【世界一周#145】夢が叶った日

夜遅くまでAのさんとゲルで話していた。よく考えればAラさんと二人でゲルに泊まるのは初めてだったので話し込んでしまった。なんせ暖炉のおかげで暖かいからいつまでも寝なくても良い。

起きたら昼前。ゲルから出てウトウトしていると、パタさんの奥さんのチャトラさんが手招きしている。昼ごはんだ。

チャトラさんのゲルに入ると床に血が滴っている。しかもなんか獣臭い。壁を見ると、バラされた羊がぶら下がっている。床には頭が落ちている。

「さっき解体してもらったの」

例のごとく言葉が通じないので身振り手振りからの解釈だが間違いないだろう。

鍋では内臓がグツグツ煮込まれている。正直言って結構臭う。

肉は干せば保存が効くが、内臓は傷みやすいのでさっさと食べるのだろう。チャトラさんは鍋から内臓を取り出し、部位ごとに少しずつ皿に盛ってくれた。モツのハッピーセットだ。

ゲルに持って行って食べて良いよ、とナイフを渡された。Aラさんはモツが苦手なので困惑している。僕はモツは大丈夫だが、皿にてんこ盛りのモツは結構インパクトがでかい。

一口かじってみると、塩味がほのかに効いているが、基本的にはモツの味がダイレクトに舌に伝わってくる。

僕たちは閃いた。昨晩の残りのキムチラーメンが一袋残っている。僕たちはモツを細かくカットし、キムチラーメンにぶっ込んで食べることにした。

昼間っから暖炉に火をくべてキムチラーメンの準備をしていたらパタさんがやってきた。バレちゃまずい。

キムチラーメンも食べようと思って、と伝えるとガスコンロを持ってきてくれた。パタさんが出ていくと同時にモツの解体とキムチラーメンづくりに戻る。

あっという間にモツキムチラーメンの完成。バレないうちに食べる。Aラさんから大きいモツを貰い、協力して食べきった。

少し休憩してから滝へ向かった。

以前も来た滝だが、今回の目的は水浴びの一点だ。有名スポットのようなのでチラホラと人が来るが、お構いなしに水を浴びる。チャンスがあれば水を浴びたいのだ。

服を洗って干すが、暑いので水を浴びている間に乾いてしまった。

しばらく散策。この前もやった滝の目の錯覚で楽しむ。世界がグニャグニャしてほんとこれおもしろい。

夕飯は羊のシチュー。塩味以外の料理ならもうなんでも美味しい。チャトラさんは料理が得意なようだ。おかわりまで食べ、さてゲルに戻ってダラダラするかと思っていると、薪を割ってきてと頼まれた。

薪割りは楽しいので快諾し、スパスパ薪を割っていると斧が折れた。柄にヒビが入っていたようだ。

これは困ったとてんやわんやしながら一生懸命直した。Aラさんがたまたまノコギリとナイフを持っていたので借りて柄の折れた部分から下に刃を取り付ける。

折っておきながらなんだが、こうやってDIY的なことをするのは楽しい。削って叩いて楔を打って、柄は少し短くなったが、なんとか直すことができた。器用でよかった。

薪割りを続行して割れる薪は全て割っておいた。パタさんに折れたけど直したと伝えると、「グッド」と一言で済ませてしまった。豪快である。

ちなみにパタさんは英語は「グッド、オッケー、ノー、スリープ、ゴー、ソーリー、テント、コーヒー、ティー」しか話すことができない。しかし数日を共にした僕たちは何を言っているのかなんとなく分かるようになってきていた。

そしてAラさんは積極的にモンゴル語を覚えてきている。

例:

バイラッラー:ありがとう

ポロ:雨

ムル:馬

チャイ:お茶

サハラ:砂糖

チョッホ:ちょっと

ナマイグ〇〇ゲデグ:私の名前は〇〇です

アララ:あらら

セノ:こんにちは

セン:良い

アムツッテ:美味しい

サッツァン:お腹いっぱい

マッシ:めっちゃ

コイ:美しい

ウスチン:お腹すいた

ノホイ:犬

マシン:車

マシックル:バイク

ヤポン:日本

ハトゥン:暑い

フイテン:寒い

マラガシ:明日

※実際にはカタカナで表すことができない発音

僕は覚える気がないがなんとなく覚えてきた。

モツで無駄に気疲れした僕らはゲルでダラダラしていた。オシッコしようと外に出ると、空には満点の星空が広がっていた。

「Aラさん、星が超キレイですよ」

Aラさんを呼び、二人で星を眺める。Aラさんはカメラマンなので星の撮り方を教えてもらった。頑張って撮ってみたが、僕のカメラはフルサイズセンサーではないので限界があったが、それでも今まで撮った星よりは断然綺麗に撮ることができた。

実はモンゴルにはずっと昔から憧れがあった。小学校2年生の時、国語で「スーホの白い馬」という話を勉強した。

——-

ある日スーホという羊飼いの少年が倒れている白い馬を見つけ、連れて帰って育てることにした。スーホは白い馬と仲良くなり、草原を駆け回る日々を送る。ある日、偉い殿様的な人が競馬大会を開くということで、周囲に後押しされスーホも白い馬と出場する。優勝したスーホから殿様的な人は白い馬を奪い取る。白い馬は殿様的な人が乗ると振り落とし、追ってから逃げたが、矢で射られた白い馬はスーホのところに戻ってくると死んでしまった。スーホは一日中泣き腫らし、疲れて寝てしまった。すると夢の中に白い馬が現れ、「私の骨や皮や尻尾で楽器を作ってください、そうすればいつまでも一緒に居られます」と残し消えていった。スーホは何日もかけて楽器を完成させた。この楽器を弾くと、白い馬の鳴き声や走り回る蹄の音がした。この音を聞いていると、白い馬と草原を駆け回った日々を思い出せるのだった。そしてその音色はモンゴル中の人々の心を癒し、それがモンゴルの伝統的な弦楽器、馬頭琴となったのだった。

——-

というような話。

そこでモンゴルを知り、いつかモンゴルで馬に乗りたいなと思うようになった。そしてゲルとかいう家に泊まって、夜は満点の星空を見たいという夢ができた。

それが叶った瞬間だった。今まで見たことのないような星の数。天の川まで見える。じっと眺めていると流れ星が見えた。1つではなく3つも見えた。願い事は特にない。

大阪の空は明るすぎて星なんて見えない。星が綺麗に見えると思っていた岡山の実家でもこんなには見えない。

見えないだけでこんなにあったのかと驚いた。レーシック手術しててよかった。

運良く月が出る前だったので満点の星空を見ることができた。雲も今日に限って晴れていた。夜中にオシッコで目が覚めて外に出たが、もう月が明るすぎて見える星は減ってしまっていた。

次はどんな夢が叶うんだろう。ちなみに馬頭琴の演奏を聴くというのも一つの夢だ。これも遠くない未来に叶う気がする。念ずれば割と通ず。

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せんまさお

せんまさお

シャイな僕が世界一周の旅へ。諸事情により緊急でお金が必要だったので一部上場企業のキーエンスへ就職。27歳で退職し、夢だった世界一周をすることに。やりたいことを全部やっている最中です。まずは死なずに帰ってきます。皆が憧れる世界一周だと思いますが、良いところも悪いところも全てそのままお伝えして、一緒に旅している感覚になっていただければ嬉しいです。座右の銘はPLUS ULTRA。「もっと向こうへ」という意味です。好奇心の赴くままにもっと向こうへ行ってきます。好きなコーラはコカ・コーラ。スカッとさわやかコカ・コーラ。LOVE&PEACE。

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