよね。多分君は素晴らしい教育を受けたんだろう。」

と、どこでも褒めるルドルフをおちょくっていた。

実際のところ、冗談ではなく、ルドルフは某有名銀行の香港支店で働いていたらしく、今は独立してスタートアップの社長として香港で奮闘しているらしい。

ルーカスもふざけてばっかりだが、ブラジルから飛び出して、スペインでポルトガル語の教師をしているそうな。

笑ってばかりの日本人二人の方こそ、無職で旅しているという笑っちゃう現実。

最後にもう一つだけ美しい遺跡に行き、その後ルドルフは次の街へ行くために駅でタクシーを降りた。

コレがクロアチアスタイルだ、と言ってYリちゃんの手の甲にチューして去っていった。

僕も今度チャンスがあったら、これがジャパニーズスタイルだ、と言ってチューしようと思った。リップクリーム買っておこう。

宿に戻るが、暑さのせいか腹が減っていない。ルーカスだけ遅めの昼食へ、僕とYリちゃんは宿でポテチをつまみながら暗くなるまで話していた。

ルドルフが昨晩、街のライトアップを見に行ったらしく、写真を見せてくれていた。それはそれは美しかったので、戻ってきたルーカスと一緒に夕飯を食べてから見に行くことにした。

下から照らされたミナレットが、夜空にそびえ立っている。高層建築物なんてこの街にはないので、ミナレットより高いものは月くらいしか見えない。あーだこーだ言いながらお互い写真を撮りあった。

宿に戻るとルーカスは寝てしまった。僕とYリちゃんは極限に眠たくなるまで話していた。おろしろい子だ。

The following two tabs change content below.
せんまさお

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。
せんまさお

最新記事 by せんまさお (全て見る)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。