【世界一周#147】バスケしろ〜禁断の恋〜

芝生が短い場所だったので背中が痛い。テントを張るならフカフカの草の上がいい。

この辺りには蛾が大量にいるようで、昨晩はテントの外も中も蛾だらけになった。僕は蛾の鱗粉アレルギーなのでクシャミが止まらない。

ついでに寝ていると大きな顔面にアタックしてくるので不快極まりない。効くか分からなかったが、蚊取りスプレーを吹きかけると地獄絵図のように蛾がもがき苦しみ、やがて静まり返った。

朝起きるとテント内に蛾の死骸が大量に落ちててゾッとした。

朝食はいつものトースト。しかし今日からチョコレートクリームが新登場。ベタベタに塗って食べるとおいしい!

10時半に出発。程なくして欧米人ツアー客の団体とすれ違う。

「すごい!リアル遊牧民よ!」

みたいなキラキラした顔で僕らの写真を撮ってくる。僕は遊牧民みたいな程でカメラ目線を送って通り過ぎる。母国に戻ったら家族に僕の写真を見せてあげて欲しい。

途中、モンゴルに来て初めて牛を見た。放牧場所によって飼う家畜の種類も違うんだろうか。ヤクは牛に似ていると思っていたが、牛の実物を見ると結構違う。

道は橋に差し掛かった。旧首都に向けて徐々に近代的になっていく。遠くの方に木の電柱も見える。本当に微々たる変化だが、人工物があるだけ珍しい。

馬たちはビビって橋を渡ることができない。橋といっても吊り橋とかではなく、幅5mくらいはありそうな金属製の橋だ(なぜか橋脚は木製)。

パタさんが叩いたり引っ張ったりしながらなんとか前頭渡り終えた。大ちゃん(馬)はいつものように最後。

これまたいつものように天気が怪しくなってきた。今日もテント泊の予定だったが、近くのゲルに泊まるように変更。

案の定すぐに大雨が降り始めた。ゲルで凌ぎ、昼食を食べる。今日もホーショールという揚げ餃子。今日のはタマネギが少なく、ほぼハンバーグのような肉が入っている。心なしか獣臭さが少ない。牛のような風味がする。今日牛を見たのでもしかしたらと思い、僕はパタさんに牛かどうか聞いてみた。

「羊」

羊だった。

飽きもせず今日も昼寝。突然パタさんがゲルに入ってきて、「バスケしろ」と言ってきた。

眠たいがバスケしにいく。このゲルの隣に、手作りのバスケゴールが1つあるのだ。ちなみにコートはないし地面は草原。

少年の提案で少年対僕とAラさんチームに別れる。ルールが曖昧なままスタート。少年はあまりバウンドしない草原でドリブル。ジャンプしてシュート。しかしジャンプがエゲツなく低い。5cmくらいしか浮いていない。乗馬と運動神経は関係ないようだ。

もう若くないのですぐ息切れする。あとたぶん標高が高いのも原因だと思いたい。吐きそうなほど疲れた。Aラさんはいつの間にか休んでいる。

バスケは飽きたので近くにあった木の棒で遊ぶ。少年が何か動物のウンコをゴルフの要領で飛ばしてくる。

僕は手の上で棒のバランスを取る芸を見せびらかす。更に足の上でもバランスを取り、足から手のひらへのジャンプ、そして手の指で天を指し、その先に棒を乗せてバランスを取る芸を見せた。我ながら意味ない芸を持っている。

中学のテニス部時代に部員が多すぎて、コートの順番が回ってくるまで暇すぎてラケットを使って練習していたら身についた芸だ。

少年は積み木のような木の端材でリフティングし始めた。これも下手くそだ。Aラさんは運動神経がいいようで、結構続いている。

疲れすぎたので今日も昼寝。昼寝しないと辛い身体になってきた。

1時間ほど寝て起きると少年がゲルの女の子とバスケをしていた。少年は17歳、これは恋の始まりかもしれないと遠くでタバコを吸いながら見守る。

パタさんがやってきて「バスケしろ」と言ってくる。バスケへの想いが強い。

僕は手でハートマークを作り、アイコンタクトで少年の恋を知らせた。パタさんはピンと来ていないようだった。

少年がバスケから帰ってきた。聞いてみると女の子は20歳らしい。禁断の恋やで。

夕飯は羊肉のマカロニ炒め。運動して気持ち悪かったのでAラさんにちょっと食べて貰った。ずっと思っていたけど毎食ちょっと量が多い。贅沢な文句やで。

辺りが暗くなった頃、パタさんが帰ってきた。どうやら酔っ払っている。

「結婚してないならチンチンちょんぎるぞー」

と襲いかかってくる。僕は必死にチンチンを守るが意外とゴツいパタさん。遊牧民舐めたらあかん。

ひっくり返されながらもチンチンを守る。なんとかなだめたがパタさんは寝るまで定期的にチンチンをちょんぎりに襲いかかってきた。そんな夜。

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せんまさお

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。

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シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。