【世界一周#157】少林寺

バスターミナルへ到着。肉まんを8個買い、全てその場で食べる。これがバスに乗る前の恒例行事化している。朝のバスターミナル前には確実に肉まん屋さんが来ているからだ。

世界一有名なんじゃないか思われる寺、少林寺へ向かう。ちょっとボロいバスで約2時間、少林寺へ到着。

帰りのバスの時間の確認とチケットを買おうとチケット売り場を探すが、降りた付近には全く見当たらない。

今日もクソ暑い。汗が止まらない。とりあえず水を買い、インフォメーションセンター的なところに行って聞いてみた。

「駐車場の二階にあります」

僕は駐車場へ向かったが、そこには平面駐車場しかない。どこか建物があるかと探したが、どれも平屋の売店だ。

駐車場のゲートのスタッフに再び聞く。

「上にあります」

指差す方向へ向かい歩くが、少林寺の入り口に帰ってきただけだ。

入り口付近のスタッフに聞く。

「チケットは売っていません」

なんということだ、どれもこれも信用ならない情報ばかりだ。

とりあえずチケットのことは一旦忘れて少林寺へ入る。

少林寺は完全に観光地化されていた。カンフー推しなのが一目瞭然な内部。

敷地はとても広いようで、小さな観光バスまで走っている。別料金なようなので、歩くことにした。

とんでもなくしばらく歩くと、ようやく少林寺が見えてきた。

映画かなんかで見たことある赤い門をくぐると、通路を挟んで左右に木が何本か生えている。

欧米人ツアーに混ざり、説明を聞いていると、少林寺のお坊さんは、この木を指で突いてトレーニングしていたらしい。

その証拠に、木にはちょうど指のサイズの穴がボコボコと空いている。指で突くと穴が空くんだ、と少し引く。

どう考えても指が届かない高さに穴がある。どうやって突いたんだろうと思っていると、隣で中国人も同じように考えていたようで、

たぶん木が大きくなったんじゃないか、とジェスチャーで表していた。なるほど、歴史を感じる。

寺院の敷地は山に向かって延びており、階段を進むと次々と寺院が建っていた。思っていたよりもシンプルで、さすがに寺院の中にまではカンフー要素はなかった。

お土産に少林寺の御守りを買った。少しマッチョなお坊さんが「サンキュー」と言っていた。

近くでカンフーショーが無料で開かれている。すでに会場は満員。バイブスはテンアゲ。

派手なレーザーライトが会場を包む。激しく鳴り響くBGMに合わせて、子供のお坊さんがステージ裏から飛び出してくる。

カンフーショーの始まりだ。飛んだり跳ねたり、ザ・カンフーの演技が披露されていく。

「かっこいい」

僕も小さい頃はスポーツができる人に憧れていた。あんな風に飛んだり跳ねたり回ったりできる人生がよかった。小さい頃にしていた習い事は囲碁だけ。スタートを誤った。

カンフーの型の演技だったのがどんどんエスカレートしていく。頭で鉄の板を割ったり、槍の先を胸に当ててへし折ったり、針でガラスに穴を開けたりとマッスルショーと化していく。

会場はヒートアップ。会場から参加者を募り、お坊さんに教えてもらいながら一緒にカンフーの演技をする。こういうときに先頭きって手を上げられる中国人は本当に偉い。

お世辞にも鍛えているとは言えないおじさん達がステージ上で見よう見まねでカンフーを披露する。お坊さんの演技とのあまりの違いに会場が沸く。

最後に拍手でベストカンフーおじさんを選ぶ。選ばれたのは玉のようなおじさん。前転できず転がっていたのが高評価だったようだ。

最後にみんなで手を合わせてお辞儀。いい空気感だ。日本だとこうはならない。

最後にこれでもかというカンフーの演技の嵐。ほんまにかっこいいでこれは。

会場を後にすると、子供達が早速カンフーの真似をして遊んでいる。中には親に買ってもらった棒を振り回している子供もいる。それは危ないからやめさせた方がいいと思う。

僕は少林寺の奥にあるらしい達磨洞へ向かった。「2000m先」と書かれた看板がある。田舎にあるイオンの看板と同じくらい先を指している。

とにかく進むと、山道に出た。どうやらこの荒れたオフロードを進むらしい。ひたすらアップダウンを繰り返す。

達磨洞ってなんやねん。好奇心と暑さの戦いだ。頭から大量の汗が降ってくる。ポタポタと汗が地面を濡らす。太ってから暑さに弱くなった。働きだす前は61kgだったのに、今は77kgもある。もちろん二重アゴだ。

山道を進んでいると、山にへばりつくように延びる長い階段が見えた。まさかあの階段の上にあるんじゃないだろうな。

途中におばちゃんがいたので聞いてみた。残念ながら階段の上にあるらしい。

手すりを掴んで、マントルが動くスピードより少し速いくらいで登る。

子供が追い越していく。子供なんかに負けてたまるかと、爪が伸びるスピードより少し速いくらいで登る。

ようやく登りきったと思いきや、見えていたのは階段の一部だったようで、更に上へと続く階段に言葉を失った。

水を一口飲み、現実逃避をする。オシッコが漏れそうなときなど、どうあがいても辛い状況の時、僕は人の心を失わせることでそれを乗りきることができる。

心を無にして、口を半分開け、ただ足を動かす。「僕はロボット、鏡の中のマリオネット。」身体など魂の入れ物でしかない。身体が辛くても大丈夫、心が辛いのに比べれば屁でもない。

マリオネットまさおは口を半分開けたまま階段を登り続けた。

ようやく洞窟にたどり着いた。振り返ってみると絶景が広がっていた。マリオネットまさおは心を取り戻した。

「なんてきれいな緑、大自然うつくしい。」

さらに振り返ると達磨洞があった。近くの看板を読むと、インドの修行僧である達磨大師が、この洞窟で9年間も坐禅を組んでいたらしい。

ちなみに、なんか達磨とダーマって似てるなぁ、と思い宿に帰って調べてみると、読み方が違うだけらしく、仏教における法みたいな意味らしい。

ちなみに(2)、坐禅は心に良い。神経伝達物質であるセロトニンがリズム運動で活性化するので、リズム良く腹式呼吸をする坐禅は効果的だとかいう話だ。寺によっては坐禅体験をやっているところがあるので、参加してみることをオススメする。ストレス社会で闘うあなたへ。

達磨は坐禅しすぎて身体が貧弱になったお坊さんを見て、そんなんじゃあかん、と身体と心の鍛錬の両方が必要と説き、少林拳(カンフーのうちの一つ?)ができたそうな。

ちなみに(3)、少林拳と少林寺拳法は別ものだ。少林寺拳法は日本で作られた拳法で、少林寺で修行した日本のお坊さんが、日本の古武術も取り入れて作ったらしい。

ちなみに(4)、あの倒しても起き上がるダルマのおもちゃは達磨大師が坐禅する姿を由来としたもの。不屈の精神、七転び八起きの縁起の良さの象徴として日本でも愛されているお方なのだ。

さて、洞窟内部はこじんまりとしており、坐禅を組むには最適そうだが、例のごとく中国人が破茶滅茶に騒がしいのでそれどころじゃない。

「ウオオオオオオオ」

「ホオオオオオオオオオオ」

日本で言うところのヤッホーみたいなやつだろうけど、全力で叫んでいる。突然全力で叫ぶのでマジでびっくりする。

せっかく来たが、帰りのバスも未だ不明なので早々に立ち去る。再び階段を降りるが膝が痛い。太ったのも原因な気がする。

「ウオオオオオオオ」

「ホオオオオオオオオオオ」

「オオオオオオオオオオオオオオ」

叫び声にビクビクしながら、少林寺の入り口に戻るまで1時間もかかった。バスどうしよう。

ウロウロしていると、登封という場所へ行くバスが止まっているのを見つけた。聞いてみると、登封バスターミナルに行くらしく、そこで洛陽行きのバスに乗れるらしい。

よく分からんが、宿に荷物を置いている手前どうしても帰りたい。

とりあえず登封行きのバスに乗ると、30分ほどでバスターミナルに着いた。

すぐに洛陽行きのチケットを買うと、次の便は1時間後とのこと。

待合室に行くと、マッサージチェアがあった。10分5元(80円程度)、20分6元(96円程度)、30分8元(128円程度)とのこと。上手い値付けだ。

30分モードで起動。電子マネーがなければ使えないが、僕は上海で銀行口座を作ったので使うことができる。

気持ちいい。日本だと空港くらいにしかマッサージ機はないが、中国は駅からバスターミナルから街中の店舗にまでマッサージ機は大量に置いてある。

素晴らしいサービスだ。日本もさっさと電子マネーが普及すればいいのに。Suicaくらいしかロクに普及していない。中国は電子マネーがとんでもなく進んでいる。現金を使っている人をあまり見ないレベルだ。

ともあれ30分後にはバスが来た。乗り込んでから出発を待つまでの間に寝てしまった。

起きると洛陽。すでに21時前でバスはもうないようだ。それは早くない?

しょうがないので駅前で電動自転車(アシストではなく勝手に進む)を借りて宿まで1時間かけて帰った。ライトアップされた街を眺めながらスイスイ進む。なかなか楽しいもんだ。

宿の近くの店でいつものアイスとライチティーを買う。宿はキーが必要なゲート付きの敷地の中にあるマンションの一室だから、夜遅くても中庭は安全。今夜は虫の音を聴きながらゆっくり過ごす。

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せんまさお

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。

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