ところでこの辺りにはトイレというものがない。草原とゲルだけなのでそりゃそうだ。草原に穴が掘ってあり、心ばかりの木で組んだ目隠しがあるだけで基本的にはオープンな場だ。
草原を眺めながら捻り出す。ヨーグルトのおかげか調子が良い。
出発の準備をしていると雨が降り始めたので止むのを待つ。雨が止んだので昼前に出発し、進んでいるとまたもや雨が降り始めた。
木陰で雨をしのぎつつ昼食をとる。本日も羊肉のフライドヌードル。買っておいたレインウェアを着たところで雨が止んだ。
しかしまたいつ降ってもおかしくない天気なので先を急ぐ。山道を進む。アップダウンも激しいので膝が痛む。
草原に出たところでパカラッパカラッのリズムで走る。なんとなくリズムの合わせ方が分かり、颯爽と走ることができた。
湖のほとりにテントを張ることになった。
少し昼寝をして目がさめると、Aラさんが近くのゲルに住む男の子と仲良くなり、ゲルに招待されたらしい。
5歳くらいの男の子におっさん二人で付いていく。招き入れられたゲルでお母さんらしき人からヨーグルトを頂く。これまで食べたヨーグルトランキングで一位に輝く旨さ。食べ終わったお皿どうしましょ、というジェスチャーを勘違いされたのか、ヨーグルトをもう一杯いただくことに。
ゲルの中には子供が4人。兄姉妹弟の順番のようだ。妹が勉強し始めた。英語を勉強しているらしい。偉い。学校という制度はこの大草原の中ではどう機能しているのだろうか。通信教育かな?
17時ごろになるとアラームが鳴った。妹がおもむろにテレビをつける。遊牧民と言ってもソーラーパネルで発電して生活している。家によってはテレビだってあるのだ。
衛星放送を受信し、見始めたのは韓流ドラマ。
「これが私のお気に入りなの」
いきなり登場人物の男が女の首を絞めて殺した。僕は弟に見ちゃダメと伝える。弟は手で目を隠している。妹はチャンネルをそっと変えた。
ガイドのパタさんが持参したマカロニを家族に分け、代わりに調理してもらう。今晩はマカロニ炒め(いつもの羊の味)と羊の脚。
羊の脚は非常に獣風味がキツイ。脚の形も丸分かりだ。食べるところが少なく、軟骨や皮を食べるが、匂いも相まってモロに羊を食べている感がある。ある程度食べ終え、骨をどうするか聞いたら、犬にやれとのこと。
家族が飼っている犬に骨をやるとボリボリと齧り始めた。かわいい。
食後は子供たちと謎のボール遊びをした。ホッケーのボール版みたいなルールがよくわからんやつだが盛り上がった。
テントに戻り寝る準備。テントは寒いので服を着込む。ヒートテック、半袖Tシャツ、フリース、ダウン、ウインドブレーカー。そして寝袋に入るが、それでも地面が冷たいので身体が冷える。接地面積が小さくなるように横を向いて足をクロスして寝た。
せんまさお
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